駿河雛具・駿河雛人形

Suruga Hinagu and Suruga Hina Ningyo (Suruga Doll Furnishings and Hina Dolls)

駿河雛具・駿河雛人形 1

画像: Wikimedia Commons

駿河雛具(するがひなぐ)と駿河雛人形(するがひなにんぎょう)は、静岡市を中心に作られているひな祭りの飾りです。どちらも1994年に国の伝統的工芸品に指定されました。雛具は、箪笥(たんす)や長持、鏡台、御所車など、雛人形とともに飾る小さな調度品です。伝統的なものだけで約40種類あり、本物の家具と同じ工程で作られます。木地を作る指物師・挽物師と、塗師、蒔絵師、金具師が分業で一つの品を仕上げます。昭和40年代には全国シェアの約9割を占めるまでになりました。雛人形は、静岡県中部で作られてきた天神人形にルーツを持ちます。稲わらを固く束ねた太い「藁胴(わらどう)」を使い、両腕を曲げて姿を決める「振り付け」に職人の技が表れます。人形の胴体では、全国生産の約7割を占めるに至りました。

発祥

静岡では室町時代から、公家の風習にならって「ひいなはりこ」などを贈る雛遊びが定着していたといわれます。江戸時代初期には、久能山東照宮や静岡浅間神社の造営のため、全国から優れた職人が駿府に集められました。造営後も残った職人たちが指物や挽物、漆塗り、蒔絵の技を伝え、これが雛具の礎となります。雛人形は、静岡県中部で作られた天神人形がルーツとされます。

歴史

雛具の本格的な製造は明治15年(1882年)頃に始まり、明治35年頃からは漆器業者も数多く加わりました。大正12年(1923年)の関東大震災の後、東京など関東の職人が移り住み、生産量が伸びます。雛人形は昭和6年(1931年)頃から静岡市で本格的に作られるようになりました。昭和40年代には雛具が全国シェアの約9割、人形の胴体が約7割を占めます。1994年、両品目がそろって国の伝統的工芸品に指定されました。

特徴

駿河雛具の最大の特徴は、手のひらに載るほどの品でも、本物の家具調度品と同じ工程で作られることです。漆器と同じように目止めと下地をしてから漆などを塗り、引き出しまで精密に組み上げます。唐草や花鳥山水を描いた華やかな蒔絵も見どころです。駿河雛人形は、他の産地より太い藁胴を胸のカーブに合わせて斜めに削り、衣装を上下別々に仕立てる点が特色です。

技法

五職(ごしょく)の分業

雛具づくりは、指物師(さしものし)、挽物師(ひきものし)、塗師(ぬし)、蒔絵師(まきえし)、金具師(かなぐし)の専門職人による分業で行われます。箱物は板を組む指物、丸い器はろくろで削る挽物で木地を作ります。そこに塗りと蒔絵、金具付けが施されて仕上がります。

藁胴(わらどう)と振り付け

駿河雛人形の胴体は、固く重ねた稲わらを寸法に合わせて切り、胸のカーブに沿って削ったものです。針金に木毛(もくめん)を巻いた腕を付け、衣装を着せてから両腕を曲げる「振り付け」で姿が決まります。曲げの形を見れば作者が分かるほど、職人の個性が表れる工程です。

使用される素材

ヒノキホオカツラ天然漆金箔銅・銅合金(金具)稲わら(藁胴)キリ(桐塑〈とうそ〉・手足の木地)絹糸
主な産地
  • 静岡市(駿河区・清水区など)

職人・工房

静岡雛具人形協同組合

静岡市駿河区中野新田に事務局を置く駿河雛具の産地組合。屏風店や雛具の製造会社など7社が加盟している。駿河雛具を、木工や漆器、蒔絵などの技術を集約した品として紹介している。

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白石雛具株式会社

静岡市駿河区下島にある、1979年設立の雛道具の総合メーカー。製品を大手問屋や全国の専門店に卸すほか、本社3階のショールーム「MAHOROBA」で雛人形や五月人形を販売している。

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望月人形

静岡市清水区由比にある、1936年創業の人形店。桐塑の頭や稲わらの胴体など、昔ながらの技法と材料で駿河雛人形や天神人形を手作りしている。二代目の望月明さんは、駿河雛人形の伝統工芸士に認定されている。

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購入方法

望月人形
JR由比駅から徒歩15分ほどの店舗で、雛人形や天神人形を展示販売しています。お雛様の組み替えに応じるほか、オーダーメイドや人形の修繕も受け付けています。営業時間は10時から18時までです。購入先を見る →PR
MAHOROBAショールーム(白石雛具)
白石雛具株式会社の本社3階にあるショールームです。2015年にリニューアルオープンし、雛人形や五月人形を実際に見て選べます。同社の販売サイトからも購入できます。購入先を見る →PR

よくある質問

Q. 雛具にはどんな種類がありますか?

A. 御所車(ごしょぐるま)や箪笥、長持、鏡台などがあり、伝統的なものだけで約40種類にのぼります。いずれも本物の家具調度品と同じ工程で作られ、引き出しまで精巧に仕上げられます。蒔絵や金箔押しで飾られ、ひな祭りの段飾りを華やかに彩ります。

Q. 静岡ではなぜ天神人形を飾るのですか?

A. 静岡県中部では明治の初めまで、初節句を迎える子に男女を問わず天神人形を贈る風習がありました。明治維新で多くの幕臣が駿府に移ると江戸の雛文化が広まります。その結果、女の子には内裏雛、男の子には天神人形を贈るようになったといわれます。

Q. 駿河雛人形の胴体に稲わらが使われるのはなぜですか?

A. 静岡市周辺では米が多く作られ、稲わらが手に入りやすかったためと考えられています。他の産地より太い藁胴を使うのは、大井川から富士川にかけての県中部だけの特徴とされます。藁胴は、胸のカーブに合わせて斜めに削って使われます。

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