
甲府鳥もつ煮は、鶏の砂肝やハツ(心臓)、レバー、きんかん(産まれる前の卵)などを、砂糖と醤油の甘辛いたれで照り煮にした甲府市の料理です。「もつ煮」といっても、汁気の多い煮込みではありません。少量のたれを強火で短時間煮詰め、あめ状になったたれでもつを包むように仕上げます。戦後まもない1950年(昭和25年)ごろ、甲府市の蕎麦店「奥藤(おくとう)」で考案されたといわれます。捨てられていた鶏のもつを生かそうとしたのが始まりです。その後、蕎麦店から他の飲食店へ広がり、ほうとうや煮貝と並ぶ甲府の食文化になりました。2008年には甲府市職員の有志が「みなさまの縁をとりもつ隊」を結成し、全国にPRを始めました。2010年の「第5回B-1グランプリin厚木」では、初出場で最高賞のゴールドグランプリを獲得しています。
発祥
1950年(昭和25年)ごろは、まだ食べ物に不自由していた時代でした。1913年(大正2年)創業の蕎麦店「奥藤」の二代目主人は、肉屋から「捨てられてしまう鳥のもつをどうにかできないか」と相談を受けます。安くておいしい料理になるよう試行錯誤を重ね、当時は貴重だった醤油と砂糖でこってりと煮た鳥もつ煮を作り上げたと伝えられます。
歴史
鳥もつ煮は評判を呼び、蕎麦店から他の飲食店へと広がって、甲府の庶民の味になりました。2008年6月、甲府市職員の有志が「鳥もつ煮で甲府を元気に!」を合言葉に、まちおこし団体「みなさまの縁をとりもつ隊」を結成しました。2010年9月の「第5回B-1グランプリin厚木」で初出場ながらゴールドグランプリを獲得し、県外から食べに訪れる人も増えました。
特徴
もつは余分な部分を取り除いて食べやすく切り、薄い塩水でよく洗って臭みを抜きます。フライパンで醤油と砂糖を強火で煮立て、たれから泡が出てきたらもつを入れます。ふたをして時々混ぜ、たれが鍋の縁にこびりつくほどになれば完成です。砂肝のコリコリ感やハツの歯ごたえ、レバーの柔らかさ、きんかんのぷちっとした食感の違いを楽しめます。
主な食材
食文化
山梨県内では、蕎麦店やほうとう店、定食店の定番メニューとして親しまれています。酒のつまみにも、ご飯のおかずにもなる甘じょっぱい味で、スーパーの惣菜売り場でも手軽に買えます。「縁をとりもつ」という語呂合わせとともに、甲府を代表するご当地グルメとして紹介されています。
家庭料理との違い
家庭でもフライパンで作れますが、照りを出すには火加減とタイミングが大切です。とりもつ隊は、蕎麦職人が絶妙な火加減で作る「照り」が命だと紹介しています。店では注文を受けてから作るところもあり、手打ち蕎麦と一緒に味わうのが甲府の定番です。
有名店
奥藤本店 国母店
山梨県甲府市国母7-5-12
1913年(大正2年)創業の蕎麦店で、甲府鳥もつ煮の発祥の店として知られます。昭和20年代に生まれた元祖の鳥もつ煮を、昔ながらの手打ち蕎麦とともに味わえます。JR身延線国母駅から歩いて15分ほどです。
奥藤本店 甲府駅前店
山梨県甲府市丸の内1-7-4 たちばなビル1階
2011年にオープンした奥藤本店の2号店で、JR甲府駅南口から歩いて2分ほどです。鳥もつ煮は注文を受けてから作るため、提供まで15分ほどかかります。手打ち蕎麦と組み合わせた甲府鳥もつ煮セットは1,300円程度〜です。
ほうとう蔵 歩成 河口湖店
山梨県南都留郡富士河口湖町船津6931
河口湖近くにある、蔵をイメージした建物のほうとう店です。名物の「黄金ほうとう」のほか、甲州名物の馬刺しや鳥もつ煮も用意しています。鳥もつ煮は660円程度で、富士五湖観光の途中にも味わえます。
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Q. 「きんかん」とはどんな部位ですか?
A. 鶏のおなかの中にある、産まれる前の卵のことです。とりもつ隊や、誕生に関わった精肉店「鳥林(とりりん)」もこのように紹介しています。鳥もつ煮では、ぷちっとはじける食感が楽しめる具材です。
Q. 「みなさまの縁をとりもつ隊」とは何ですか?
A. 2008年6月に甲府市職員の有志が結成した、まちおこし団体です。甲府鳥もつ煮の普及を通じて、人と人との縁を「とりもつ」ことを掲げています。B-1グランプリのゴールドグランプリは、この団体のまちおこし活動に贈られたものです。