
越前漆器は、福井県鯖江市の河和田(かわだ)地区を中心に作られている漆器です。約1500年前、のちの継体天皇が皇子だった頃、傷んだ冠の塗り替えを片山集落の塗師に命じたことが始まりと伝えられています。塗師は冠とともに黒塗りの椀を献上し、その出来栄えに感動した皇子が漆器づくりを奨励したといいます。堅牢な下地に漆を丁寧に塗り重ねた、艶やかで丈夫な仕上がりが特徴です。江戸時代末期には京都から蒔絵、輪島から沈金の技法を取り入れました。明治時代以降は旅館などで使う業務用漆器の販路を広げ、現在では外食分野で使われる漆器の大半を生産する産地となっています。1975年に国の伝統的工芸品に指定されました。
発祥
越前漆器の起源は、古墳時代後期にあたる約1500年前にさかのぼるとされます。第26代継体天皇が男大迹王(おおどのおう)として越前にいた頃、傷んだ冠の塗り替えを片山集落(現在の鯖江市片山町)の塗師に命じました。塗師は冠を修理し、黒塗りの椀を添えて献上します。見事な出来栄えに感動した皇子が漆器づくりを奨励したことが、始まりと伝えられています。
歴史
室町時代には、片山地区で作られた椀が「片山椀」と呼ばれるようになりました。江戸時代末期には京都から蒔絵の技術を、輪島から沈金の技法を取り入れて装飾の幅を広げます。明治時代中頃からは膳や重箱、盆などの角物づくりが増え、量産体制を整えて旅館などへの業務用漆器の販路を開きました。生産は河和田地区一帯に広がり、1975年に国の伝統的工芸品に指定されています。
特徴
堅牢な下地に漆を丁寧に塗り重ねることで生まれる、美しい艶と優雅なたたずまいが特徴です。産地では木地づくり、下地、塗り、加飾の各工程を専門の職人が担う分業体制が確立しています。椀や膳、重箱などの伝統品に加え、新しい色合いの器も開発されています。業務用では合成樹脂の漆器も手がけ、外食分野の漆器の8〜9割を生産しています。
技法
上塗り(花塗り・ろいろ塗り)
花塗りは、上塗りした漆を研磨せず、そのまま美しい塗肌に仕上げる技法です。ろいろ塗りは、上塗りの後に研ぎと磨きを重ねて深い光沢を引き出します。どちらも越前漆器の代表的な仕上げとして受け継がれています。
蒔絵・沈金
蒔絵は漆で文様を描き、乾く前に金粉や銀粉を蒔いて表す加飾です。沈金は漆の面に文様を彫り、その溝に金箔や金粉を施して仕上げます。いずれも江戸時代末期に京都や輪島から取り入れられました。
使用される素材
制作工程
- 1
木地づくり
ろくろで木を挽くなどして、器の形を作る。
- 2
下地
柿渋を用いる「渋下地」などで、丈夫な下地を整える。
- 3
中塗り
漆を塗り重ね、研いで表面を整える。
- 4
上塗り
花塗りやろいろ塗りで仕上げる。
- 5
加飾
蒔絵や沈金で文様を施す。
| 主な産地 |
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職人・工房
購入方法
- うるしの里会館 ミュージアムショップ
- 1,000種類以上の越前漆器を展示・販売しており、産地ならではの価格で購入できる。営業は9時〜17時で、毎月第4火曜(祝日の場合は翌日)と年末年始は休館。購入先を見る →PR
- 漆琳堂 直営店
- 鯖江市西袋町701にある直営店。伝統的な漆器に加え、カラフルな色の器など「漆琳堂」「RIN&CO.」「aisomo cosomo」のオリジナルブランドの商品が並ぶ。営業は10時〜17時、不定休。
体験施設
うるしの里会館
福井県鯖江市西袋町40-1-2
職人の指導で、絵付け(2,200円程度)、沈金(2,500円程度)、拭き漆(3,300円程度)を体験できる。いずれも1時間以内で仕上がる内容。2名以上で、2〜3日前までの予約が必要。
詳細を見る →よくある質問
Q. 「越前衆」とは何ですか?
A. 江戸時代から明治時代にかけて、全国で漆掻き(漆の採取)を行った越前の職人集団です。「越前式殺掻法」と呼ばれる採取技術を各地に広めました。彼らが漆掻きの旅で越前の鎌を売り歩いたことは、越前打刃物の販路拡大にもつながりました。
Q. 業務用漆器とはどんなものですか?
A. 旅館やホテル、飲食店などで使われる漆器のことです。越前漆器は明治時代から業務用の販路を開き、現在は合成樹脂製を含む外食分野の漆器の8〜9割を産地で生産しています。