志戸呂焼

Shitoro Yaki (Shitoro Ware)

志戸呂焼 1

画像: Wikimedia Commons

志戸呂焼(しとろやき)は、静岡県島田市の金谷地区で焼き継がれてきた陶器です。名前は、大井川西岸の金谷周辺がかつて「志戸呂郷」と呼ばれたことに由来します。窯跡の発掘調査から、成立は室町時代後期にさかのぼるとされます。瀬戸や美濃から移り住んだ陶工が窯を築いたのが始まりといわれます。その後、徳川家康の庇護を受け、家康から朱印状を与えられたとも伝わります。江戸時代には茶人・小堀遠州が好んだ「遠州七窯(えんしゅうなながま)」の一つに数えられ、茶陶の産地として全国に名を知られました。地元で採れる鉄分の多い土は硬く焼き締まり、湿気を嫌う茶壺に向くとされます。褐色や黒の鉄釉による素朴で渋い色調が持ち味です。現在は金谷の横岡などに窯元があり、抹茶・煎茶用の茶器を中心に作られています。静岡県の郷土工芸品に指定されています。

発祥

志戸呂焼の名は、大井川の西岸、現在の島田市金谷周辺が「志戸呂郷」と呼ばれたことに由来します。金谷横岡地区などでの窯跡の発掘調査から、成立は室町時代後期にさかのぼるとされます。瀬戸や美濃から移り住んだ陶工がこの地に窯を築き、茶器を焼いたのが始まりといわれます。島田市博物館は、戦国時代に横岡地区で焼かれたのが始まりと紹介しています。

歴史

戦国時代の末から江戸時代にかけて、志戸呂焼は徳川家康の庇護を受けたといわれます。家康から朱印状を与えられたとも伝わり、茶器のほか灯明皿やすり鉢など日用の器も焼かれるようになりました。寛永年間(1624〜1644年)には、三代将軍家光の茶道指南役を務めた小堀遠州が茶器づくりを指導したとされます。遠州好みの「遠州七窯」の一つに数えられたことで、名が広まりました。窯の火は大正・昭和を経て現代の陶芸家へ受け継がれています。

特徴

志戸呂焼は、島田市周辺で採れる鉄分の多い土を生かした焼き物です。この土は硬く焼き締まり、湿気を嫌う茶壺に最適とされてきました。釉薬の多くは褐色や黒の鉄釉で、古風な色調と素朴な味わいが持ち味です。窯元によっては、「虎斑(とらふ)」と呼ばれる独特の模様に焼き上げる技も伝わります。江戸時代から明治にかけては茶碗や茶入、水指などの茶陶が作られ、現在も抹茶・煎茶用の茶器が主な製品です。

使用される素材

鉄分の多い地元産の陶土鉄釉(褐色・黒)
主な産地
  • 島田市金谷(横岡・志戸呂など)

職人・工房

志戸呂焼 彦次窯

島田市横岡の窯元。大正・昭和を通じて祖父が守ってきた窯を、孫の丸山成己さんが受け継いでいる。この土地ならではの成分を持つ地元の土を生かし、渋みと落ち着きのある器を手がける。陶芸体験も受け付けている。

遠州志戸呂 利陶窯

島田市横岡にある志戸呂焼の窯元。作品の見学や購入ができるほか、窯の見学にも対応している。静岡県郷土工芸品振興会が紹介する志戸呂焼の製造事業者の一つで、旅行情報サイトでは陶芸教室・陶芸体験の施設としても紹介されている。

直透窯(鈴木青宵)

浜松市天竜区横川に窯を構える陶芸家・鈴木青宵さんの窯。1998年から志戸呂焼に本格的に取り組み、高麗写しの井戸茶碗など茶の湯の道具を中心に制作している。陶芸教室や陶芸体験も開いている。

公式サイト →

志戸呂焼 細井陶游

2002年に島田市金谷へ移り住んだ陶芸家・細井陶游さんの窯。島田市志戸呂にギャラリーを構え、志戸呂焼の伝統を踏まえた独創的な作品を制作している。

購入方法

各窯元での直売
志戸呂焼は各窯元が作品を直売しており、陶芸教室を開く窯元もある。静岡県郷土工芸品振興会の紹介では、商品は3,300円程度から110,000円程度までと幅広い。訪問の際は事前に窯元へ連絡しておくと安心。購入先を見る →PR

体験施設

志戸呂焼 彦次窯

静岡県島田市横岡914

陶芸体験を受け付けており、30分ほどで作品をつくることができる。焼き上がった器は後日郵送される。予約は旅行予約サイトなどで受け付けている。

直透窯(鈴木青宵)

静岡県浜松市天竜区横川364-3

完全予約制で、2名から受け付ける。約1時間半の体験コースは3,500円程度から、30分ほどのミニ体験は2,000円程度。作品の完成までは2か月ほどかかる。公共交通機関のない山あいにあるため、車での来訪が前提となる。

詳細を見る →

よくある質問

Q. 「遠州七窯」とは何ですか?

A. 江戸時代の茶人・小堀遠州が好んだとされる七つの窯を指す呼び名です。志戸呂焼はその一つに数えられます。遠州流茶道の紹介では、寛永年間に遠州が志戸呂焼の茶器づくりを指導したとされ、茶入「初桜」は遠州の好みをよく表す作品とされています。

Q. 古い志戸呂焼を見られる場所はありますか?

A. 島田市博物館が志戸呂焼を収蔵し、収蔵品展などでたびたび展示しています。展示の時期や内容は変わるため、訪れる前に博物館の案内で確認してください。

#陶器#遠州七窯#小堀遠州#茶陶#島田市