
あんこう鍋は、大洗町や北茨城市の平潟・大津、ひたちなか市の那珂湊などの漁港で水揚げされるあんこうを主役にした、茨城を代表する冬の鍋料理です。あんこうは江戸時代、鶴・雲雀・鷭・鯛と並んで「三鳥二魚」と呼ばれる五大珍味の一つに数えられた高級食材で、水戸徳川家から将軍家へ献上されていたことを示す資料も残っています。骨以外ほとんど捨てるところがなく、「ぬの(卵巣)・えら・とも(ひれ)・水袋(胃)・肝・柳肉(身)・皮」の「あんこうの七つ道具」を余さず鍋に仕立てるのが特徴です。もともとは漁師が船上で真水を使わずに仕立てた「どぶ汁」が原型とされ、あん肝を溶き入れた濃厚な味噌仕立ての出汁で身や内臓を煮込む、冬の茨城を代表するもてなし料理として親しまれています。
発祥
あんこうは江戸時代、鶴・雲雀・鷭・鯛とともに「三鳥二魚」と呼ばれる五大珍味の一つに数えられた高級食材でした。水戸藩の水戸徳川家から将軍家へあんこうが献上されていたことを示す資料も残っており、茨城のあんこうは古くから貴重な献上品・珍味として扱われてきたと伝えられています。
歴史
あんこう漁の盛んな平潟・大津・久慈・那珂湊などの漁港では、漁師たちが漁の合間に船の上で仕立てた「どぶ汁」が古くから食べられてきました。真水が貴重な船上で、あんこう自身の水分を利用して仕立てる調理法で、現在も一部の店で受け継がれる「幻の郷土料理」とされています。この漁師料理が、現在大洗や北茨城で提供されるあんこう鍋の原型になったと伝えられています。
特徴
あんこうは骨以外ほとんど捨てるところがなく、ぬの(卵巣)・えら・とも(ひれ)・水袋(胃)・肝・柳肉(身)・皮からなる「あんこうの七つ道具」を余さず鍋の具材として用いるのが特徴です。あん肝を出汁に溶き入れて仕立てる濃厚などぶ汁仕立ての鍋は特に珍重され、白菜や春菊、豆腐などとともに味噌ベースの出汁で煮込んでいただきます。
主な食材
食文化
旬を迎える11月から3月頃にかけて、大洗町や北茨城市の旅館・飲食店では観光客をもてなす冬の味覚としてあんこう鍋やどぶ汁鍋が提供され、農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれています。
家庭料理との違い
家庭ではあん肝など入手しにくい部位を省き、味噌や醤油ベースのだし汁で仕立てるシンプルな鍋にすることが多い一方、専門店ではあんこうの七つ道具を余さず使い分け、あん肝を溶き込んだ濃厚などぶ汁仕立てで提供するなど仕込みに手間をかけています。
有名店
よくある質問
Q. あんこう鍋と「どぶ汁」はどう違うのですか。
A. どぶ汁は、あんこうの肝を出汁に溶かし込み、真水をほとんど使わずに仕立てる濃厚な鍋で、もとは漁師が船上で作った料理です。一般的なあんこう鍋は、味噌や醤油をベースにしただし汁で身や野菜を煮込む、家庭や飲食店向けに仕立てやすい形式の鍋です。