
ハリハリ鍋は、鯨肉と水菜を、昆布や節類でとっただしでさっと煮て食べる大阪の鍋料理です。「ハリハリ」は、水菜を食べるときのシャキシャキとした歯ざわりや音を表した言葉とされます。大阪は「天下の台所」と呼ばれた食材の集散地で、鯨も各地から運び込まれ、鯨を食べる文化が花開きました。鯨と水菜の鍋は、大阪の家庭や飲食店でよく食べられてきたといわれます。名前は、1967年(昭和42年)にミナミの千日前で開店した鯨料理店「徳家」が付けたと伝えられています。近年は捕鯨の規制などから鯨を食べる機会が減り、豚肉などで代用することもあります。2024年度(令和6年度)には「大阪の鯨ハリハリ鍋」が、文化庁の「100年フード」(未来の100年フード部門)に認定されました。農林水産省「うちの郷土料理」でも、大阪府の郷土料理として紹介されています。
発祥
鯨は古くから貴重な食料とされ、日本人は供養塔を建てるなどして鯨を敬いながら、あらゆる部位を活かしてきました。大阪に近い和歌山で古くから捕鯨が盛んだったことが、大阪の鯨食文化の背景にあるとされます。天下の台所と呼ばれた大阪には各地から鯨が入荷し、近郊で育つ水菜と組み合わせた鍋が生まれました。ただし発祥地については、捕鯨の盛んだった和歌山県の太地や、高知とする説もあります。
歴史
鯨と水菜の鍋は、大阪の家庭や飲食店で親しまれてきました。「ハリハリ鍋」という名前は、1967年(昭和42年)にミナミの千日前で開店した鯨料理店「徳家」が付けたと伝えられます。かつて鯨肉は比較的安く手に入る食材だったといわれます。しかし捕鯨の規制や文化の違いから、鯨を食べる機会は少なくなっていきました。現在は「鯨食の伝統を継承する会」が、9月4日の「クジラの日」を中心に、ミナミの地から普及に取り組んでいます。
特徴
鍋に昆布と節類でとっただしを張り、鯨肉と水菜を入れてさっと煮ます。水菜は煮すぎず、シャキシャキとした歯ざわりが残るうちに食べるのがこの鍋の持ち味です。鯨肉を炊くことでうまみがだしに広がり、それを水菜が吸って、あっさりとしながらも深い味わいになります。霜の降りる時季の水菜は柔らかく、鯨と炊き合わせるのに向くとされます。店によっては、生でも食べられる上質な鯨肉を、だしにさっとくぐらせて味わうスタイルもあります。
主な食材
食文化
大阪の鯨食を支えたのは、天下の台所として各地の食材が集まった流通の力でした。ミナミには明治時代創業とされる鯨料理の専門店も残り、今も鯨料理を味わえます。文化庁の100年フードでは、ハリハリ鍋を今後100年、大阪の伝統的な食文化、そしてソウルフードとして受け継ぐことが掲げられています。
家庭料理との違い
家庭では、鯨肉の代わりに手に入りやすい豚バラ肉で作ることもあります。肉の脂とさっぱりとした水菜の組み合わせは変わらず、冬の手軽な鍋として親しまれています。一方、鯨料理の専門店では、部位を選んだ上質な鯨肉を使い、だしにさっと通して仕上げます。
有名店
西玉水
大阪府大阪市中央区島之内2-17-24
1885年(明治18年)創業とされる鯨料理の専門店で、日本で最初の鯨料理専門店とも紹介されます。季節を問わず鯨料理を出しており、名物のはりはり鍋では、脂ののった大型鯨の尾の身を水菜とともに味わえます。1階はカウンター席、2階には個室があります。
新どおぞの
大阪府大阪市北区曽根崎新地1-5-9 REXビル3階
北新地にある鯨料理の店です。名物は、柔らかな鯨肉を秘伝のだしにくぐらせて味わう「鯨はりしゃぶ鍋」です。全8品の鯨のフルコース(2名から)もあり、ディナーの予算は1人8,000〜1万円程度とされます。
よくある質問
Q. 「ハリハリ」とはどういう意味ですか?
A. 水菜を食べるときの、シャキシャキとした歯ざわりや音を表した言葉とされます。文化庁の100年フードでは、水菜を食べると「ハリハリッ」と音がすることから名付けられたと紹介されています。水菜を煮すぎず、食感が残るうちに食べるのがおいしく味わうこつです。