
若狭塗は、福井県小浜市で作られる漆器です。卵の殻やアワビなどの貝殻、松葉などで模様を付け、色漆を何層も塗り重ねたのち、砥石で研いで模様を浮かび上がらせる「研ぎ出し」が最大の特徴です。その模様は若狭湾の海底を思わせるといわれ、かつては「宝石塗」とも呼ばれました。江戸時代初期、小浜藩の御用塗師・松浦三十郎が中国の漆器をヒントに、海底の様子を意匠化した塗りを考案したのが始まりとされます。藩主の酒井家は若狭塗を手厚く保護し、江戸中期から後期には200種以上の塗手法が生まれたと伝えられています。1978年(昭和53年)には国の伝統的工芸品に指定されました。現在の代表的な製品は塗箸で、小浜市は国内で生産される塗箸の8割以上を占めるとされます。市内の箸のふるさと館WAKASAや若狭工房では、箸の研ぎ出し体験ができます。
発祥
若狭塗の起こりは江戸時代初期にさかのぼります。小浜藩の御用塗師だった松浦三十郎が、中国の漆器の一種「存星(ぞんせい)」をヒントに、若狭湾の海底の様子を意匠化した塗りを考え出したのが始まりとされます。三十郎の塗りは「菊塵塗(きくじんぬり)」と呼ばれ、弟子によって「磯草塗(いそくさぬり)」も編み出されました。やがて卵殻に金箔を押す技法も完成したと伝えられています。
歴史
寛永11年(1634年)に若狭へ入った小浜藩主・酒井忠勝は、藩を挙げて若狭塗を保護・奨励し、技術の他藩への流出も禁じたといわれます。承応2年(1653年)には、三十郎らが約7か月にわたり江戸で細工を命じられました。江戸中期から後期は若狭塗の黄金時代で、200種以上の塗手法が完成したと伝えられます。文久2年(1862年)には、皇女和宮の降嫁の支度品の塗物がすべて若狭塗で整えられました。
特徴
若狭塗の特徴は、漆を幾重にも塗り重ねては研ぐ「研ぎ出し」の技法にあります。貝殻や卵殻、金箔で模様を付け、漆を十数回塗り重ねたのち、石や炭で研いで模様を表します。完成までに数か月ほどを要し、独特の重厚感と風格を備えます。黒や朱の地に白・赤・緑・黄・金などがきらめく華やかさが魅力です。細い塗箸にも同じ技法で装飾が施され、食卓を華やかに彩ります。
技法
卵殻模様
卵の殻を漆の上に貼り付けて模様を作る技法です。その上に色漆を塗り重ね、研ぎ出すことで、白い殻の模様が漆の層の中から浮かび上がります。若狭塗を代表する模様の一つです。
貝殻模様
アワビなどの貝殻を用いて模様を付ける技法です。色漆を重ねたあとに研ぎ出すと、貝殻の輝きが深みのある色合いの中に現れ、海底を思わせる若狭塗らしい表情が生まれます。
起こし模様
松葉や檜葉(ひば)、菜種、籾殻(もみがら)などを使って、漆の面に模様の凹凸を付ける技法です。その上に色漆を塗り重ねて研ぎ出すと、植物の形が繊細な模様となって現れます。
使用される素材
制作工程
- 1
木地づくり
孟宗竹や桜などを割り、頭を太く先を細く削って箸の素地を作る。
- 2
模様付け
下地を施した素地に、アワビ貝や卵殻、松葉などで模様を付ける。
- 3
塗り重ね
色漆を塗り、金箔を施したうえで、さらに色漆を6〜7回塗り重ねる。
- 4
石研ぎ
砥石で研いで、塗り込めた模様を表に出す。
- 5
艶出し・磨き
漆を擦り込んで艶を出し、炭の粉や砥の粉などで磨き上げる。
| 主な産地 |
|
|---|
職人・工房
購入方法
- 箸のふるさと館WAKASA
- 小浜市福谷にある若狭塗箸協同組合の施設。若狭塗箸を中心に展示・販売しており、館内の閲覧は無料。営業は9時〜17時で、木曜と年末年始が休館(祝日の場合は開館)。購入先を見る →PR
- 膳かしわで(オンライン)
- 箸のふるさと館WAKASAの公式サイトで案内されている通販サイト。小浜まで足を運べなくても、若狭塗箸を自宅から注文できる。購入先を見る →PR
体験施設
よくある質問
Q. 若狭塗の模様はどのように作られるのですか?
A. 卵殻や貝殻、松葉などで模様を付けた上に色漆を何層も塗り重ね、砥石で研いで模様を表します。研ぎ出し方によって模様の現れ方が変わるため、同じ柄でも一つひとつ表情に違いが出ます。
Q. 若狭塗箸はどのくらい作られていますか?
A. 小浜市は、国内で生産される塗箸の8割以上を製造しているとされます。箸のふるさと館WAKASAでは、さまざまな若狭塗箸を見比べながら選ぶことができます。