
べこ餅は、白と黒(または茶)の生地を組み合わせてつくる北海道の郷土菓子で、木の葉のような模様が特徴です。上新粉や白玉粉に砂糖を加えた生地を、黒糖を混ぜた生地と組み合わせて成形し、蒸し上げてつくります。もちもちとした柔らかい食感と、黒糖のやさしい甘みが持ち味です。北海道では主に5月の端午の節句に食べられる風習があり、特に道南地方で盛んにつくられてきました。名前の由来には、白黒の配色が乳牛(ホルスタイン)を連想させ「べこ(牛)」と呼ばれるようになった説、黒糖部分の色合いが鼈甲(べっこう)に似ていることに由来する説、米粉(べいこ)が主原料であったことに由来する説など諸説あり、はっきりとした定説はありません。道南地域を中心に、木の葉形以外にもよもぎを混ぜた緑色の生地や、あんこを包んだものなど、店ごとに個性豊かなべこ餅がつくられています。
発祥
べこ餅の起源ははっきりとはわかっておらず、諸説が伝わっています。有力とされるのが、山形県の郷土菓子「くじら餅」が北海道に伝わり、独自に木の葉形へと変化していったという説です。実際、道南地域の一部では今も「べこ餅」を「くじら餅」と呼ぶ地域があり、東北地方との文化的なつながりをうかがわせます。北前船などを通じた本州との交流のなかで、菓子文化が北海道に持ち込まれ、独自の発展を遂げたと考えられています。
歴史
北海道では古くから、端午の節句(5月5日)に子どもの成長を願ってべこ餅をつくる風習が根付いてきました。特に道南地方では家庭ごとに手づくりされ、地域の和菓子店でも季節の定番商品として扱われてきました。時代とともに、黒糖のみの単色生地や、よもぎを混ぜた緑色の生地、人工着色料を使った色鮮やかなものなど、木の葉形にとどまらないバリエーションが生まれ、現在も道南地域を中心に多様なべこ餅が受け継がれています。
特徴
白玉粉または上新粉に砂糖を混ぜた白い生地と、黒糖を混ぜた黒い生地を交互に重ねたり練り合わせたりし、木の葉の形に成形して蒸し上げるのが基本の製法です。もちもちとした柔らかな食感と、黒糖のコクのある甘みが特徴で、上新粉を使うものはやや歯切れのよい食感になります。木の葉形が定番ですが、丸形や花形、くるみを練り込んだ醤油生地、あんこを包んだものなど、店によって個性豊かな仕立てがあります。
主な食材
食文化
端午の節句に子どもの健やかな成長を願ってつくられるべこ餅は、道南地方を中心に世代を超えて受け継がれてきた家庭の味です。5月になると和菓子店の店先に並び、季節の風物詩として親しまれています。
家庭料理との違い
家庭では白玉粉に黒糖を混ぜて素朴に仕上げることが多いですが、老舗の和菓子店ではあんこを包んだり、くるみやよもぎを加えたりと、味や色のバリエーションを増やし、贈答用としても選ばれる仕上がりにしています。
有名店
栄餅本店
北海道函館市栄町5-13
1900年創業、100年以上続く函館の老舗餅菓子店。べこ餅は1個170円(税別)程度
よくある質問
Q. 「べこ」という名前の由来は?
A. 白と黒の配色が乳牛(ホルスタイン)を思わせることから「べこ(方言で牛の意)」と呼ばれるようになった説のほか、黒糖部分の色が鼈甲に似ることに由来する説、米粉(べいこ)が主原料だったことに由来する説など諸説あり、定説はありません。