現川焼

Utsutsugawa-yaki (Utsutsugawa Pottery)

現川焼 11 / 2

画像: Wikimedia Commons

現川焼(うつつがわやき)は、長崎市現川町で江戸時代に焼かれた陶器です。1691年(元禄4年)、諫早家(いさはやけ)の家臣だった田中刑部左衛門(ぎょうぶざえもん)が職を退き、次男の甚内(じんない)とともに窯を開いたとされます。鉄分の多い土は焼くとチョコレート色になり、その上に白い化粧土を刷毛で施す「刷毛目(はけめ)」が最大の特徴です。舟形や隅切りなどの大胆な形と四季の図柄も評価され、「西の仁清(にんせい)」と称されました。しかし窯はわずか60年ほどで途絶え、残る作品も少ないことから「幻の焼き物」と呼ばれています。明治以降、再興の試みが続き、佐世保市の臥牛窯(がぎゅうがま)などが技法を再現してきました。開窯の地に残る窯跡は、長崎県の史跡に指定されています。

発祥

諫早家の記録『日新記』によると、1691年に諫早家の被官(家臣)だった田中刑部左衛門が職を退き、次男の甚内を伴って開窯したとされます。創始者たちは有田から来たとも紹介されています。窯の上には1704年(宝永元年)建立の窯観音があり、田中宗悦(刑部左衛門)、甚内、重富茂兵衛らに関する銘が刻まれています。

歴史

現川焼は1748年(寛延元年)ごろまで、約60年間焼かれました。途絶えた理由は藩の財政事情とされています。明治期には馬場藤太夫や檀野勝次が再興を試みましたが、長くは続きませんでした。その後、佐世保市の臥牛窯の12代横石臥牛が技法の再現に成功し、13代がその完成度を高めたと紹介されています。

特徴

鉄分の多い現川の土は、焼き上がるとチョコレートのような色になります。その上に白化粧土を刷毛や筆で施し、濃淡のある模様を描き出すのが特徴です。器の形は舟形や隅切りなど大胆で、藤の花や蝶など四季の図柄が添えられます。「京の仁清、西の現川」と並び称されたと伝えられ、刷毛目文様の極致とも評されています。

技法

打ち刷毛目

刷毛で白化粧土を打ちつけるように施し、刷毛の跡を模様として残す技法です。長崎市の記事では、フグの薄造りを思わせる模様と表現されています。現川焼を代表する技法の一つです。

吹き刷毛目

白化粧土に息を吹きかけて広げ、霞がかかったような神秘的な模様を生む技法です。打ち刷毛目とともに、現川焼の最大の特徴とされています。臥牛窯では「霙刷毛(みぞれはけ)」も伝統技法として紹介されています。

生乾きでの仕上げ

臥牛窯では、ろくろで挽いた器を半乾きの柔らかい状態のまま、削りや取っ手付け、化粧、絵付けまで進めることが秘法の核心だと説明しています。

使用される素材

鉄分の多い赤土(現川の土)白化粧土

制作工程

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    ろくろ成形

    鉄分の多い土をろくろで挽き、器の形を作ります。臥牛窯では、ここから半乾きの状態で次の作業へ進みます。

  2. 2

    削り・取っ手付け

    生乾きの柔らかい素地を削って形を整え、必要に応じて取っ手などを付けます。

  3. 3

    化粧・刷毛目・絵付け

    下地の化粧を施し、色を付けた後、器の内側に刷毛目を入れます。続いて絵付けをします。

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    素焼き・施釉・本焼成

    よく乾燥させてから素焼きし、釉薬をかけて本焼きします。焼き上がると土がチョコレート色になり、白い刷毛目が浮かび上がります。

主な産地
  • 長崎市現川町(窯跡)
  • 佐世保市木原町(臥牛窯)

職人・工房

臥牛窯

1602年に木原皿山(現在の佐世保市木原町)で開窯したと伝わる窯元です。12代が現川焼の技法を再現し、13代横石臥牛兄弟が完成させたとされます。12代と13代は長崎県の無形文化財に指定されたとされ、2020年に15代が当主を襲名しています。

公式サイト →

購入方法

臥牛窯のオンラインショップ
臥牛窯は自社のオンラインショップで器を販売しています。クラウドファンディングの案内では、現川焼の技法によるビール用のコップが税込23,760円〜27,000円と紹介されていました。価格は変わることがあります。購入先を見る →PR

体験施設

長崎歴史文化博物館 伝統工芸体験工房(長崎陶芸復興塾)

長崎県長崎市立山1-1-1

博物館2階の工房で、現川焼の技法の再現と発展を目指す長崎陶芸復興塾が活動しています。ろくろや絵付けの体験ができると案内されています。日程や料金は、博物館に事前に確認してください。

詳細を見る →

現川焼陶窯跡

長崎県長崎市現川町

現川焼が開かれた地に残る窯跡で、1963年に長崎県の史跡に指定されました。1704年建立の窯観音も残っています。バス停「現川」から徒歩7分です。

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よくある質問

Q. 現川焼はなぜ「幻の焼き物」と呼ばれるのですか?

A. 江戸時代に焼かれたのは約60年と短く、現存する作品がとても少ないためです。途絶えた後、約200年にわたって技法を再現できる人がいなかったことも、その呼び名につながったとされています。

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