
白石和紙は宮城県白石市に伝わる手すき和紙で、江戸時代に仙台藩主・伊達家の産業奨励により発展しました。仙台藩の御用紙として幕府や朝廷への献上品にも用いられ、奉書から厚紙、ちり紙まで約60種類もの紙が漉かれていたと伝わります。強靭でふくよかな質感が特徴で、清少納言や紫式部の時代から東北の紙は「ふくよかに、清く、うるわしく」と評されてきました。その強さを生かし、紙を揉んでやわらかくした「紙子(かみこ)」という素材としても発展し、防寒着や袋物などにも用いられてきました。明治以降、洋紙の普及とともに一時は生産が途絶えかけましたが、1940年に設立された奥州白石民芸研究所で遠藤忠雄が伝統技術を復活させ、1982年12月1日には宮城県指定の伝統的工芸品となりました。現在は拓本染めの技法を用いた紙子づくりなど、新たな表現を交えながら手すきの技が受け継がれています。
発祥
東北の紙は平安時代中期からすでに知られ、清少納言や紫式部の著作でも「ふくよかに、清く、うるわしく」と評されました。白石和紙は江戸時代、仙台藩主・伊達政宗の産業奨励によって生産が拡大し、仙台藩の御用紙として幕府や朝廷への献上品にも用いられました。奉書から厚紙、ちり紙まで約60種類もの紙が漉かれ、地域を代表する特産品として栄えました。
歴史
明治以降、洋紙の普及とともに白石和紙は徐々に衰退し、昭和初期にはほぼ姿を消しかけました。この伝統を復興させようと1940年に「奥州白石民芸研究所」が設立され、遠藤忠雄が手すきの技術を蘇らせました。1982年12月1日には宮城県指定の伝統的工芸品となり、遠藤家の没後は妻・まし子が紙すきを守り続けました。現在は拓本染めによる紙子づくりを手がける工房が、その強靭な紙の魅力を今に伝えています。
特徴
白石和紙最大の特徴は、繊維の長い楮(こうぞ)を使うことで生まれる強靭さとふくよかな質感です。この丈夫さを生かし、紙を柔らかく揉んでしなやかにした「紙子」に仕立て、防寒着や袋物などの衣類・小物として利用されてきました。染色加工にも適しており、拓本による染めや紙布織りといった技法と組み合わせることで、色鮮やかで趣のある紙子作品が生み出されています。
技法
紙子(かみこ)
強靭な白石和紙を柔らかく揉みほぐし、しなやかな風合いに仕立てた紙製の布。防寒着や袋物などに使われ、白石和紙ならではの強さを生かした加工技術として知られる。
拓本染め
文様を彫った版に紙を当てて墨や顔料で摺り出す拓本の技法を応用し、紙子に色鮮やかな模様を施す染色技法。佐藤紙子工房などで受け継がれている。
使用される素材
制作工程
- 1
楮蒸し
収穫したコウゾの木を蒸して、樹皮を剥がしやすくする。
- 2
皮はぎ
蒸した楮から表皮を剥ぎ取り、白い内皮(甘皮)を取り出す。
- 3
紙料叩き
煮た楮の繊維を叩いてほぐし、紙漉きに適した紙料に仕上げる。
- 4
紙漉き
漉き桁を使い、繊維を均一にすくい上げて紙の形に整える。
- 5
紙干し
漉いた紙を板や乾燥機に張り付けて乾かし、和紙として仕上げる。
| 主な産地 |
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職人・工房
佐藤紙子工房(佐藤忠太郎紙子工房)
白石市で拓本染めによる紙子づくりを続ける工房。先代・佐藤忠太郎が江戸時代に盛んだった拓本染めと紙布織りの技術を復活させ、現在は2代目の佐藤文子氏が一人で技を守っている。名刺入れなどの小物が5,000円台から購入できる。
公式サイト →購入方法
- 東北スタンダードマーケット(佐藤紙子工房の商品)
- 佐藤紙子工房が手がける拓本染め紙子の袋ものなどをオンラインで購入できる。「白石拓本紙子 袋もの 縞々」は5,280円。購入先を見る →PR
体験施設
よくある質問
Q. 白石和紙はいつ宮城県の伝統的工芸品に指定されましたか?
A. 1982年12月1日に宮城県知事指定の伝統的工芸品となりました。国指定ではなく県指定の工芸品です。
Q. 紙子とは何ですか?
A. 強靭な白石和紙を柔らかく揉んでしなやかに仕立てた紙製の布・衣類のことです。防寒着や袋物などに用いられ、白石和紙の丈夫さを生かした伝統技術です。