ローカルフードジャンル
甘味
全国各地の甘味を横断的に紹介します。
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20 件
花いんげんの煮豆
Hana Ingen no Nimame
花いんげんの煮豆は、群馬県北部の吾妻地域で栽培される「花豆(紅花いんげん)」をやわらかく煮た郷土の常備菜です。花豆は標高900〜1,300メートルという冷涼な高原地帯でのみ育つ大粒の豆で、嬬恋村をはじめ中之条町や草津町、長野原町など吾妻地域一帯の特産品として知られています。乾燥保存した豆をおいしく食べやすくするため、時間をかけてやわらかく煮て仕上げる調理法が根づき、栗にも似た風味豊かな味わいを引き出します。祭りや冠婚葬祭、正月のおせちなど、地域のハレの日に供される料理としても親しまれ、収穫した豆を神棚に供える家庭もあるほど、暮らしに根ざした食材です。甘納豆や赤飯、ようかんなど、煮豆以外の加工品としても親しまれています。

ずんだ餅
Zunda Mochi
ずんだ餅は、茹でた枝豆をすり潰して作る鮮やかな緑色の「ずんだ餡」を餅にからめた、宮城県仙台地方を代表する郷土菓子です。江戸時代末期には和え衣としての「ずんだ」がすでに定着していたとされ、農作業や祝い事の際に家族総出で枝豆をさやから取り出し、すり鉢で潰して作られてきました。名前の由来には諸説があり、豆を打ち潰す作業を表す「豆打(ずだ)」が訛ったとする説のほか、仙台藩祖・伊達政宗が陣中で刀の柄(陣太刀)を使って枝豆を砕かせたという逸話に由来するという俗説も広く知られています。ただし政宗との直接的な結びつきを示す確かな史料はなく、後世に広まった俗説とみる見方が一般的です。現在では餅のほか、シェイクや洋菓子など幅広い商品に展開され、仙台土産の定番として親しまれています。
小豆ほうとう
Azuki Hoto
小豆ほうとう(あずきほうとう)は、ほうとうの麺を、砂糖で甘く味つけした小豆の汁に入れて煮る山梨県の郷土料理です。見た目も味もお汁粉に近く、「しるこほうとう」とも呼ばれます。「小豆ぼうとう」と濁って書かれることもあります。本来、小豆の汁には餅を入れるのがふさわしいとされます。しかし水田の少ない山梨では餅が大変貴重だったため、太めに切ったほうとうの麺を餅の代わりにしたと伝わります。味噌で煮る日常のほうとうとは違い、正月や盆、村の祭り、田植えの時期など、行事や祝い事の日に食べられてきました。北杜市須玉町若神子(わかみこ)の三輪神社の夏祭りは、小豆ほうとうがふるまわれることから「ほうとう祭り」とも呼ばれます。現在は北杜市や甲府市、甲斐市などで受け継がれ、ほうとう専門店で味わうこともできます。

川越いも料理(大学いも等)
Kawagoe Imo Ryori (Daigaku-imo etc.)
川越いも料理は、埼玉県川越市周辺で古くから栽培されてきたさつまいも「川越いも」を使った大学いもや干し芋、いも菓子などの総称です。川越藩が位置する武蔵野台地は関東ローム層に覆われ、水はけのよい土壌と落葉堆肥を活かした栽培により、甘みが強く風味豊かなさつまいもが育つことで知られてきました。江戸時代には川越から江戸日本橋までの距離が十三里(約52km)であったことと「栗(九里)より(四里)うまい」という語呂合わせが結びつき、「栗より美味い十三里」という言葉が広まって川越いもの名声を高めたと伝えられます。現在も川越の代表的な観光地「菓子屋横丁」では大学いもを中心としたいも菓子を扱う店が軒を連ね、川越いもは埼玉を代表する食文化の一つとして親しまれています。

サーターアンダギー
Sata Andagi
サーターアンダギーは、小麦粉に卵と砂糖を合わせた生地を油で揚げた沖縄の伝統的な揚げ菓子です。名前は沖縄の言葉で「サーター(砂糖)」「アンダ(油)」「アギー(揚げる)」を組み合わせたもので、直訳すると「砂糖の天ぷら」を意味します。琉球王朝時代に料理人が中国へ渡った際、中国菓子の「開口笑(開口球)」の製法を持ち帰ったことが起源と伝えられています。砂糖が貴重だった時代には特別な日に作られる高級な菓子であり、揚げると生地の表面が丸く割れてチューリップの花のような形になることから縁起の良い菓子とされ、結納の品としても用いられてきました。日持ちが良いことから祝い事や贈答用の菓子として重宝され、現在では沖縄を代表するお土産・おやつとして県内外で広く親しまれています。

ういろう
Uiro
ういろうは、米粉に砂糖と湯水を加えて練り上げた生地を蒸し上げる、もちっとした食感が特徴の和菓子です。名古屋を代表する銘菓として知られていますが、発祥地は名古屋ではなく、菓子としてのういろうは博多や小田原、山口など各地に伝わっています。名古屋では江戸時代初期の万治2年(1659年)創業と伝わる老舗「餅文総本店」がういろう文化の始まりとされ、その後明治期創業の「青柳総本家」が事業を大きく発展させました。特に昭和39年(1964年)の東海道新幹線開通に合わせて車内販売が始まったことで全国に知られるようになり、名古屋みやげの定番として不動の地位を築いています。小豆・抹茶・栗など味のバリエーションも豊富で、切り分けやすい棒状の姿も親しまれています。

栗きんとん
Kuri Kinton
栗きんとんは、蒸した栗を裏ごしし、砂糖と合わせて茶巾で絞り上げた岐阜県中津川市発祥の和菓子です。おせち料理に入る「栗きんとん」(栗と芋を甘露に絡めたもの)とは別物で、東濃地方のものは栗と砂糖だけで作られ、栗本来の風味と素朴な味わいを楽しむ点が特徴です。江戸時代、中山道の宿場町として栄えた中津川では、恵那山麓に自生する山栗を蒸して裏ごしした素朴な菓子が旅人に振る舞われており、これが原型とされます。明治期に菓子屋によって商品化され、大正期に栗の栽培が始まると生産量が拡大しました。現在は9月から12月頃の秋の味覚として、中津川市内に十数軒の和菓子店が軒を連ね、県内外から多くの人が味わいに訪れます。

わらび餅
Warabimochi
わらび餅は、わらびの根から採れるでんぷん「わらび粉」を水で溶いて練り上げ、黒蜜ときな粉をかけて食べる涼菓。とろけるようなやわらかい食感とほのかな苦みが特徴で、平安時代には貴族に愛された高級菓子であったと伝わる。わらびの根からしか採れない「本わらび粉」は根10kgからわずか数百gほどしか取れないほど希少で、実際にはさつまいもなど他のでんぷんを使った廉価な商品も広く流通している。京都には注文を受けてから練り上げる出来立てにこだわる甘味処が多く、祇園や下鴨周辺を中心に本わらび粉を使ったわらび餅を提供する店が観光客にも人気を集めている。

小倉トースト
Ogura Toast
小倉トーストは、厚切りのトーストにバターまたはマーガリンを塗り、小倉あん(つぶあん)をのせて食べる、名古屋の喫茶店文化を象徴する軽食です。発祥には諸説あるものの、有力なのは大正10年(1921年)頃、名古屋・栄にあった喫茶店「満つ葉」で、学生客がぜんざいにトーストを浸して食べているのを見た店主がヒントを得て考案したという説です。以来、名古屋の喫茶店では定番メニューとして根付き、老舗喫茶「コンパル」や「喫茶マウンテン」、全国チェーンに成長した「コメダ珈琲店」など、店ごとに個性豊かなスタイルで提供されています。モーニング文化と結びつき、コーヒーのお供として朝から食べられているのも名古屋らしい特徴です。

福井の水ようかん
Fukui Mizu Yokan
福井の水ようかんは、こしあんと砂糖、寒天を煮溶かして冷やし固めた和菓子で、冬に味わう福井県の風物詩です。全国的に水ようかんは夏の菓子として知られますが、福井では11月ごろから3月ごろまでの冬季限定で作る店が多くあります。こたつに入って、よく冷やした水ようかんを食べるのが冬の楽しみとされています。黒砂糖を使った店が多く、すっきりとした甘さとなめらかな口どけが持ち味です。平たい紙箱に一枚で流し込んだ「一枚流し」と呼ばれる形が主流です。付属のヘラで切り分けたり、すくったりして食べます。糖度が低いため日持ちは短く、要冷蔵の商品が中心です。福井市の観光サイトでは、市内だけで20軒を超える販売店が紹介されています。店ごとに甘さや厚み、黒糖の風味が異なり、食べ比べも楽しめます。大野市などでは「丁稚ようかん」とも呼ばれ、厚みのあるものが親しまれています。

みそポテト
Miso Potato
みそポテトは、茹でたじゃがいもに衣をつけて揚げ、甘辛い味噌だれをたっぷりとかけた秩父地方の郷土料理です。平地が少なく畑作が中心だった秩父では、収穫したじゃがいものうち小ぶりなものをいろりで焼き、味噌だれを塗って食べたのが始まりとされ、農作業の合間に食べる「小昼飯(こぢゅうはん)」として長く親しまれてきました。地元では長らく家庭料理として知られるのみでしたが、平成21年(2009年)の「第5回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦inちちぶ」で優勝したことをきっかけに知名度が全国区へと広がりました。ホクホクとした食感のじゃがいもに甘辛い味噌が絡む素朴な味わいは、おやつやおつまみ、おかずとしても楽しまれ、現在では秩父市内の食堂や土産物店、観光地の売店など様々な場所で味わうことができます。
くるみ餅
Kurumi Mochi (Sakai Wrapped Rice Cake)
くるみ餅は、小さな餅を緑色の餡でくるんだ、大阪府堺市の名物甘味です。名前の「くるみ」は木の実の胡桃ではなく、餅を餡で「くるむ」ことに由来します。元祖とされるのは、堺市堺区の老舗「かん袋」です。店の由来によると、1329年(元徳元年)に和泉屋徳兵衛が餅屋を開いたのが始まりとされます。室町時代の中ごろ、明との貿易で栄えた堺で、5代目の主人が明から入った農作物を使い、塩味の茶菓子として作り出したといわれます。のちにルソン(現在のフィリピン)から砂糖が入ると甘みが加わり、今の味になりました。明治時代には、かき氷をかけた「氷くるみ餅」も生まれ、夏には店に行列ができます。甘さを抑えた餡と柔らかな餅の取り合わせで、農林水産省「うちの郷土料理」でも大阪府の料理として紹介されています。

鶏卵素麺
Keiran Somen
鶏卵素麺は、卵黄を細く糸状に流し入れて糖蜜で煮上げた、素麺のように見える南蛮菓子です。16世紀に南蛮文化とともに長崎を経て博多に伝わったとされ、金平糖やカステラと並ぶ「日本三大銘菓」の一つに数えられることもあります。江戸時代初期、福岡藩の御用菓子司であった松屋利右衛門が製法を確立し、1673年(延宝元年)に藩主から屋号を許されて以来、350年以上にわたり作り続けられてきました。卵黄と砂糖だけで作られる濃厚な甘さと、糸のように細く繊細な食感が特徴で、慶事の引き出物や贈答品として今も福岡で愛されています。
氷室饅頭
Himuro manju
氷室饅頭は、旧暦6月1日にあたる「氷室の日」(現在は7月1日)に、無病息災を願って食べる金沢の縁起菓子です。江戸時代、加賀藩前田家は冬の間に白山山系に降った雪を氷室に貯蔵し、旧暦6月1日になるとこれを「白山氷」として江戸の将軍家に献上する習わしがありました。加賀飛脚と呼ばれる者たちが約480キロの道のりをわずか4日で走り抜けたと伝わり、この道中の無事を祈って庶民が饅頭を神仏に供えたことが、氷室饅頭の始まりとされています。皮は白・赤(桃)・緑の三色があり、それぞれ清浄・魔除け・健康の意味が込められているといわれます。こし餡を包んだふっくらとした酒饅頭で、現在も7月1日が近づくと金沢市内の和菓子店が一斉に店頭に並べる夏の風物詩となっています。

くずきり
Kuzukiri
くずきりは、葛粉を水で溶いて蒸し固め、麺のように細く切った京都の夏の甘味です。氷水で冷やしてつるりとした喉ごしを楽しみ、黒蜜や白蜜、きな粉などをつけていただきます。祇園の老舗「鍵善良房」をはじめとする甘味処の名物として広く知られ、注文を受けてから一枚ずつ手作りする店も多く、作りたてならではのコシと透明感のある食感が魅力です。原料には奈良・吉野の本葛が使われることが多く、葛の質がそのまま味と食感を左右する繊細な菓子として、京都の夏の風物詩となっています。祇園の老舗「鍵善良房」は享保年間(1716〜1736年)創業と伝わり、注文を受けてから一枚ずつ手作りするスタイルを守り続けています。

いももち
Imo-mochi
いももちは、茹でて潰したじゃがいもに片栗粉を加えて練り、平たく丸めて焼いた北海道のおやつです。表面はこんがりと香ばしく、中はもちもちとした独特の食感が持ち味で、甘辛い醤油だれや黄な粉、バターなど、シンプルな味付けで食べられています。稲作の技術が確立していなかった明治の開拓期、餅米の代わりに寒冷地でも育てやすいじゃがいもを使って餅のようなものをつくったのが始まりとされ、開拓者たちの貴重なエネルギー源として広まりました。じゃがいもの生産量日本一を誇る北海道、なかでも十勝地方は代表的な産地として知られ、家庭のおやつとしてはもちろん、道の駅や土産物店でも定番の一品として親しまれています。調理が手軽なことから戦中・戦後の食糧難の時代にも重宝され、今も世代を超えて愛される北海道の味です。
へらへら団子
Herahera Dango
へらへら団子は、三浦半島西部の漁師町・横須賀市佐島地区に江戸時代から伝わる郷土菓子です。小麦粉や上新粉・白玉粉で作った団子を平たく押しつぶし、こし餡をからめて食べる素朴なあんころ餅の一種で、毎年7月に行われる佐島地区の船祭りの際に、豊漁や無病息災を願う行事食として各家庭で作られてきました。名前の由来には、団子を押しつぶした平たい形が漁業道具の「箆(へら)」に似ているからとする説や、茹でると団子が水面で「へらへら」と揺れながら浮かび上がる様子に由来するとする説など、複数の言い伝えがあります。2007年に農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれたことをきっかけに、地元の菓子店による商品化も進みました。

干しいも
Hoshi Imo (Dried Sweet Potato)
干しいもは、蒸したさつまいもを薄く切って天日干しにした保存食で、ひたちなか市・東海村を中心とする茨城県沿岸部が全国生産量の大半を占める一大産地です。茨城での製造は明治41年(1908年)頃、静岡で見た製法を照沼勘太郎が持ち帰ったことをきっかけに、那珂湊(現ひたちなか市)の煎餅屋・湯浅藤七らが干しいもづくりを始めたことに由来するとされます。大正期から昭和初期にかけて製造戸数が着実に増え、戦後は県の奨励もあって生産が急拡大し、昭和30年(1955年)頃には発祥地の静岡県を上回って全国一の産地となりました。冬場の潮風と日照に恵まれた沿岸部の気候を生かし、昔ながらの「玉豊」や近年人気の「べにはるか」など、品種ごとの甘みと食感の違いを楽しめるのが持ち味で、今も茨城を代表する土産物として親しまれています。
吉野本葛
Yoshino Hon-kuzu
吉野本葛は、奈良県南部の吉野地方で作られる、くず粉の中でも特に高級とされる伝統食材です。マメ科のつる植物クズの根からでんぷんを取り出し、寒い時期に冷たい井戸水で何度もさらして精製する「吉野晒し」と呼ばれる製法で仕上げられます。原料となる葛根は山に分け入って掘り出す重労働から得られる貴重なものであり、精製から乾燥までに数か月をかける手間のかかる製法が、他の産地の葛粉にはない純白さとなめらかな口どけを生み出しています。吉野本葛はくず湯やくず餅、くずきりといった和菓子だけでなく、料理のとろみ付けなど幅広い用途に使われ、江戸時代から続く老舗の製造元によって今も伝統の技法が守られています。奈良県宇陀市に本店を構える黒川本家はその代表的な存在で、元和元年(1615年)の創業以来、400年以上にわたり同じ製法を守り続け、宮内庁への納入実績も持つ老舗として知られています。
弘前アップルパイ
Hirosaki Apple Pie
弘前アップルパイは、りんごの生産量日本一を誇る青森県弘前市で親しまれるご当地スイーツです。2009年頃、市の観光案内所にりんごスイーツの問い合わせが増えたことから、スタッフが市内の菓子店を独自に調査したところ、アップルパイを提供する店舗が40軒以上見つかり、2010年に「弘前アップルパイガイドマップ」として発信されたのが「アップルパイの街・弘前」の始まりです。和菓子屋、洋菓子店、ベーカリー、南部せんべい店、喫茶店、ホテルなど多様な業種の店がそれぞれ独自レシピを競い合っており、使用するりんごの品種や、丸ごと1個・ざく切り・スライス・ペーストといった加工方法も店ごとに個性豊かです。ガイドマップは版を重ねるごとに紹介店舗数を増やし、現在では50店舗を超えるまでに成長しました。食べ歩きを楽しむ観光客も多く、弘前を訪れたら外せないご当地グルメの一つとなっています。