土佐古代塗

Tosa Kodai-nuri (Tosa Lacquerware with Walnut-Shell Texture)

土佐古代塗 1

土佐古代塗(とさこだいぬり)は、高知県に伝わる漆器です。漆を厚く塗った木地にクルミの殻の粉を蒔(ま)き、表面に細かな凹凸のある「ザラ地」模様を付けるのが最大の特徴です。艶がありながら落ち着いた見た目で、ザラ地のおかげで指紋や傷が目立ちにくく、ほかの漆器に比べて手入れがしやすいとされます。始まりは明治初期で、長州(現在の山口県)出身の塗師(ぬし)・種田豊水(たねだほうすい)が、土佐西部の佐川に移り住んで伝えたとされます。弟子たちの改良を経て技法が確立しましたが、戦後はプラスチック製品に押されて衰退しました。1973年(昭和48年)に池田八郎さんが技法を習得し、「土佐古代塗」と名付けて受け継ぎました。現在は息子の池田泰一さんが営む高知市長浜の工房「美禄堂(びろくどう)」が、唯一の継承者として紹介されています。全32工程を経て、完成までに30日以上かかります。盆や重箱、汁椀、箸などが作られ、高知市内の店舗やオンラインで購入できます。

発祥

明治初期、土佐藩の佐川城主・深尾家の塗師であった種田豊水が始めたとされます。豊水は山口県の出身で、長州から土佐西部の佐川に移り住みました。尾張(現在の愛知県西部)で、漆を盛り上げて文様を描く高盛絵(たかもりえ)の技術を学んだと伝わります。

歴史

豊水の弟子の小栗正気と山脇信三が技法を発展させ、さらに岡崎亀太郎と渡辺善介が改良を加えて、現在の技法が確立しました。昭和初期には株式会社が設立され、品質をそろえて丈夫にするため、表面にザラ地を付けるようになりました。戦後はプラスチック製品の普及で衰退します。1973年、高知県工業試験場で池田八郎さんが技法を習得し、これを機に「土佐古代塗」と呼ばれるようになりました。

特徴

厚く塗った漆が乾く前にクルミの殻の粉を蒔いて付け、表面にザラ地模様を作ります。この凹凸が指紋や傷を目立たせにくくし、厚い塗膜とあわせて扱いやすい漆器に仕上がります。全32工程の多くは、漆を塗っては乾かす作業の繰り返しです。漆は温度15〜25度、湿度50〜80%でないと固まらず、季節や天候にも左右されます。

技法

ザラ地

漆を厚く塗った木地に、クルミの殻を砕いた粉を蒔いて表面に細かな凹凸を付ける技法です。昭和初期に、品質の統一と堅牢さを求めて取り入れられたとされます。美禄堂の箸は、先端までザラ地が施されていると紹介されています。

塗り重ねと乾燥

へらや刷毛で漆を塗り、乾燥用の室(むろ)で一晩かけて固める作業を何度も繰り返します。池田泰一さんは「見えないけど、しっかりやらないと後で粗が出る」と語っており、表からは見えない下地の工程が仕上がりを左右します。

使用される素材

漆木地クルミの殻の粉
主な産地
  • 高知市(長浜)

職人・工房

美禄堂(池田泰一)

1973年に技法を受け継いだ池田八郎さんの工房で、2代目の池田泰一さんが土佐古代塗の唯一の継承者とされます。作品には「季久(きく)」の銘を入れます。泰一さんは「土佐の匠」に認定され、2017年には卓越技能者(現代の名工)として表彰されました。所在地は高知市長浜706です。

公式サイト →

購入方法

美禄堂の店舗
高知市長浜706の美禄堂では、池田泰一さんが来訪者に直接応対して販売しています。汁椀や膳、箸、名刺入れなどがあり、内原野焼と組み合わせた酒器など新しい製品も手がけています。問い合わせは088-842-6337です。購入先を見る →PR
高知市内の取扱店
高知市の案内では、高知大丸(高知市帯屋町)や宝飾・美術HIROMATSU(高知市はりまや町)が取扱先として紹介されています。高知城歴史博物館のミュージアムショップでも扱っていると紹介されています。購入先を見る →PR
通信販売
美禄堂のオンラインショップのほか、雑誌『サライ』の通信販売でも、桜をあしらった汁椀と箸のセットが税込7,480円から紹介されています。価格は変わることがあります。購入先を見る →PR

よくある質問

Q. 漆器なのに手入れが簡単といわれるのはなぜですか?

A. 表面のザラ地模様が指紋や細かな傷を目立たせにくく、漆を厚く塗っているため傷が付きにくいからです。普段使いの汁椀や箸として取り入れやすい漆器として紹介されています。

Q. 「土佐古代塗」という名前はいつから使われているのですか?

A. 高知市の案内によると、1973年に池田八郎さんが高知県工業試験場で古代塗を習得したことを機に、「土佐古代塗」と称するようになりました。技法自体は明治初期にさかのぼります。

#土佐古代塗#漆器#ザラ地#クルミ#種田豊水#美禄堂#佐川町#高知市