信州そば

Shinshu Soba

信州そば 1

画像: Wikimedia Commons

信州そばは、長野県各地で育てられたそばを使って打つ、長野県を代表する麺料理です。冷涼で夜の気温が下がる高地の気候はそばの栽培に向いており、長野県のそば生産量は全国有数で、2020年(令和2年)には3,960トンと全国2位でした。米や小麦が育ちにくい山あいの土地でも実るそばは、昔から暮らしを支える作物でした。麺状の「そば切り」は信州が発祥ともいわれ、木曽郡大桑村の定勝寺には1574年(天正2年)の最古の記録が残ります。中山道の本山宿(現在の塩尻市)を発祥とする説もありますが、甲州(山梨県)説などもあり、諸説があります。県内には、戸隠そばや開田高原のそばなど、土地ごとに特色あるそばが受け継がれています。秋の収穫期には県内各地でそばまつりが開かれ、新そばを味わえます。

発祥

長野県のそばは、冷涼な気候や狭い土地など、米や小麦を育てにくい高冷地に向いた作物として作られてきました。修験道の開祖とされる役小角(えんのおづの)ら修行僧が携行食のそばの実を村人に伝えたという伝説も、各地に残ります。もとは、そば粉を湯で練った「そばがき」などとして食べられていたとされます。戸隠でも、平安時代から修行僧の食料としてそばが用いられたと伝わります。

歴史

木曽郡大桑村の定勝寺の古文書には、1574年(天正2年)に本堂を修理した職人へ「そば切り」を振る舞ったと記されています。これが「そば切り」の最古の記録とされます。1645年の『毛吹草(けふきぐさ)』は、そば切りを信濃国の名物に挙げています。1706年(宝永3年)の『本朝文選(風俗文選)』には、そば切りは本山宿から出て国々に広まったと記されています。戸隠では江戸時代に麺にする技法が伝わり、宿坊で参拝者をもてなす料理になりました。

特徴

長野県産のそばは、昼夜の寒暖差が大きい高地で育つため、香りの良い良質なものが採れるとされます。霧の多い戸隠高原などで採れるそばは「霧下(きりした)そば」とも呼ばれます。戸隠では、ゆでたそばを一口大に丸めて竹ざるに並べる「ぼっち盛り」が知られています。木曽の開田高原では、在来種「開田早生(かいだわせ)」を使う店もあります。長野県信州そば協同組合は、そば粉を40%以上使った乾めんを「信州そば」として認定しています。

主な食材

そば粉(県内産の在来種など)つなぎの小麦粉(店や製品により使わないことも)そばつゆ薬味(わさび・ねぎ・辛味大根など)

食文化

そばの収穫期にあたる10月から11月には、県内各地で「そばまつり」が開かれます。県内には、栽培から製粉、そば打ちまでを一つの地域で手がける施設や、そば打ち体験ができる施設もあります。長野県はオリジナル品種「信州ひすいそば」も育成しています。

家庭料理との違い

専門店では、地元産の玄そばを店で製粉し、その日に打つ店が多く見られます。そば粉とつなぎの割合は店ごとに異なり、十割そばや二八そばなどを打ち分けます。戸隠のぼっち盛りや木曽の在来種など、土地ならではの盛り付けや素材にも違いがあります。

有名店

うずら家

長野県長野市戸隠3229

戸隠神社中社の近くにある、戸隠を代表するそば店の一つです。厳冬期に製粉して冷凍保存したそば粉を使い、一年を通して新そばに近い風味を出しています。薬味にはわさびや地元産の辛味大根、地ねぎが付きます。

そば切り発祥の地 本山そばの里

長野県塩尻市宗賀本山4404-1

そば切り発祥の地といわれる本山宿にある手打ちそば店です。本山そばの技術と味を受け継ぐ企業組合が営み、地元の農家の方々が地元産のそば粉で毎日打っています。盛りそばは970円程度〜です。

そば処 信州霧しな

長野県木曽郡木曽町開田高原末川1898-1

標高約1,100mの開田高原にあるそば店です。地元の在来種「開田早生」の玄そばを使ったそばを出しています。冬には、そばを鍋のつゆにくぐらせて食べる郷土料理「とうじそば」も味わえます。

戸隠そば博物館 とんくるりん戸隠そばの歴史や道具を紹介する施設で、入館料は200円程度です。そば打ち体験もでき、料金は2人前で4,500円程度〜です。11月下旬から4月上旬までは冬期休館となるため、訪れる時期に注意が必要です。

よくある質問

Q. 「信州そば」と名乗る乾めんに決まりはありますか?

A. 長野県信州そば協同組合では、そば粉を40%以上配合した乾しそばを「信州そば」として認定し、商標登録しています。お土産に乾めんを選ぶ際の目安になります。

Q. 戸隠そばの「ぼっち盛り」とは何ですか?

A. ゆでたそばを一口ほどの束に分け、輪を描くように竹ざるへ並べる戸隠独特の盛り方です。通常は5つに分けて盛られ、戸隠の5つの寺社を表すという説があります。ざるは地元の戸隠竹細工で、手作業で作られています。

Q. そば切りは本当に信州が発祥なのですか?

A. 定勝寺に1574年の最古の記録が残り、『本朝文選』は本山宿発祥と記しています。一方で、甲州(山梨県)から始まったとする江戸時代の文献もあり、発祥地には諸説があります。

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