
野沢菜漬けは、アブラナ科の葉野菜「野沢菜」を塩などで漬けた、長野県を代表する漬物です。野沢菜の名は、北信地方の野沢温泉村で作られてきたことに由来します。1756年(宝暦6年)、村の健命寺の住職が京都から天王寺蕪(てんのうじかぶ)の種を持ち帰ってまいたのが始まりと伝わります。雪深い高冷地の気候の中で、かぶは実が育たず、葉と茎だけが大きく育つ独自の野菜になったとされます。長野県では菜の漬物をまとめて「お葉漬け」と呼び、野沢菜漬けはその代表です。冬の間の保存食として各家庭で漬けられ、ご飯のお供やお茶うけとして親しまれてきました。シャキシャキとした歯ざわりと、ほどよい塩気が魅力です。
発祥
野沢菜の始まりは、野沢温泉村の健命寺に伝わる話にさかのぼります。1756年(宝暦6年)、8代目の住職が京都での修行の際に天王寺蕪の種を持ち帰り、寺の畑にまいたとされます。標高600m近い雪深い土地では、かぶの根は大きくならず、葉と茎だけがよく育ちました。こうして生まれた菜が、やがて野沢菜と呼ばれるようになったと伝わります。
歴史
健命寺の境内には野沢菜の発祥地碑が立ち、寺の畑では今も野沢菜が育てられています。寺で代々採り続けてきた種は「寺種」と呼ばれ、貴重な種として受け継がれています。野沢菜は2007年に「信州の伝統野菜」に選ばれました。長野県の味の文化財にも選ばれ、野沢温泉観光協会は2006年に11月1日を「野沢菜の日」と定めました。
特徴
野沢菜は霜に当たるとあくが抜けて甘く柔らかくなるとされ、11月以降に収穫します。葉を1枚ずつ洗ってから塩で漬け、重石をのせて水が上がるのを待ちます。2週間から1か月ほどで味がなじみ、食べ頃になります。浅漬けの緑色とシャキシャキ感に加え、乳酸発酵が進んだべっこう色の古漬けも、酸味と風味が楽しめます。
主な食材
食文化
野沢温泉村では、収穫した野沢菜を村に湧く温泉で洗う「お菜洗い」が晩秋の風物詩です。冷たい水では手がかじかむため、温泉の湯が使われてきました。漬けた野沢菜は冬の間ずっと、ご飯のお供やお茶うけ、おつまみとして食卓に並びます。
家庭料理との違い
家庭では大きな桶で一度にたくさん漬け、冬の終わりまで少しずつ食べるのが一般的です。店では、浅漬けや本漬けのほか、刻んでしょうゆなどで漬ける「とき漬け」、キムチ風など、さまざまな味付けの商品が並びます。酸味の出た古漬けは、炒め物やチャーハンにも使われます。
有名店
野沢菜本舗
長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9511
温泉街で最もにぎわう大湯通りに面した店で、自家製の野沢菜漬けをはじめとする漬物やジャムなどの保存食を扱っています。野沢菜の本漬けや浅漬け、しょうゆ漬け、ビール漬けなどがそろいます。
ハウスサンアントン ジャムファクトリー&カフェ
長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9515
野沢温泉の温泉街にあるジャム工房とカフェです。茎を切った状態で漬ける「野沢菜とき漬け」を、花椒(ホアジャオ)やオリーブオイルなどでアレンジした商品があり、660円程度〜です。
黄金屋物産店
長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9304
野沢温泉の温泉街にある土産店です。野沢菜をキムチ漬けにした「はんごろしキムチ」は、舌がしびれるほどの辛さが特徴の商品で、650円程度〜です。定番の漬物とは違う野沢菜の味わい方を楽しめます。
| 健命寺の寺種 | 野沢菜発祥の寺とされる健命寺(野沢温泉村豊郷9320)では、代々受け継がれてきた野沢菜の種「寺種」を購入できます。境内には発祥地碑もあり、野沢菜の歴史に触れられます。 |
|---|
よくある質問
Q. 野沢菜漬けはいつ頃が食べ頃ですか?
A. 野沢菜は11月以降に収穫して漬け込みます。漬けてから2週間から1か月ほどで味がなじみ、年末から冬にかけてが食べ頃です。時間がたつと乳酸発酵が進み、酸味のあるべっこう色の古漬けになります。
Q. 「お葉漬け」とは何ですか?
A. 長野県で、野沢菜をはじめとする菜類の漬物をまとめて呼ぶ言葉です。冬に野菜が採れない時期の保存食として、各家庭で漬けられてきました。野沢菜漬けは、お葉漬けを代表する漬物です。