
小千谷縮は、新潟県小千谷市を中心に織られる苧麻(ちょま)の麻織物です。苧麻はラミーとも呼ばれる植物で、その繊維は長く、ハリとコシがあります。緯糸(よこいと)に強い撚りをかけて織り、仕上げに湯もみをすることで、布の表面に「シボ」と呼ばれる細かなしわが生まれます。このシボのおかげで肌にべたつきにくく、通気性と吸湿性に優れた夏の着尺地として親しまれてきました。江戸時代初期、播州明石から来たと伝わる堀次郎将俊(明石次郎)が越後の麻布に改良を加えたことが始まりとされます。2月から3月の晴れた日には、織り上げた反物を雪原に広げる「雪さらし」が行われ、小千谷の風物詩となっています。1955年(昭和30年)に国の重要無形文化財、1975年(昭和50年)に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。2009年(平成21年)には、越後上布とともにユネスコ無形文化遺産に登録されています。
発祥
小千谷周辺では古くから苧麻を原料とする麻布が織られていました。江戸時代初期、播州明石から来たといわれる浪人・堀次郎将俊(明石次郎)が、絹織物である明石縮の技法を応用して越後麻布の改良に成功します。緯糸に強い撚りをかけてシボを出す工夫が加えられ、糸づくりや布さらしの方法も改良されたと伝えられます。こうして生まれた麻の縮は当初「越後縮」と呼ばれ、魚沼地方一帯に広まりました。
歴史
17世紀中頃には小千谷で縮市が開かれ、江戸・京・大坂など各地の商人が集まったと記録されています。1800年の『北越志』には、機織りの音がしない民家は一軒もないと記されるほど生産が盛んでした。1955年(昭和30年)に「越後縮」として国の重要無形文化財に指定され、1960年に指定名称が「小千谷縮・越後上布」に改められました。1975年に伝統的工芸品に指定され、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。
特徴
最大の特徴は、強く撚った緯糸と湯もみによって生まれるシボです。布が肌に張り付きにくいため、汗ばむ季節でもさらりとした着心地を保ちます。重要無形文化財としての小千谷縮には、5つの要件が定められています。手績みの苧麻糸を使うこと、絣は手くびりによること、いざり機で織ること、湯もみ・足踏みでシボを取ること、雪ざらしで仕上げることです。「一尺織るのに900回も手を動かす」といわれるほど手間のかかる織物です。
技法
シボ取り(湯もみ・足踏み)
強い撚りをかけた緯糸で織り上げた布を湯に浸し、手で揉んだり足で踏んだりして、布面に細かなシボを出す仕上げの工程。小千谷縮ならではの涼やかな肌ざわりを生む要となる。
雪さらし
2月から3月、晴れて雪の表面が凍り、空気が澄んだ日に反物を雪の上に広げる。雪面で反射した紫外線によって生じるオゾンの働きで、布が漂白されると説明されている。
手くびりといざり機
手くびりは、絣模様にする部分の糸を括って防染し、染め分ける技法。いざり機は腰で経糸の張りを加減しながら織る手織機で、重要無形文化財の指定要件にはこの二つも含まれる。
使用される素材
制作工程
- 1
糸づくり
苧麻の繊維から糸をつくり、緯糸には強い撚りをかける。
- 2
絣づくり
図案に合わせて糸を括り、染めて絣糸をつくる。
- 3
機織り
経糸と緯糸の絣を合わせながら織り上げる。
- 4
湯もみ
織り上げた布を湯の中で揉み、シボを出す。
- 5
雪さらし
雪の上に反物を広げてさらし、布を仕上げる。
| 主な産地 |
|
|---|
職人・工房
購入方法
- 小千谷織物工房(小千谷市総合産業会館サンプラザ)
- サンプラザ1階にある小千谷織物同業協同組合の工房で、小千谷縮や小千谷紬などの織物を展示・販売している。高機を使った織りの実演を見学できる日もあり、入館は無料。購入先を見る →PR
- IONOストア(水田株式会社)
- 小千谷市旭町にある小千谷縮の店。小千谷縮の歴史や素材、湯もみ・雪晒しといった技法を紹介しながら製品を販売しており、営業時間は10時〜17時。購入先を見る →PR
体験施設
体験工房 織之座
新潟県小千谷市城内1-8-25(小千谷市総合産業会館サンプラザ1階)
予約制。卓上の手織り機で織るコースター織は1,200円程度〜(所要20分程度〜)、かすり織は1,800円程度〜。受付は10時〜16時、水曜休館。
詳細を見る →よくある質問
Q. 小千谷縮と越後上布はどう違うのですか?
A. どちらも苧麻を原料とする麻織物で、国の重要無形文化財として一体で指定され、2009年にともにユネスコ無形文化遺産に登録されました。緯糸の強い撚りと湯もみでシボを出したものが小千谷縮、シボのない平織りが越後上布です。
Q. 雪さらしはいつ見られますか?
A. 例年2月から3月ごろ、よく晴れて雪面が凍り、空気が澄み、雪上に汚れがないという条件がそろった日に行われます。純白の雪原に色とりどりの反物が並ぶ光景は美しく、撮影に訪れる人も多くいます。