けの汁

Keno-jiru

けの汁 1

画像: Wikimedia Commons

けの汁は、津軽地方を中心に食べられてきた具だくさんの汁物で、小正月(1月15日)の行事食として知られる郷土料理です。大根・にんじん・ごぼうなどの根菜、わらび・ぜんまいなどの山菜、油揚げや凍み豆腐といった乾物を、賽の目よりさらに細かく刻んで昆布出汁でじっくり煮込み、味噌や醤油で味付けします。名前は津軽弁で粥を「け」と呼んだことに由来するという説があり、他にも複数の語源説が伝えられています。正月に忙しく働いた女性たちが小正月に里帰りする際、残される男衆のためにまとめて作り置いたのが始まりとも言われ、大鍋で数日分をこしらえ、日を追うごとに味が染みていくのを楽しむ食文化として今に受け継がれています。

発祥

けの汁の起源をめぐっては複数の伝承があります。弘前市の和徳城が1571年に津軽為信(大浦為信)に攻められた際、城内に籠った兵が食べた食糧が起源になったという説や、正月に忙しく働いた女性が小正月に里帰りする際、残る男衆のために大鍋で作り置いたのが始まりという説が伝えられています。いずれも津軽の厳しい冬と結びついた保存食としての性格をうかがわせます。

歴史

小正月(1月15日)は「女正月」とも呼ばれ、正月に来客対応や家事に追われた女性が実家に里帰りする慣習がありました。その間、家に残る男衆が食べられるよう大鍋いっぱいに仕込んだのがけの汁とされ、他地方における七草がゆに相当する行事食として津軽から秋田にかけて根付きました。現在も小正月の行事食として各家庭や郷土料理店で作られ続けています。

特徴

大根・にんじん・ごぼうなどの根菜や、わらび・ぜんまいなどの山菜、油揚げ・凍み豆腐・こんにゃくなどを、包丁で細かく刻み昆布出汁で煮込み、味噌や醤油で調味します。動物性の食材を使わない精進料理的な一品で、大鍋で数日分をまとめて作り、毎日温め直しながら食べるうちに味がしみて美味しくなるとされ、日持ちする保存食としての性格も特徴です。

主な食材

大根にんじんごぼうわらび・ぜんまいなどの山菜油揚げ凍み豆腐(凍豆腐)昆布味噌または醤油

食文化

小正月に女性が里帰りする間、残された男衆のための保存食として仕込まれてきた背景から、家族の労をねぎらう行事食として津軽地方に根付いています。精進料理に近い構成のため、寺社の年中行事とも結びつきながら伝えられてきました。

有名店

郷土ダイニング 鮪山(しびやま)

青森県弘前市駅前(JR弘前駅から徒歩1分)

毎日漁師直送の鮮魚が自慢の居酒屋。ホタテ貝みそ・いがめんちと並ぶ郷土料理セットにけの汁が含まれる

津軽路 弥三郎

青森県弘前市大字鍛冶町23-2

中央弘前駅から徒歩5分ほどの郷土料理店。地元食材を使った定食や単品でけの汁を提供する

よくある質問

Q. 「け」とはどういう意味ですか。

A. 津軽弁で「粥(かゆ)」を「け」と呼んだことに由来するという説が広く知られていますが、『万葉集』の「草」を意味する語に由来するという説や、「ハレ」に対する日常食(ケ)を意味するという説など、複数の語源説があります。

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