雄勝硯

Ogatsu Suzuri

雄勝硯 1

画像: Wikimedia Commons

雄勝硯は宮城県石巻市雄勝町で作られる硯で、原料となる玄昌石(雄勝石)は約2億3千万~5千万年前の地層からとれる黒色硬質粘板岩です。粒子が均質できめ細やかな上、圧縮や曲げに強く吸水率が低いため経年変化しにくく、硯石として最高水準の性質を備えています。室町時代の1396年頃にはすでに雄勝で硯石が産出されていたと伝わり、江戸時代には伊達政宗に献上されたという600年以上の歴史を持ちます。1985年5月22日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となり、最盛期には国内で生産される硯の9割以上を雄勝硯が占めていました。2011年の東日本大震災では雄勝町全体が津波の甚大な被害を受け、職人の住居や工房、採石場も失われました。それでも職人たちは瓦礫の中から見つけた硯や道具を手がかりに生産を再開し、硯だけでなくテーブルウェアなど新たな商品開発にも取り組みながら復興を進めています。

発祥

雄勝硯の原料・玄昌石(雄勝石)は約2億3千万~5千万年前の地層から採れる黒色硬質粘板岩で、室町時代の1396年頃にはすでに雄勝で硯石が産出されていたと伝わります。1772年の文献にも「すこぶる雅物なり」と記されるなど、古くから名硯として賞美され、江戸時代には伊達政宗に献上されたと伝えられています。応永年間から数えて600年以上の歴史を持つ、日本を代表する硯の産地です。

歴史

雄勝硯は長く地域の産業として受け継がれ、1985年5月22日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。最盛期には国内で流通する硯の9割以上を雄勝硯が占め、日本一の硯産地としての地位を築きました。しかし2011年の東日本大震災による津波で雄勝町は壊滅的な被害を受け、多くの職人が住居や工房、採石場を失いました。それでも職人たちは瓦礫の中から見つけた硯や道具を頼りに生産を再開し、産地としての歩みを続けています。

特徴

雄勝硯の魅力は原石・玄昌石の質の高さにあります。粒子が緻密で均質、光沢に優れ、圧縮や曲げに強く吸水率が低いため、長年使っても変質しにくいという特性を持ちます。石を選び、彫り、磨き上げるまですべて職人の手作業で仕上げられ、墨のおりが良く、なめらかな磨り心地を実現しています。近年は硯だけでなく、この石の特性を生かしたテーブルウェアや建材など、新たな用途への展開も進んでいます。

技法

石選び(目利き)

雄勝石の層から、きめが均質で傷のない良質な部分を見極めて切り出す技術。硯の良し悪しを大きく左右する最初の重要な工程とされる。

使用される素材

雄勝石(玄昌石)

制作工程

  1. 1

    石採り

    雄勝石の採石場から原石を切り出す。

  2. 2

    砂すり

    荒く削って硯の大まかな形を整える。

  3. 3

    彫り

    鑿(のみ)を使い、墨を磨るための池や陸(丘)を彫り込む。

  4. 4

    磨き

    表面を丹念に磨き上げ、墨のおりが良いなめらかな石肌に仕上げる。

  5. 5

    仕上げ

    全体の形と細部を整え、最終検品を経て完成させる。

主な産地
  • 石巻市雄勝町

職人・工房

遠藤弘行

代々雄勝石の採石を手がけてきた家に生まれた雄勝硯職人。2011年の東日本大震災の津波で自宅と工房を失うも、瓦礫の中から見つけた父の作った硯を手がかりに同年6月から生産を再開し、産地の復興を支えている。

購入方法

雄勝硯生産販売協同組合 楽天市場店
組合が運営する通販サイト。硯のほか雄勝石を使った箸置きやプレートなどを扱い、小型の硯は5,000円程度から購入できる。購入先を見る →PR

体験施設

雄勝硯伝統産業会館

宮城県石巻市雄勝町下雄勝2-17(道の駅「硯上の里おがつ」内)

雄勝硯の歴史や職人の仕事道具を展示する施設。伝統工芸品の展示室は有料(大人200円)で、雄勝石を使った工芸品の販売コーナーも併設する。

詳細を見る →

よくある質問

Q. 雄勝硯は国内シェアのどれくらいを占めていますか?

A. 最盛期には国内で生産される硯の9割以上を雄勝硯が占めていたとされ、現在も日本を代表する硯の産地として知られています。

Q. 東日本大震災の影響はどうでしたか?

A. 津波により雄勝町は甚大な被害を受け、多くの職人が住居や工房、採石場を失いました。それでも職人たちは生産を再開し、硯以外の新たな商品開発にも取り組みながら復興を進めています。

#硯#雄勝石#玄昌石#文房具#東日本大震災