
さんま寿司は、三重県南部の熊野灘沿岸、熊野市や尾鷲市などの東紀州地域に伝わる郷土料理です。熊野灘でとれる脂の少ないサンマを開いて塩漬けにし、みかん酢などの柑橘酢でしめます。これを酢飯にのせ、押し寿司に仕上げます。正月や祝い事、祭りなど、人が集まる日に欠かせないごちそうとして作られてきました。熊野市の産田(うぶた)神社では、骨付きのさんま寿司を子どもに食べさせ、健やかな成長を願う「奉飯(ほうはん)」という行事が知られています。地元では、わさびやしょうがではなく、ねり辛子を添えるのが定番とされます。さんま寿司は志摩半島から和歌山県にかけての熊野灘沿岸一帯に伝わり、和歌山県南部でも親しまれています。
発祥
秋に南下してくるサンマは、熊野灘に届く頃には脂が落ちています。この脂の少ないサンマを塩と酢でしめ、日持ちのする寿司にしたのがさんま寿司です。東紀州一帯の漁師町では、保存食として、また祭りや正月などハレの日の料理として受け継がれてきました。熊野市には、1500年以上前から伝わるとする伝承もありますが、確かな起源ははっきりしていません。
歴史
さんま寿司は長く家庭で作られる料理で、店で買えるところはなかったとされます。1975年(昭和50年)に尾鷲市の三紀産業が製造販売を始め、尾鷲の名産として定着しました。2004年(平成16年)には、熊野市のさんま寿司保存会が1月10日を「さんま寿司の日」に制定しています。この日は産田神社の大祭の日でもあります。熊野市では、サンマをテーマにした「熊野きのもとさんま祭り」も開かれています。
特徴
サンマは開いて内臓を取り、塩漬けにします。水洗いした後、みかん酢などの柑橘の搾り汁を合わせた酢に漬けてしめます。これを酢飯にのせて押し寿司にし、切り分けて食べます。背開きか腹開きか、頭や尾を付けるかどうかは、地域や作り手によって異なります。熊野市では、中骨をあえて抜かずに仕上げるのが流儀とされます。
主な食材
食文化
東紀州では、正月や祝い事、地域の祭りに欠かせない料理です。産田神社の奉飯には、骨付きのさんま寿司を食べて「気骨のある子に育ってほしい」という親の願いが込められているといわれます。カルシウムをとる意味もあったと考えられています。
家庭料理との違い
家庭では、すし用に酢漬けにしたサンマがスーパーで売られるようになり、手軽に作れるようになりました。店で出されるさんま寿司は、漬け酢の味や薬味が店ごとに異なります。作ってすぐに食べるか、一晩おいてなじませるかなど、食べ方もさまざまです。
有名店
おわせお魚いちば おとと
三重県尾鷲市古戸野町2-10
水産会社「尾鷲物産」が直営する地場産品の直売所です。尾鷲港に水揚げされた鮮魚などが並び、店内の「おわせ魚食堂」では丼や寿司を気軽に味わえます。さんま寿司は500円程度で紹介されています。
詳細を見る →| 三紀産業 尾鷲の郷土寿司セット | 1975年(昭和50年)にさんま寿司の製造販売を始めた、尾鷲市の三紀産業の詰め合わせです。さんま寿司1本に、めはり寿司7個、きす寿司7貫が入ります。価格は3,450円(税込・送料別)程度です。 |
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よくある質問
Q. さんま寿司はなぜ骨を抜かないのですか?
A. 熊野市では、中骨をあえて抜かずに仕上げるのが流儀とされます。産田神社の奉飯のように、骨付きのさんま寿司を子どもに食べさせ、「気骨のある子に育ってほしい」と願う風習があるためです。地域によっては骨を取り除くなど、作り方には違いがあります。