大内塗(おおうちぬり)は、山口県山口市を中心に作られている漆器です。「大内朱(おおうちしゅ)」と呼ばれる深い朱色の地塗りの上に、色漆で萩やススキなどの秋草を描きます。さらに雲形の中に金箔で大内氏の家紋「大内菱(おおうちびし)」をあしらうのが特徴です。室町時代に山口を本拠とした大内氏は、朝鮮半島などとの交易で漆器を重要な品として扱っていました。江戸時代にも山口の後河原(うしろがわら)で椀や盆が作られ続けます。明治時代には、郷土史家の近藤清石(こんどうきよし)が見いだした室町期の椀を手本に漆器づくりが盛んになり、「大内塗」の名で受け継がれてきました。1989年(平成元年)4月に国の伝統的工芸品に指定されています。盆や椀、箸、硯箱などのほか、丸い夫婦雛の大内人形が代表的な製品です。山口市内では、大内塗の技法を使ったアクセサリーづくりなどを体験できます。
発祥
大内塗の起源ははっきりしていません。山口は14世紀中ごろから大内氏の本拠となり、京を模した町づくりで栄えました。大内氏と李氏朝鮮との交易の記録には漆器が含まれています。大内氏が刀の鞘(さや)の漆塗りの代金を定めた文書も残り、漆工が営まれていたことがうかがえます。ただし、当時の漆器の産地は記されていません。大内弘世(おおうちひろよ)が京から漆塗りの職人を招いたのが始まりとする言い伝えもあります。
歴史
毛利氏が萩に本拠を移すと、山口の漆器は一時衰えたとされます。それでも江戸時代には、山口の後河原町で藩の公用の椀や盆、庶民向けの素朴な丸盆が作られていました。幕末の地誌『防長風土注進案』には、山口の町に椀屋が30軒あったと記されています。明治時代には近藤清石が毛利家に伝わる「大内千人椀」を見いだし、鞘師(さやし)の岩本梅之進に模作させました。これを機に、大内椀を手本とした漆器づくりが山口の名産として盛んになります。1989年(平成元年)4月11日には、国の伝統的工芸品に指定されました。
特徴
大内塗は、ベンガラを使った朱色の地に秋草を描き、雲形の上に金箔の大内菱を配した意匠で知られます。漆を何度も塗り重ねるため丈夫で、色があせにくいとされます。昭和初期には、近郊の農村向けに「大内会席」と呼ばれる漆塗りの膳や椀を作っていました。第二次世界大戦後は、硯箱や短冊掛け、箸、人形などの贈答品が中心になります。現在は大内人形と箸が主な製品で、盆や夫婦箸、アクセサリーなども作られています。
技法
漆絵(うるしえ)
色漆を筆に含ませ、器の表面に草花などの文様を描く技法である。大内塗では、朱色の地に色漆で萩やススキなどの秋草を描く。伝統的工芸品の指定に向けた調査では、山口の円龍寺(えんりゅうじ)に伝わる江戸時代の「雪舟盆」の漆絵が、大内塗の基本技術として重視された。
箔押し(大内模様)
雲形を描いた上に菱形の金箔を貼り、大内菱の文様を表す技法である。大内菱は大内氏の家紋にちなむ文様で、近藤清石が見いだした室町期の大内椀にも菱形の金箔貼りが見られる。漆絵と箔押しを組み合わせた「大内模様」は、伝統的工芸品の申請でも主な技法の一つに挙げられた。
下地と上塗り
木地に下地を施し、漆を塗り重ねて仕上げる。大内塗の歴史資料には、柿渋を使う渋下地や、漆に土の粉を混ぜて塗り重ねる本堅地(ほんかたじ)が見られる。上塗りには、塗ったままで仕上げる花塗りや、研いで磨き光沢を出すろいろ塗が用いられる。
使用される素材
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職人・工房
購入方法
- 桑原大内塗大内人形製作所(オンラインショップ)
- 桑原大内塗大内人形製作所のオンラインショップで、大内塗の甲高文庫(12万円程度)や号数別の大内人形などを扱う。品切れの商品も多く、材料費の高騰による価格改定の案内も出ているため、購入前に在庫と価格を確かめたい。購入先を見る →PR
体験施設
中村民芸社(大内塗アクセサリー作り体験)
山口県山口市大内御堀4138
大内塗の技法でイヤリングやピアス、キーホルダーを作る体験です。色漆を塗ったパーツを選び、金箔を好きな位置に貼って金具を付けます。体験料は1人3,000円程度で、所要は1時間ほどです。13時からの1日1回で定員は3名、3日前までの予約が必要です。作品はその日に持ち帰れます。
詳細を見る →山口ふるさと伝承総合センター(大内塗の箸づくり)
山口県山口市下竪小路12
「たくみ館」で大内塗の箸づくりを体験できます。漆を塗った箸に金箔を貼るなどして、自分だけの箸に仕上げます。体験料は2,000円程度で、乾燥後に郵送する場合は送料が別にかかります。原則平日の10時〜15時30分に行われ、前日までの予約が必要です。所要は30分〜1時間です。
詳細を見る →よくある質問
Q. 大内菱とは何ですか?
A. 大内氏の家紋にちなむ菱形の文様です。大内塗では、雲形の中に菱形の金箔を貼って表します。明治時代に模作された室町期の大内椀にも見られる意匠で、大内塗を象徴する文様として受け継がれています。
Q. 大内塗と大内人形はどう違いますか?
A. 大内人形は、大内塗の技法で仕上げた丸い夫婦雛の人形です。1989年に大内塗が伝統的工芸品に指定された際、人形も対象品目に含まれました。現在は大内人形が大内塗の主な製品になっています。人形の由来や買える場所は、大内人形の記事で紹介しています。