
日光湯波は、栃木県日光市で古くから作られてきた豆乳の加工食品で、豆乳を煮た際にできる膜を幾重にも重ねて仕上げる、厚みとボリュームのある食感が特徴です。唐に渡った僧が持ち帰ったとされる湯葉が、766年に勝道上人が開山した日光山輪王寺に精進料理として伝わったのが始まりとされます。江戸時代初期に徳川家康公が日光東照宮に祀られると、参拝者向けの宿や精進料亭で独自に工夫が重ねられ、「日光湯波」として評判を得るようになりました。京都の「湯葉」は膜の端から串を入れて引き上げるため平たく仕上がるのに対し、日光の「湯波」は中央に串を入れて二つ折りにしながら巻き上げるため、幾重にも層が重なった丸みのあるシルエットになる点が最大の違いです。刺身のように生で味わうほか、揚げ物や煮物に調理して食べる文化が古くから根付いています。
発祥
湯葉は、遣唐使とともに唐(中国)へ渡り仏教を学んだ空海や最澄ら留学僧が日本に伝えたとされる精進料理の食材です。日光では、766年に勝道上人が開山した日光山輪王寺にこの製法が伝わり、肉食を禁じられた僧侶にとって貴重なたんぱく源として、精進料理の中で大切に受け継がれ発展していきました。
歴史
江戸時代初期、徳川家康公が日光東照宮に祀られると、日光は全国から参拝者が集う一大聖地となりました。参拝者をもてなす宿や精進料亭では、湯波を使った料理に工夫が重ねられ、独自の食文化として磨かれていきました。こうして生まれた「日光湯波」は、京都の「湯葉」と並び称される名産として、今日まで受け継がれています。
特徴
日光湯波は、豆乳を煮た際にできる膜を中央に串を入れて二つ折りにしながら巻き上げて作るため、幾重にも層が重なった厚みのあるボリュームが特徴です。端から一枚ずつ引き上げる京都の湯葉が薄く平たい仕上がりになるのに対し、日光湯波は丸みを帯びた形状となり、もっちりとした食べ応えのある食感になります。刺身湯波として生で味わうほか、揚巻湯波など調理して食べる料理も豊富です。
主な食材
食文化
日光山輪王寺の精進料理として発展した経緯から、日光では湯波を刺身のように生で味わうだけでなく、揚げたり煮物に仕立てたりと調理して食べる文化が古くから根付いています。参拝土産としても親しまれ、日光観光に欠かせない味覚の一つです。
家庭料理との違い
家庭では刺身湯波をそのまま醤油で食べることが多いですが、日光の老舗料亭では揚巻湯波や煮物の湯波など、精進料理のコースに仕立てて提供され、素材そのものの味に加えて調理法の幅広さを楽しめる点が異なります。
有名店
元祖 日光湯波 海老屋長造
栃木県日光市下鉢石町948
1872年(明治5年)創業。国産大豆と日光の天然水を用い、消泡剤を使わない手作りの湯波を守り続ける老舗で、社寺や離宮にも湯波を納めてきた歴史を持つ
詳細を見る →日光湯波 ふじや
栃木県日光市下鉢石町809
1868年(明治元年)創業。刺身湯波から煮物用、菓子湯波まで10種類以上を扱う老舗で、乾燥湯波や串湯波など日持ちする土産用商品も充実している
よくある質問
Q. 「湯葉」と「湯波」の違いは何ですか。
A. 同じ豆乳の加工食品ですが、表記と製法が異なります。京都では膜の端から串を入れて引き上げるため「湯葉」と書き平たく仕上がるのに対し、日光では中央に串を入れて二つ折りに巻き上げるため「湯波」と表記し、層が重なった厚みのある仕上がりになります。