わさび漬け

Wasabi-zuke (Wasabi Pickled in Sake Lees)

わさび漬け 1

画像: Wikimedia Commons

わさび漬けは、細かく刻んだわさびの根茎や茎、葉を塩漬けにし、酒粕と合わせて漬けた静岡県の名産品です。酒粕のまろやかな味わいの中に、わさびのツンとした辛みと香りが感じられます。江戸時代中期に、駿府(すんぷ、現在の静岡市)のわさび商人・田尻屋利助が考案したといわれます。有東木村で作られていたものに工夫を加え、酒粕に漬けたところ評判となり、駿府の特産品になりました。わさびの栽培は、静岡市葵区の山あいにある有東木(うとうぎ)が発祥の地と伝えられます。静岡県は今も、わさびの産出額や栽培面積が全国一の産地です。1889年(明治22年)に東海道線の静岡駅が開業すると、わさび漬けは駅の土産として全国に知られるようになりました。温かいご飯にのせたり、酒のつまみにしたりと、一年を通して日常的に食べられています。今も静岡を代表する土産物の一つです。

発祥

わさびは日本原産の植物で、古くから山あいに自生していました。静岡市葵区の有東木では、慶長年間(1596〜1615年)に、山に自生していたわさびを集落の湧水地に植えたのが栽培の始まりと伝えられます。1607年(慶長12年)には、駿府城に入った徳川家康に有東木のわさびが献上されました。家康はその味を称賛し、わさびを村の外へ持ち出すことを禁じたとも伝えられます。

歴史

江戸時代中期、駿府のわさび商人だった田尻屋利助が、有東木村で作られていたものを改良して酒粕に漬けたのが、わさび漬けの始まりとされます。酒粕に漬けることで保存がきくようになり、街道の土産として評判を集めたといわれます。19世紀には、石を段々に積んだ畳石式(たたみいしき)のわさび田が開発され、栽培は伊豆へ、やがて全国へ広がりました。2018年(平成30年)には「静岡水わさびの伝統栽培」が世界農業遺産に認定されています。

特徴

わさびの根茎だけでなく、茎や葉も細かく刻んで使います。刻んだわさびを一晩塩漬けにし、水気を切ってから酒粕と合わせて作ります。酒粕のまろやかさがわさびの辛みを包み込み、口に入れると鼻に抜けるような香りが広がります。辛みのしっかりしたものから辛さ控えめのものまであり、店ごとに味わいが異なります。

主な食材

わさび(根茎・茎・葉)酒粕塩

食文化

わさび漬けは、温かいご飯にのせたり、酒のつまみにしたりして、一年を通して食べられています。静岡駅の開業とともに駅の土産として広まり、今も静岡を代表する土産物です。わさび栽培発祥の地である有東木では、わさびの葉の天ぷらなど、わさびを使った料理も味わえます。

家庭料理との違い

家庭で作る場合は、わさびを刻んで塩漬けにし、酒粕と混ぜ合わせます。専門店には、わさびを包丁で丁寧に刻み、大きな樽に漬け込む昔ながらの手作りを守る店もあります。メーカーでは、わさびの配合などを変えて、辛さや風味の異なる複数の商品をそろえています。

有名店

田尻屋総本家

静岡県静岡市葵区新通1-3-2

わさび漬けの元祖とされる店で、1753年(宝暦3年)創業と伝えられます。わさび栽培発祥の地である有東木産のわさびを使い、包丁で刻んで大きな樽に漬け込む手作りの製法を守っています。すべて手作りのため、確実に買うには予約がすすめられています。

田丸屋本店 紺屋町本店

静岡県静岡市葵区紺屋町6-7

1875年(明治8年)創業のわさび加工の老舗で、わさび漬けを全国に広めた会社として知られます。本店はJR静岡駅から歩いて数分の場所にあり、わさび漬けをはじめ、わさびを使ったさまざまな食品を扱っています。静岡駅ビルのパルシェにも店があります。

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有東木 農林産物加工販売所 うつろぎ

静岡県静岡市葵区有東木280-1

わさび栽培発祥の地、有東木にある農林産物の加工販売所です。地元の人たちが打つ手打ちそばや、名物の「さびめし定食」、わさびの葉の天ぷらが味わえます。予約制でそば打ちやわさび漬け作りの体験ができ、地元産のわさび製品も買えます。

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よくある質問

Q. わさび漬けはなぜ酒粕に漬けるのですか?

A. 生のわさびは、そのままでは長く保存できません。江戸時代に田尻屋利助がわさびを酒粕に漬けたことで保存性が高まり、街道の土産として持ち帰れるようになったといわれます。酒粕のまろやかさがわさびの辛みと合わさり、独特の味わいを生み出しています。

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