
尾張七宝は愛知県あま市(旧七宝町)を中心に作られる、金属素地にガラス質の釉薬を焼き付ける工芸品です。江戸時代後期の天保年間(1830〜1844年)、尾張国の梶常吉がオランダ船によって伝来した七宝の皿を手本に製造法を研究・改良したことが始まりとされます。銅や銀の素地表面に、図柄の輪郭となる銀線を立てて釉薬を焼き付ける「有線七宝」を代表技法とし、花鳥風月や風景を精緻に表現します。1867年のパリ万国博覧会への出品を機に世界的に名を知られるようになり、明治期には輸出工芸品としても発展しました。現在もあま市七宝町を中心に花瓶・額・装身具などが作られ、1995年に国の伝統的工芸品に指定されています。
発祥
尾張七宝の起源は江戸時代後期の天保年間(1830〜1844年)にあります。尾張国に住んでいた梶常吉が、オランダ船によって輸入された七宝焼の皿を手がかりに製造法を研究し、独自の改良を加えて完成させたのが始まりと伝えられています。
歴史
梶常吉の技術はその後、孫の梶佐太郎らに受け継がれ、1880年創業の安藤七宝店をはじめとする窯元・工房で発展しました。1867年のパリ万国博覧会への出品を機に「尾張七宝」の名は世界に広く知られるようになり、明治期には皇室御用達となった工房も現れるなど、輸出工芸品としても隆盛を極めました。1995年4月5日、国の伝統的工芸品に指定されています。
特徴
尾張七宝は銅や銀の金属素地の表面にガラス質の釉薬を焼き付け、花鳥風月や風景などの図柄を表現する工芸品です。代表的な技法は「有線七宝」で、図柄の輪郭に沿って細い銀線を立ててから釉薬を差し、焼成後に研磨して仕上げます。緻密な文様と発色の美しさを両立させる高度な技術が求められ、花瓶や飾り皿、アクセサリーなど幅広い製品に用いられています。
使用される素材
制作工程
- 1
素地づくり
銅や銀の板を成形し、器物の形を作る。
- 2
植線
図柄の輪郭に沿って細い銀線を立てて貼り付ける。
- 3
釉薬差し
銀線で区切られた部分に色とりどりの釉薬を差す。
- 4
焼成
高温で焼き付け、釉薬を定着させる。
- 5
研磨
表面を研磨し、なめらかに仕上げる。
| 主な産地 |
|
|---|
職人・工房
購入方法
- 安藤七宝店 名古屋本店
- 名古屋市中区栄にある1880年創業の老舗七宝焼店の直営店。花瓶や飾り皿、アクセサリーなど有線七宝の製品を幅広く扱う。購入先を見る →PR