虫明焼

Mushiake-yaki

虫明焼 1

画像: Wikimedia Commons

虫明焼は瀬戸内市邑久町虫明で焼かれる茶陶で、江戸時代中期に岡山藩筆頭家老・伊木氏が虫明に設けた御庭窯を起源とすると伝えられています。同じ岡山県を代表する備前焼が釉薬を用いない焼き締め技法を特徴とするのに対し、虫明焼は釉薬をかけた薄作りの端正な器形と、京都の作風を思わせる瀟洒な意匠を特徴としており、両者は同じ県内でも異なる系譜を歩んできました。江戸末期の1847年には伊木忠澄(三猿斎)が自ら御庭窯を開き、京都から清風与平や楽長造、宮川香山といった当代一流の陶工を招いたことで、京焼の粟田風に通じる薄手で瀟洒な作風が確立されました。現在も地元産の山土を用いた独自の粘土に、天然松灰を用いた透明釉や鉄釉・銅釉を掛け、酸化と還元を明確に分けない焼成によって生まれる窯変が味わいを添えています。1988年には岡山県指定郷土伝統的工芸品に指定され、瀬戸内海に面した風光明媚な虫明の地で、少数の窯元が伝統を受け継いでいます。

発祥

虫明焼の起源は江戸時代中期、虫明に陣屋を構えた岡山藩筆頭家老・伊木氏が開いた御庭窯にあると伝えられています。1833年前後には地元の今吉吉蔵が播州龍野の陶工を招いて作陶したとの記録もあり、藩の御用窯として茶道具や日用の器が焼かれてきました。瀬戸内海に面し、古代・中世には潮待ち・風待ちの港として栄えた虫明の地で、独自の作陶文化が育まれました。

歴史

1847年、伊木忠澄(号・三猿斎)が虫明に御庭窯を開き、京都から清風与平・楽長造・宮川香山といった当代一流の陶工を招いたことで、虫明焼は京焼・粟田焼に通じる薄手で瀟洒な作風へと大きく変化しました。この京風の意匠と技法が、備前焼とは異なる虫明焼独自の様式として定着し、以後、茶道具を中心とする茶陶として発展を続けています。1988年には岡山県指定郷土伝統的工芸品に指定されました。

特徴

虫明焼は地元産の良質な山土から作られる独自の粘土を用い、薄作りで端正な器形が特徴です。天然松灰を自家精製した透明釉をはじめ、鉄釉・銅釉などの釉薬を掛け、酸化焼成と還元焼成を明確に分けない独自の焼成方法によって、深みのある窯変が生まれます。京風の瀟洒な意匠と繊細な作りから、茶道具として特に高く評価されています。

使用される素材

山土(虫明産粘土)天然松灰釉
主な産地
  • 岡山県瀬戸内市邑久町虫明

職人・工房

黒井千左(黒井完治)

虫明焼窯元の当主。岡山県指定重要無形文化財保持者(2011年〜)、瀬戸内市指定重要無形文化財保持者(2009年〜)として、江戸時代から続く虫明焼の技術を継承している。

公式サイト →

購入方法

虫明焼窯元 オンラインショップ
黒井千左・黒井慶雲・黒井博史ら虫明焼窯元による直営ショップ。湯呑や茶道具など、江戸時代から続く技術を受け継いだ作品を購入できる。購入先を見る →PR
晴れの国おかやま館 オンラインショップ
岡山県の特産品を扱う公式オンラインショップ。虫明焼の湯呑など日用の器を取り扱う。購入先を見る →PR

体験施設

虫明焼窯元

岡山県瀬戸内市邑久町虫明4493

黒井千左・黒井慶雲・黒井博史による窯元。窯場の見学のほか、作品鑑賞や抹茶を楽しむ体験プログラムも用意されている(要予約)。

詳細を見る →
#虫明焼#瀬戸内市#茶陶#岡山県指定郷土伝統的工芸品