伊勢うどん

Ise Udon

伊勢うどん 1

画像: Wikimedia Commons

伊勢うどんは、伊勢市を中心とする伊勢地方で食べられてきた郷土料理です。直径1cm近い極太の麺を、1時間ほどかけて柔らかくゆで上げます。これに黒く濃いたれを少しだけからめて食べます。たれは、たまり醤油(大豆を主な原料とする濃厚な醤油)に、かつお節や昆布などのだしを合わせたものです。色は真っ黒ですが、口にすると味わいは意外にあっさりしています。麺にはコシがほとんどなく、ふわふわ、もちもちとした食感が最大の特徴です。江戸時代にお伊勢参りが盛んになると、長旅で疲れた参拝客に、胃腸にやさしい食べ物として出されました。早く出せて手軽に食べられることから、門前の名物として知られるようになったといわれます。「伊勢うどん」という呼び名が定着したのは、昭和40年代以降と比較的新しいことです。2024年度(令和6年度)には、文化庁の「100年フード」に認定されました。

発祥

伊勢うどんの発祥ははっきりしていません。江戸時代以前から伊勢地方では、伸ばす手間をかけずに、コシのない太いうどんを作っていたとされます。これに、地元の味噌から取れる「たまり」をからめて食べていたといわれます。江戸時代にお伊勢参りが盛んになると、参拝客の疲れを癒やし、エネルギー源になる食べ物として、うどんを出す店が現れました。シンプルで早く食べられることから、参拝客に好まれたとされます。

歴史

多くの参拝客を待たせないよう、伊勢の店では常に麺をゆで続けていました。これが独特の柔らかい食感につながったともいわれます。昭和40年代初め、有名な作詞家がラジオで「伊勢の珍しいうどんなので伊勢うどんというのがよい」と発言したとされます。この作詞家は永六輔とされ、伊勢市の老舗「ちとせ」で食べた味を広めたという逸話が残ります。1972年(昭和47年)には、伊勢市麺類飲食業組合が名称を「伊勢うどん」に統一しました。

特徴

麺は普通のうどんの2倍ほどの太さがあり、小1時間ほどゆでて仕上げます。食感はふわふわ、もちもちとしており、コシはほとんどありません。たれは、たまり醤油に、かつお節や雑節(さば節などの削り節)、昆布のだし、みりん、砂糖を合わせた真っ黒なものです。このたれを少量、麺によくからめて食べます。店によっては、卵や肉、焼豚をのせたメニューもあります。

主な食材

うどん(極太の柔らかい麺)たまり醤油かつお節・雑節昆布みりん砂糖

食文化

伊勢地方では、昔から家庭でも外食でも食べ続けられてきた身近な味です。麺は長くゆでる必要があるため、スーパーなどではゆでた麺にたれを添えた形で売られています。伊勢神宮の外宮周辺や、内宮前のおはらい町などの店でも味わえます。

家庭料理との違い

家庭では、市販のゆで麺を温め、添付のたれをかけて手軽に作ります。専門店には、自家製の麺を毎日その日の分だけ打ち、1時間ほどかけてゆでる店もあります。たれも、数種類の削り節や煮干しでとっただしを合わせたり、何日も熟成させたりと、店ごとに工夫されています。

有名店

ちとせ

三重県伊勢市岩渕1-15-11

1917年(大正6年)創業とされる老舗で、「伊勢うどん」の看板を最初に掲げた店ともいわれます。作詞家の永六輔がこの店の味を全国に紹介したという逸話で知られます。たまり醤油をたっぷり使い、3日間熟成させたまろやかなたれが特徴で、伊勢うどんは600円程度です。

名代 伊勢うどん 山口屋

三重県伊勢市宮後1-4-23

近鉄・JR伊勢市駅から徒歩3分ほどの、昭和初期に創業した店です。麺は毎日その日の分だけを打ち、1時間かけてゆでる自家製麺です。複数のかつお節や煮干しでとっただしに、たまり醤油などを加えた黒いたれでいただきます。

山口製麺 常温伊勢うどん3食入り(たれ付)伊勢市の山口製麺有限会社が製造する、常温で保存できる伊勢うどんです。たまり醤油のたれが付いており、数分温めるだけで家庭でも伊勢うどんを味わえます。価格は864円(税込)程度です。

よくある質問

Q. 伊勢うどんの麺はなぜこんなに柔らかいのですか?

A. 伊勢では多くの参拝客を待たせないよう、店で常に麺をゆで続けていたことが、柔らかい食感につながったといわれます。もともと伸ばす手間をかけずに、コシのない太い麺を作っていたともされます。現在も、小1時間ほどかけてゆでるのが一般的です。

Q. 黒いたれはしょっぱいのですか?

A. 黒い色は主にたまり醤油によるもので、見た目ほど塩辛くはありません。だしやみりん、砂糖を合わせているため、味わいは意外にあっさりしているとされます。少量のたれを麺によくからめて食べるのが一般的です。

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