おきゅうと

Okyuto

おきゅうと 1

画像: Wikimedia Commons

おきゅうとは、エゴノリという海藻を煮溶かして寒天状に固めた、福岡市を中心に食べられてきた郷土料理です。江戸時代から博多の朝食に欠かせない一品として親しまれ、戦前までは天秤棒を担いだ「おきゅうと売り」が毎朝町を売り歩いていました。ぷるんとした独特の食感と磯の香りが特徴で、生姜やかつお節、刻みねぎなどの薬味をのせ、醤油や酢醤油をかけていただきます。低カロリーで食物繊維が豊富なことから、近年はダイエット食としても注目され、コンビニやスーパーでも手軽に購入できます。学校給食にも取り入れられ、若い世代にも受け継がれる福岡の食文化を象徴する一品です。

発祥

おきゅうとの起源は、エゴノリを煮溶かして固める技法にあり、江戸時代の文書『筑前国産物帳』には「うけうと」の名で記録が残ります。福岡市東区箱崎周辺が発祥地とされ、当初は博多の一部地域の食べ物でしたが、次第に福岡市全体、さらに九州各地へと広まっていきました。名前の由来には諸説あり、いまも定説はありません。

歴史

飢饉の際に多くの人を飢えから救ったことから「御救人(おきゅうと)」と呼ばれるようになったとする説や、漁師から製法を教わったため「沖人」と呼ばれたとする説など、名称の由来には複数の説が伝わります。アジア・太平洋戦争前までは天秤棒でおきゅうとを売り歩く「おきゅうと売り」が博多の風物詩で、各家庭の朝食に欠かせない存在でした。

特徴

主原料はエゴノリで、時にイギスを加えて煮溶かし、型に流して自然に固める点が特徴です。添加物を使わず海藻の粘り気だけで固まるため、磯の香りとつるりとした喉ごし、コリコリとした歯ざわりが同時に楽しめます。短冊状に切って生姜やかつお節、刻みねぎをのせ、醤油や酢醤油をかけて食べるのが定番です。

主な食材

エゴノリ(またはイギス)生姜かつお節刻みねぎ醤油または酢醤油

食文化

戦前まで博多の各家庭では天秤棒を担いだ「おきゅうと売り」から毎朝買い求めるのが日常で、朝食の一品として食卓に欠かせない存在でした。現在も福岡市内で製造が続けられ、地元スーパーの総菜コーナーに並ぶ身近な家庭の味として受け継がれています。

家庭料理との違い

家庭では市販のパック入りおきゅうとを切って薬味をのせるだけの簡便な食べ方が主流ですが、専門店ではエゴノリを一から炊いて自家製造し、なめらかな口当たりと磯の香りの強さにこだわっています。

有名店

林隆三商店

福岡県福岡市東区箱崎2-13-5

大正期創業、90年以上続くおきゅうと専門店。「箱崎おきゅうと」として地元で親しまれる

博多おきゅうと(ふくや)明太子の老舗「ふくや」が手掛けるパック入りおきゅうと。土産物店やスーパーでも購入でき、家庭で手軽に味わえる購入先を見る →PR

よくある質問

Q. おきゅうとは寒天やところてんと同じものですか?

A. 原料が異なります。寒天やところてんはテングサから作られますが、おきゅうとはエゴノリという別の海藻を煮溶かして固めたもので、粘りや風味、食感が異なります。

#海藻#郷土料理#博多グルメ#朝食