静岡県画像: Wikimedia Commons

静岡県

富士山と駿河湾に抱かれた静岡県は、東西に長く延びる東海道沿いで、手仕事と食の文化が育まれてきた県です。徳川家康が晩年を過ごした駿府(現在の静岡市)には、久能山東照宮や静岡浅間神社の造営で全国から職人が集まりました。その技を受け継ぐ駿河竹千筋細工や駿河雛具・駿河雛人形は、経済産業大臣指定の伝統的工芸品です。駿河漆器や駿河塗下駄、賤機焼も静岡市で作られています。遠州と呼ばれる県西部では、浜松注染そめや遠州綿紬、掛川葛布などの染織が盛んです。島田市金谷の志戸呂焼、伊豆市の修善寺紙も古い歴史を持ちます。食では、黒いだし汁の静岡おでんや黒はんぺん、駿河湾の桜えびのかき揚げが知られます。浜松餃子と浜名湖のうなぎ、富士宮やきそばも各地の名物です。安倍川もちや追分羊かん、わさび漬けなど、街道の土産として親しまれてきた味も残ります。

駿河竹千筋細工駿河雛具・駿河雛人形志戸呂焼掛川葛布静岡おでん浜松餃子富士宮やきそば桜えびのかき揚げ

静岡の伝統工芸

駿河竹千筋細工
木工静岡

駿河竹千筋細工

Suruga Take Sensuji Zaiku (Suruga Fine Bamboo Ware)

駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)は、静岡市で作られている竹工芸品です。竹を細く割って丸く仕上げた「丸ひご」を、竹の輪にあけた穴へ一本一本差し込んで組み上げます。他の産地の多くが平たいひごを編むのに対し、丸ひごを「組む」ことで、すっきりとした直線と優美な曲線を生み出します。静岡では弥生時代の登呂遺跡から竹製品の跡が見つかっており、古くから竹細工が暮らしに根付いていました。江戸時代には「駿河細工」と呼ばれ、東海道を行き交う大名や旅人に親しまれます。天保11年(1840年)、岡崎藩士の菅沼一我(すがぬまいちが)が丸ひごの技法を伝え、現在の繊細な作風の礎が築かれたといわれます。1976年に国の伝統的工芸品に指定されました。花器や虫かご、菓子器のほか、行灯(あんどん)や風鈴なども作られています。

駿河雛具・駿河雛人形
木工静岡

駿河雛具・駿河雛人形

Suruga Hinagu and Suruga Hina Ningyo (Suruga Doll Furnishings and Hina Dolls)

駿河雛具(するがひなぐ)と駿河雛人形(するがひなにんぎょう)は、静岡市を中心に作られているひな祭りの飾りです。どちらも1994年に国の伝統的工芸品に指定されました。雛具は、箪笥(たんす)や長持、鏡台、御所車など、雛人形とともに飾る小さな調度品です。伝統的なものだけで約40種類あり、本物の家具と同じ工程で作られます。木地を作る指物師・挽物師と、塗師、蒔絵師、金具師が分業で一つの品を仕上げます。昭和40年代には全国シェアの約9割を占めるまでになりました。雛人形は、静岡県中部で作られてきた天神人形にルーツを持ちます。稲わらを固く束ねた太い「藁胴(わらどう)」を使い、両腕を曲げて姿を決める「振り付け」に職人の技が表れます。人形の胴体では、全国生産の約7割を占めるに至りました。

駿河漆器
漆器静岡

駿河漆器

Suruga Shikki (Suruga Lacquerware)

駿河漆器(するがしっき)は、静岡市で作られている漆器です。江戸時代の寛永年間、静岡浅間神社の造営のために全国から腕のよい漆塗職人が集まりました。造営後も静岡に残った職人たちが技を伝えたことで、漆器づくりが根付いたといわれます。最大の特徴は「変わり塗(かわりぬり)」です。漆塗りの基本技術を応用し、さまざまな材料や技法を用いて独特の模様や手触りを表します。大正時代に考案された「金剛石目塗(こんごういしめぬり)」は、下地に川砂を使う技法で、静岡県の無形文化財に指定されています。幕末から明治にかけて万国博覧会に出品されて海外でも評価され、やがて輸出漆器の一大産地となりました。現在は静岡県郷土工芸品に指定され、2007年には静岡市で初めての地域団体商標に登録されています。

駿河塗下駄
漆器静岡

駿河塗下駄

Suruga Nuri Geta (Suruga Lacquered Geta Clogs)

駿河塗下駄(するがぬりげた)は、静岡市で作られている漆塗りの下駄です。木地に漆を塗り、蒔絵や彫りなどで華やかに飾るのが特徴です。明治時代、下駄職人の本間久次郎が、安価な日用品だった下駄に漆塗りを施した高級塗下駄を考え出したのが始まりとされます。軽い安倍杉を使って量産を図り、問屋を通じて出荷されると全国的な流行となりました。大正時代には、不振に陥った輸出漆器の職人たちが塗下駄づくりに転じます。駿河漆器の「変わり塗」の技術が下駄にも生かされ、「高級塗下駄といえば静岡」といわれるほどの産地に成長しました。現在は静岡県郷土工芸品に指定され、市内の職人が伝統の技を受け継いでいます。

志戸呂焼
陶器静岡

志戸呂焼

Shitoro Yaki (Shitoro Ware)

志戸呂焼(しとろやき)は、静岡県島田市の金谷地区で焼き継がれてきた陶器です。名前は、大井川西岸の金谷周辺がかつて「志戸呂郷」と呼ばれたことに由来します。窯跡の発掘調査から、成立は室町時代後期にさかのぼるとされます。瀬戸や美濃から移り住んだ陶工が窯を築いたのが始まりといわれます。その後、徳川家康の庇護を受け、家康から朱印状を与えられたとも伝わります。江戸時代には茶人・小堀遠州が好んだ「遠州七窯(えんしゅうなながま)」の一つに数えられ、茶陶の産地として全国に名を知られました。地元で採れる鉄分の多い土は硬く焼き締まり、湿気を嫌う茶壺に向くとされます。褐色や黒の鉄釉による素朴で渋い色調が持ち味です。現在は金谷の横岡などに窯元があり、抹茶・煎茶用の茶器を中心に作られています。静岡県の郷土工芸品に指定されています。

賤機焼
陶器静岡

賤機焼

Shizuhata Yaki (Shizuhata Pottery)

賤機焼(しずはたやき)は、静岡市葵区で焼かれている陶器です。江戸時代初期、徳川家の家臣・太田七郎右衛門が、駿府に在城していた徳川家康から、賤機山(しずはたやま)の麓に朱印地と「賤機焼」の称号を与えられたのが始まりと伝わります。以後、徳川家の御用窯として栄えたといわれます。しかし文政年間の末頃、安倍川の大氾濫で窯場が流され、一度途絶えました。明治時代に再興の動きが起こり、静岡県が招いた陶工の青島庄助によってよみがえります。その後、青島家の二代目が常滑焼の技術を、三代目が南蛮手や釉裏紅(ゆうりこう)の技法を取り入れ、独自の焼き物へと発展しました。外側を鬼瓦、内側を福面にかたどった縁起物「鬼福(おにふく)」がよく知られています。現在は青島家の五代目が「秋果陶房」で作陶を続けており、静岡県郷土工芸品に指定されています。

浜松注染そめ
染物静岡

浜松注染そめ

Hamamatsu Chusen Zome (Hamamatsu Pour-Dyed Textiles)

浜松注染そめ(はままつちゅうせんそめ)は、静岡県浜松市で受け継がれている型染めの一種です。注染は明治時代に考案された日本独自の染色技法です。型紙で防染糊を置いた木綿の生地を台に乗せ、上から染料を注いで下へ抜くことで染め上げます。生地の表と裏が同じ濃さに染まり、にじみやぼかしを生かした柔らかな風合いに仕上がります。浜松では明治20年代に手ぬぐいの染めから始まり、大正時代には浴衣染めが仕事の中心になりました。豊かな地下水や川の水、乾いた遠州の風に恵まれ、東京・大阪と並ぶ浴衣の産地として発展しています。現在は浴衣や手ぬぐいのほか、のれんや浜松まつりの手ぬぐいなども染められています。静岡県の郷土工芸品に指定され、市内の染工場が技を守り続けています。

掛川葛布
織物静岡

掛川葛布

Kakegawa Kuzufu (Kakegawa Kudzu Cloth)

掛川葛布(かけがわくずふ)は、静岡県掛川市で織り継がれてきた布です。山野に自生する葛(くず)のつるから繊維を取り出して糸にし、緯糸(よこいと)として手織りで織り上げます。絹や麻とは違う、やさしく落ち着いた光沢と渋みが持ち味です。鎌倉時代にはすでに武家の装束などに使われたと伝わります。江戸時代には掛川藩の保護奨励を受け、裃(かみしも)地や袴地、合羽地として珍重されました。東海道の掛川宿を通る参勤交代の大名の土産品にもなりました。明治に入って武士の需要を失うと、襖地へと用途を移して復活します。明治30年頃からは壁紙として米国へ輸出されました。現在は2軒の織元が、つるの採取から手織りまで昔ながらの手仕事を守っています。「掛川手織葛布」の名で静岡県の郷土工芸品に指定されています。

遠州綿紬
織物静岡

遠州綿紬

Enshu Men Tsumugi (Enshu Cotton Pongee)

遠州綿紬(えんしゅうめんつむぎ)は、静岡県西部の遠州地方で織られてきた綿織物です。遠州は温暖で日照時間が長く、江戸時代から三河・泉州と並ぶ綿の産地として栄えました。農家の副業として手織りの綿織物が広まり、縞柄の木綿は「遠州縞(えんしゅうじま)」と呼ばれるようになります。凹凸のあるネップ糸やスラブ糸を経糸と緯糸に使い、昔ながらのシャトル織機でゆっくり織ることで、紬のような素朴な風合いが生まれます。洗うほどに糸の撚りがほぐれて空気を含み、肌ざわりが柔らかくなるのも特徴です。遠州は明治以降、豊田佐吉らの織機の発明もあって日本有数の織物産地に成長しました。現在は浜松市のぬくもり工房が、常時100柄以上の生地や小物を手がけています。浜松の繊維デザインのルーツともいわれ、地域を代表する織物として親しまれています。

修善寺紙
和紙静岡

修善寺紙

Shuzenji Gami (Shuzenji Washi Paper)

修善寺紙(しゅぜんじがみ)は、静岡県伊豆市修善寺の紙谷(かみや)地区で漉かれてきた和紙です。起源ははっきりしませんが、平安時代ごろから漉かれていたともいわれ、千年に及ぶ歴史を持つとされます。『平家物語』にもその名が見え、源頼朝が挙兵の際に関東の武士へ送った文書にも使われたと伝わります。江戸時代には徳川家康がその質を認めて奨励し、幕府の御用紙として用いられたといわれます。古くは薄紅色を帯びた薄い紙で、簾目(すだれめ)の模様が表れるのが特徴でした。明治から大正にかけて、洋紙の普及などにより生産は途絶えます。1985年に地元住民の協力で紙谷に工房が建てられ、復元への取り組みが始まりました。現在は修善寺紙谷和紙工房で紙漉きが続けられ、紙漉き体験も行われています。

静岡の郷土料理

静岡おでん
鍋料理静岡

静岡おでん

Shizuoka Oden

静岡おでんは、牛すじなどでとった色の濃いだし汁で、串に刺した具材を煮込む静岡市の郷土料理です。具には黒はんぺんや牛すじ、大根、こんにゃく、卵などが使われます。食べる直前に、魚の削り節を粉にした「だし粉」と青のりをたっぷりかけるのが特徴です。だし汁には濃口しょうゆを使い、継ぎ足しながら煮込むため、黒っぽい色になります。始まりは大正時代とされ、戦後には廃棄されていた牛すじや豚もつを具に使うようになって人気が高まりました。専門店や居酒屋だけでなく、惣菜屋や駄菓子屋でも1本単位で買えるのが静岡らしいところです。子どもたちは駄菓子屋で、おやつ代わりにおでんを食べて育ってきました。戦後、静岡市役所近くの通りには数多くのおでん屋台が並びました。その流れをくむ「青葉おでん街」と「青葉横丁」には、今もおでん店が軒を連ねています。

浜松餃子
肉料理静岡

浜松餃子

Hamamatsu Gyoza

浜松餃子は、静岡県浜松市で親しまれているご当地餃子です。キャベツをたっぷり使ったあっさりした餡に、豚肉のコクを合わせた味わいが特徴です。焼いた餃子をフライパンの形のまま円形に並べ、中央にゆでたもやしを添える盛り付けがよく知られています。戦後に浜松駅の周辺で営業した屋台がルーツの一つとされ、1953年(昭和28年)創業の「石松餃子」は浜松餃子の元祖ともいわれます。2000年代半ばには市民有志が「浜松餃子学会」を立ち上げ、餃子の街としてのPRに取り組んできました。総務省の家計調査では、餃子の1世帯当たり年間支出金額で宇都宮市などと首位を争っています。浜松市は2011年に初めて全国1位となり、2025年の調査では3年連続の1位でした。市内には専門店や持ち帰りの店が多く、外食でも家庭の食卓でも身近な料理です。

富士宮やきそば
麺類静岡

富士宮やきそば

Fujinomiya Yakisoba

富士宮やきそばは、静岡県富士宮市で親しまれているご当地やきそばです。市内の指定製麺所が作るコシの強い蒸し麺を使い、ラードを搾った後に残る「肉かす」を具に加えます。仕上げにいわしやさばの削り粉(だし粉)をふりかけるのが特徴です。独特の蒸し麺は、戦後の食料難の時代に、戦地で食べたビーフンを再現しようとする中で生まれたといわれます。2000年(平成12年)には市民有志が「富士宮やきそば学会」を立ち上げ、やきそばによる町おこしを始めました。だじゃれを交えたユニークなPR活動で全国に知られるようになり、2006年と2007年にはB-1グランプリで2年連続のグランプリに輝きました。富士山本宮浅間大社の門前町である富士宮の市内には、やきそばを出す店が150店ほどあるといわれます。地元の人の日常の味であると同時に、観光客のお目当てにもなっています。

桜えびのかき揚げ
海鮮静岡

桜えびのかき揚げ

Sakura Ebi Kakiage (Sakura Shrimp Tempura Fritters)

桜えびのかき揚げは、駿河湾で獲れる桜えびをたっぷり使い、衣を少なめにしてカラッと揚げた静岡県の名物料理です。桜えびは透き通った桜色の小さなえびで、国内で漁業として水揚げされているのは駿河湾だけです。水揚げ港は、静岡市清水区の由比港と焼津市の大井川港に限られます。漁は春と秋の年2回で、漁が行われるのは年間で通算40日ほどとされます。漁の始まりは明治時代で、由比の漁師が偶然に大量の桜えびを網にかけたことがきっかけといわれます。産地の由比や蒲原(かんばら)では、かき揚げのほか、生の桜えびを豆腐やねぎと煮付ける「沖あがり」も食べられてきました。サクサクの衣の中に桜えびがぎっしり詰まり、香ばしさと甘みが楽しめます。かき揚げ丼や、そば・うどんにのせて味わうのも定番です。

黒はんぺん
海鮮静岡

黒はんぺん

Kuro Hanpen (Black Fish Cake)

黒はんぺんは、さばやあじ、いわしなどの青魚を骨や皮ごとすり身にし、ゆでて作る静岡県の練り物です。魚を丸ごと練り込むため、灰色がかった黒っぽい色をしています。半月のような形をしており、型を使って1枚ずつ形を整えて作られてきました。焼津が発祥とされ、今では静岡県内の全域で食べられています。県内で「はんぺん」といえば黒はんぺんのことで、白くふわふわしたはんぺんとは別のものです。そのまま食べたり、焼いたり、煮物にしたりと、食べ方はさまざまです。パン粉をつけて揚げる「黒はんぺんフライ」は、家庭やスーパーの定番の総菜です。静岡おでんにも欠かせない具で、だし粉と青のりをかけて味わいます。学校給食にも登場し、子どもから大人まで世代を超えて親しまれています。

浜名湖のうなぎ
海鮮静岡

浜名湖のうなぎ

Hamanako Unagi (Lake Hamana Eel)

浜名湖のうなぎは、静岡県西部の浜名湖周辺で養殖され、浜松市一帯で蒲焼きなどにして味わわれている名物です。浜名湖は日本のうなぎ養殖発祥の地とされます。1900年(明治33年)、東京でうなぎの養殖を研究していた川魚商の服部倉治郎が、浜名湖を適地と見込んで養鰻池を造ったのが始まりと伝わります。周辺では稚魚のシラスウナギがとれ、温暖な気候や豊富な地下水にも恵まれていたことから、一大産地へと発展しました。浜名湖産のうなぎは、脂ののりがよく、柔らかくふっくらとした身が評価されています。2026年(令和8年)7月には「浜名湖うなぎ」が地理的表示(GI)保護制度に登録されました。浜松の市街地や舘山寺(かんざんじ)温泉の周辺には、明治創業の老舗をはじめ、うなぎ料理の店が数多くあります。うな重やうな丼のほか、たれをつけずに焼く白焼きも味わえます。

わさび漬け
発酵食品静岡

わさび漬け

Wasabi-zuke (Wasabi Pickled in Sake Lees)

わさび漬けは、細かく刻んだわさびの根茎や茎、葉を塩漬けにし、酒粕と合わせて漬けた静岡県の名産品です。酒粕のまろやかな味わいの中に、わさびのツンとした辛みと香りが感じられます。江戸時代中期に、駿府(すんぷ、現在の静岡市)のわさび商人・田尻屋利助が考案したといわれます。有東木村で作られていたものに工夫を加え、酒粕に漬けたところ評判となり、駿府の特産品になりました。わさびの栽培は、静岡市葵区の山あいにある有東木(うとうぎ)が発祥の地と伝えられます。静岡県は今も、わさびの産出額や栽培面積が全国一の産地です。1889年(明治22年)に東海道線の静岡駅が開業すると、わさび漬けは駅の土産として全国に知られるようになりました。温かいご飯にのせたり、酒のつまみにしたりと、一年を通して日常的に食べられています。今も静岡を代表する土産物の一つです。

浜納豆
発酵食品静岡

浜納豆

Hama Natto (Fermented Salted Soybeans)

浜納豆は、大豆に麹菌をつけて発酵させ、塩水に漬けて熟成させた後に乾燥させた、静岡県浜松市の伝統的な発酵食品です。黒褐色の粒で糸は引かず、濃い味噌に似た塩気とうまみがあります。このような納豆は塩辛納豆や寺納豆と呼ばれ、古く中国から伝わり、寺院で作られてきました。浜松市浜名区三ヶ日町(みっかびちょう)の大福寺(だいふくじ)には室町時代に製法が伝わったとされ、「大福寺納豆」として今も寺で手作りされています。徳川家康の好物だったといわれ、献上を待ちわびて「浜名の納豆はまだか」と言ったことが名前の由来と伝わります。江戸時代には歴代の将軍への献上品にもなりました。現在は市内の醸造元なども製造しています。そのままおつまみにするほか、調味料としてカレーや麻婆豆腐の隠し味にも使われます。浜松の小・中学校の給食でも、浜納豆を隠し味にしたカレーが出されています。

安倍川もち
郷土菓子静岡

安倍川もち

Abekawa Mochi (Rice Cakes with Sweet Soybean Flour)

安倍川もちは、つきたての餅にきな粉をまぶし、白砂糖をかけた静岡市の名物菓子です。こしあんで包んだ餅と一緒に出されることも多く、江戸時代から東海道の名物として旅人に親しまれてきました。名前は、静岡市を流れる安倍川(あべかわ)のほとりの茶店で売られて有名になったことに由来するといわれます。徳川家康が名付けたという言い伝えもあり、きな粉を安倍川の砂金に見立てて「金な粉餅」と呼んだという逸話が残ります。江戸時代、白砂糖はとても珍しいものだったため、砂糖をかけた餅は旅人に喜ばれました。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも、安倍川の名物として登場します。戦時中は砂糖が手に入りにくくなって姿を消しましたが、戦後に復活しました。今も安倍川橋のたもとの老舗で味わえるほか、静岡土産の定番として親しまれています。

追分羊かん
郷土菓子静岡

追分羊かん

Oiwake Yokan (Bamboo-Wrapped Steamed Yokan)

追分羊かんは、静岡県静岡市清水区追分の「追分羊かん本店」が作る、竹の皮に包んだ蒸し羊羹です。店は1695年(元禄8年)の創業とされます。旧東海道の江尻宿(えじりしゅく)のはずれ、久能山(くのうざん)へ向かう久能道との分かれ道(追分)に店を構えています。東海道を行き交う旅人に親しまれ、300年以上にわたって街道の名物として受け継がれてきました。小豆のあんにもち米を混ぜ、竹の皮で包んで蒸し上げるため、竹の香りが移ります。ねっとりとした独特の舌触りで、甘さは控えめの素朴な味わいです。竹の皮の上から包丁で切り分け、皮をはがして食べるのも特徴です。江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜が好んだとも伝わります。東海道の旅をテーマにした日本遺産「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の構成文化財の一つにもなっています。

モデルコース

静岡駅周辺で駿府の工芸を選び、青葉横丁で静岡おでんを味わうコース

JR静岡駅のASTY静岡西館にある駿府楽市で、駿河竹千筋細工や駿河漆器、駿河塗下駄などの工芸品を見比べます。駅から歩いて数分の田丸屋本店 紺屋町本店では、わさび漬けを土産に選べます。夕方は青葉横丁へ向かいましょう。屋台の時代から続く三河屋などで、串に刺したおでんにだし粉と青のりをかけ、黒はんぺんや牛すじを味わえます。

丸子の匠宿で竹と漆の体験をし、安倍川のたもとで安倍川もちを味わうコース

静岡市駿河区丸子の駿府の工房 匠宿で、駿河竹千筋細工の虫かごや花器づくり、駿河漆器にちなんだ漆の体験に挑戦します(WEBでの事前予約がおすすめ)。帰りは安倍川橋のたもとの弥勒へ。1804年創業と伝わる石部屋で、つきたての安倍川もちやからみ餅を味わえます。時間があれば葵区柳町の秋果陶房を訪ね、鬼福などの賤機焼を見るのもよいでしょう。

清水の追分羊かんから由比へ、桜えびと駿河雛人形にふれるコース

旧東海道の江尻宿と久能道の分かれ道に建つ追分羊かん本店で、竹の皮で包んだ蒸し羊羹を求めます。東海道線で由比へ移り、旧東海道沿いの高台にある桜えび・磯料理 くらさわやで、駿河湾を望みながら桜えびのかき揚げを味わいましょう。JR由比駅から歩いて15分ほどの望月人形では、稲わらの胴を使う駿河雛人形や天神人形を見られます。由比漁港の直売所では、冷凍の生桜えびを漁期以外でも買えます。

浜松で餃子とうなぎを食べ比べ、遠州の綿織物と注染にふれるコース

昼は浜松市中央区の餃子専門店むつぎくなどで、円形に焼いて中央にもやしを添えた浜松餃子を味わいます。午後は浜名区染地台のぬくもり工房 本店へ。昔ながらのシャトル織機で織った遠州綿紬の反物や小物を選べます(水曜定休)。夕食は明治創業のうなぎ 八百徳 本店などで、名物のお櫃うなぎ茶漬を。浜松駅の土産店では、ヤマヤ醤油の浜納豆も買えます。注染の手ぬぐいは、市内の染工場のオンラインショップで購入できます。

掛川の葛布の工房で機織りを体験し、金谷の志戸呂焼の窯元を訪ねるコース

掛川市城下の小崎葛布工芸で、葛の糸づくりを映像で学び、職人が使う織機でコースターを織ります(電話予約制、火曜定休)。掛川駅から歩いて6〜7分の川出幸吉商店でも、予約制で織元の見学と機織り体験ができます。午後は東海道線で金谷へ。横岡の志戸呂焼 彦次窯では、30分ほどで作品をつくる陶芸体験ができ、焼き上がった器は後日郵送されます。

富士山本宮浅間大社の門前町で富士宮やきそばを食べ歩くコース

富士山本宮浅間大社に参拝した後、参道入口のお宮横丁へ向かいます。富士宮やきそば学会が直営するアンテナショップや、老舗の一つとされるすぎ本で、肉かすとだし粉を使った富士宮やきそばを味わえます。足をのばして、淀師のうるおいていやお好み食堂 伊東など、地元で人気の店を食べ比べるのもおすすめです。土産には、蒸し麺と肉かす、だし粉がそろった家庭用セットが便利です。

修善寺温泉の奥、紙谷で修善寺紙の紙漉きを体験するコース

修善寺温泉街から車で5分ほどの紙谷地区にある修善寺紙谷和紙工房で、名刺やはがきなどの紙漉きを体験します(2名から前日までの予約制、小学生以上)。はがきを選べば、草花を漉き込んだデザインにもできます。修善寺のSHUZENJI WASHI LABORATORYでは、和紙の原料や道具に触れ、ここでしか買えない和紙製品を選べます(営業日時は事前に確認)。

イベント

浜松まつり

毎年5月3日〜5日(2026年は5月3日〜5日、凧揚げ合戦は10時〜15時) / 浜松市(中田島凧揚げ会場・市内中心部)

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由比桜えびまつり

5月3日(2026年は5月3日、8時〜14時) / 静岡市清水区由比(由比漁港)

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地図