上野焼

Agano-yaki

上野焼 1

画像: Wikimedia Commons

上野焼は福岡県田川郡福智町を中心に、香春町・大任町にまたがる地域で焼かれる陶器で、経済産業大臣指定伝統的工芸品です。1602年、豊前小倉藩主・細川忠興が朝鮮出身の陶工・尊楷を招き、福智山の麓・上野の地に開窯したのが始まりとされます。その後、細川氏・小笠原氏という歴代藩主の庇護のもと藩窯として発展し、江戸時代には遠州七窯の一つに数えられるほど茶人に愛されました。極めて軽く薄づくりであることが最大の特徴で、絵付けをほとんど行わず、深い青緑色が薄い白肌の上を流れ落ちる「緑青流し」をはじめ、鉄釉・灰釉・藁白釉・三彩釉など多彩な釉薬が生む窯変の美しさで知られています。1983年に国の伝統的工芸品に指定され、現在も福智町上野地区を中心に約20の窯元が伝統を受け継いでいます。

発祥

上野焼の開窯は1602年、豊前小倉藩の初代藩主・細川忠興が、朝鮮出身の陶工・尊楷(上野喜蔵)を招いて福智山の麓・上野の地に窯を開かせたことに始まるとされています。忠興は茶の湯に通じた大名として知られ、茶陶としての上野焼づくりを陶工に指導したと伝わっています。以後、藩主の交代とともに窯は保護され、細川氏の転封後は小笠原氏が藩窯として庇護を続けました。

歴史

江戸時代、上野焼は歴代小倉藩主の御用窯として茶道具を中心に発展し、遠州七窯の一つに数えられるほど茶人たちに珍重されました。明治維新で藩の庇護を失うと一時衰退しましたが、地元窯元の努力により技術が受け継がれ、昭和になって再興が進みました。1983年(昭和58年)には国の伝統的工芸品の指定を受け、現在も福智町上野地区を中心に約20の窯元が茶陶から日常の器まで幅広く手がけています。

特徴

上野焼は他の陶器と比べて極めて軽く薄づくりである点が最大の特徴で、手に取ったときの軽やかさと上品さが茶人に愛されてきました。装飾的な絵付けをほとんど行わず、釉薬の変化そのもので表情を作るのが特色で、深い青緑色の釉が白い肌の上を伝い落ちる「緑青流し」のほか、鉄釉・灰釉・藁白釉・銅釉と鉄釉を混用した三彩釉など、他に類を見ないほど多彩な釉薬による窯変の美しさを楽しめます。

使用される素材

陶土銅釉(緑青釉)鉄釉藁灰釉

制作工程

  1. 1

    土づくり

    陶土を精製し、薄づくりに耐えられるよう粘りを均一に整える。

  2. 2

    成形

    轆轤を用いて、上野焼特有の極めて薄い生地に挽き上げる。

  3. 3

    素焼き

    低温で一度焼き、施釉しやすいよう生地を安定させる。

  4. 4

    施釉

    銅釉・鉄釉・灰釉・藁白釉などを重ねて掛け分け、窯変による色彩を生み出す。

  5. 5

    本焼き

    高温で焼成し、緑青流しなど釉薬が織りなす独特の表情を完成させる。

主な産地
  • 福岡県田川郡福智町
  • 福岡県田川郡香春町
  • 福岡県田川郡大任町

職人・工房

宗家渡窯

1602年の上野焼開窯以来続く宗家の窯元。現当主・渡仁は伝統の技法を守りながら、現代の暮らしに合う器づくりにも取り組んでいる。

公式サイト →

熊谷本窯

明治維新後に熊谷久七らが再興した上野焼の窯元。金沢美術工芸大学卒業後、東京で陶芸家・辻清明に師事した十六代熊谷保興が当主を務める。

公式サイト →

購入方法

上野焼陶芸館
13窯元・約1,200点の作品を集めた展示販売施設。緑青流しをはじめ鉄釉・灰釉・藁白釉など多彩な色合いの上野焼を一堂に見比べて購入できる。購入先を見る →PR

体験施設

上野焼協同組合 陶芸体験

福岡県田川郡福智町上野(要予約・電話0947-28-5864)

電動ろくろまたは手びねりから選べる陶芸体験。料金は1名3,000円程度〜(粘土約800g)、完成品は焼成後1〜2か月で発送。

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