
出西窯(しゅっさいがま)は、島根県出雲市斐川町出西にある民藝の窯元です。1947年(昭和22年)、農村工業の共同体を志した5人の青年が、2人の賛助者の協力を得て創業しました。河井寛次郎や濱田庄司、柳宗悦、バーナード・リーチら民藝運動の担い手から指導を受け、日々の暮らしで使う実用の器を作り続けてきました。郷土の原料を大切にし、陶土と釉薬は島根県産の原料を中心にすべて自家調合しています。創業以来、登り窯を焚き続けているのも特徴です。黒釉や飴釉、白掛地釉、海鼠釉、呉須釉などの器があり、深い青色の器は「出西ブルー」とも呼ばれて人気を集めています。工房の隣には、明治初期の米蔵を移築した展示販売場「くらしの陶・無自性館」があります。島根県ふるさと伝統工芸品には「出西焼」の名で指定されています。
発祥
出西窯は1947年8月、井上寿人、陰山千代吉、多々納弘光、多々納良夫、中島空慧の5人の青年によって創業されました。終戦後の農村で、共同で働く工芸の場をつくろうとしたのが出発点です。5人は松江の袖師窯など各地の窯場で技術を学び、1948年9月に初窯を出しました。この頃に河井寛次郎や濱田庄司と出会い、民藝の考え方に深く感銘を受けたといいます。
歴史
民藝運動に加わることを決めた一同は、地名にちなんで窯を出西窯と名付けました。1951年には柳宗悦が来窯し、1952年には鳥取の吉田璋也に師事します。1953年にはバーナード・リーチの指導も受けました。1955年、組合員が一人一口で平等に経営に参加する企業組合となり、2015年に株式会社へ改組しています。2004年には、柳宗悦の息子でデザイナーの柳宗理が監修するシリーズも生まれました。
特徴
出西窯は「健やかで温かい実用の陶器づくり」という民藝の精神を土台に、丈夫で飽きがこず、毎日使える手頃な器を目指しています。土は島根県の大田市・雲南市・出雲市で採れるものを使い、1,250〜1,300度で焼き上げます。皿や鉢、飯碗、茶器、酒器、花瓶など日用の器を幅広く作っています。縁に鉄砂を施した呉須釉の皿は、2008年に国際交流基金主催の展覧会に選ばれた代表的な品の一つです。
技法
登り窯による焼成
斜面に沿って複数の焼成室を連ねた窯で焼き上げる方法である。出西窯は創業以来登り窯を焚き続けており、現在は6室の登り窯で年に数回の窯出しを行う。灯油窯や電気窯も併用している。
原料の自家調合
陶土と釉薬は島根県産の原料を中心に、すべて窯で調合する。郷土の土や釉の原料を大切にすることは、創業の同人が掲げた共通の願いの一つである。敷地内には原料を整える原料場も設けている。
多彩な釉薬
黒釉、飴釉、白掛地釉、海鼠釉、呉須釉などを使い分ける。呉須は青色を出す顔料で、縁に鉄砂を掛けた呉須釉の皿は出西窯を代表する器である。深い青の器は「出西ブルー」とも呼ばれる。
使用される素材
制作工程
- 1
陶土精製
県内で採れた土を精製し、器に使える陶土にする。
- 2
成形
ろくろなどで器の形をつくる。
- 3
素焼き
乾かした器を一度焼く。
- 4
施釉
自家調合した釉薬を掛ける。
- 5
窯づめ
器を窯の中に並べる。
- 6
本焼き焼成
1,250〜1,300度の高温で焼き上げる。
| 主な産地 |
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|---|
職人・工房
出西窯
出雲市斐川町出西3368の窯元。1947年に5人の青年が始めた共同窯で、今も同人が心を一つにして制作を続ける。島根県の資料では企業組合出西窯として出西焼の指定事業者に掲載されている(2015年に株式会社へ改組)。
公式サイト →購入方法
- くらしの陶・無自性館
- 工房の隣にある展示販売場で、出西窯の器を手に取って選べる。営業は9時30分〜18時、火曜定休(祝日を除く)。2024年の記事では、呉須釉のボウル1,650円〜、モーニングカップ2,750円などの価格が紹介されている。購入先を見る →PR
- オンラインショップと取扱店
- 公式サイトからオンラインショップへ進めるほか、全国の取扱店の一覧も公開している。柳宗理ディレクションのシリーズは、東京の柳ショップを通じて全国で販売されている。購入先を見る →PR
体験施設
出西くらしのvillage
島根県出雲市斐川町出西
出西窯の販売所を中心に、ベーカリーカフェ「ル コションドール」とセレクトショップ「Bshop」が集まる一角です。カフェでは出西窯の器でランチやスイーツを楽しめます。カフェの営業は9時30分〜17時で、火曜と第2・第4水曜が休みです。
詳細を見る →よくある質問
Q. 出西窯と出西焼は違うものですか?
A. 同じ窯の器を指しています。島根県はふるさと伝統工芸品として「出西焼」の名で指定しており、県の資料では指定日は1995年12月12日、指定事業者は出西窯です。窯の名前は、所在地である出雲市斐川町の地名「出西」にちなんでいます。
Q. 「無自性館」という名前にはどんな意味がありますか?
A. 出西窯が師と仰いだ哲学者・山本空外の言葉に由来します。「衆縁に従るが故に必ず自性無し」、つまり何もかもおかげさまで、自分の手柄などどこにもないという意味です。建物は1998年の創業50周年に、明治初期の米蔵を移築して開館しました。