新潟漆器は、新潟市で作られる漆器です。江戸時代初めの元和年間(1615〜1624年)に、秋田(能代)の春慶塗が伝わったことが始まりとされます。寛永15年(1638年)には、現在の古町7番町に「椀店(わんだな)」と呼ばれる漆器の専売地域が定められました。港町・新潟は北前船の寄港地として物資や文化が集まる地で、各地のさまざまな漆塗りの技が伝わりました。そのため新潟漆器は「変わり塗の宝庫」と呼ばれ、数十種類ともいわれる塗りが受け継がれています。なかでも本物の竹と見間違えるほどの「竹塗」は、他の産地では見られない珍しい塗りとして知られます。2003年(平成15年)3月には、花塗・石目塗・錦塗・磯草塗・竹塗の5技法が経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。箸や盆、椀、名刺入れなど、暮らしの道具として今も親しまれています。
発祥
新潟で漆器づくりが始まったのは、江戸時代初めの元和年間(1615〜1624年)といわれ、秋田(能代)の春慶塗が伝えられたことが起こりとされています。春慶塗は、透明な漆を塗って木目の美しさを見せる塗りです。寛永15年(1638年)には、現在の古町7番町に椀店と呼ばれる漆器の専売地域が定められ、保護政策のもとで漆器づくりが盛んになりました。
歴史
新潟は北前船の寄港地として栄え、各地の漆塗りの技が取り入れられました。明和年間には会津若松の職人が訪れて技法を伝えるなど、他産地との交流が改良を促します。江戸時代末期には販路が江戸や大坂、北海道にまで広がり、日本有数の漆器産地となりました。竹塗は1870年(明治3年)に東京の鞘塗師・橋本市蔵が考案し、明治18年(1885年)ごろ高弟の長谷川善左衛門が新潟の塗師・吉田久平に伝えたものです。
特徴
新潟漆器の特徴は、多彩な「変わり塗」にあります。変わり塗とは、色漆の塗り重ねや研ぎ出し、炭粉などの材料を使って、器の表面にさまざまな模様や質感を表す塗りの総称です。伝統的工芸品に指定された5技法のほかにも、虫喰塗や青銅塗、青貝塗、紫檀塗、蒔絵など多様な技法が伝えられてきました。近年は夕日塗や朧銀塗といった新しい塗りも開発されています。
技法
竹塗
漆に砥粉を混ぜた錆で竹の節を形づくり、色漆で竹の肌や模様を表し、真菰粉で煤けた風合いを出す。本物の竹と見間違えるほどの仕上がりで、新潟漆器を代表する塗りとなっている。
錦塗・磯草塗
錦塗は麻紐を束ねたタンポで漆を叩き塗り、数色の漆を重ねて錫粉を蒔き、平らに研ぎ出してまだら模様を表す。磯草塗は工程がほぼ同じで、波間に漂う海藻のような模様が特徴。江戸中期に弥彦の渡辺氏が考案したと伝わる。
石目塗
炭粉を用いて石肌のざらざらとした表情を表す技法。傷が付きにくいため、器の底面や盆などによく用いられる。石目塗に蒔絵を施したものは「萬代蒔絵」と呼ばれる。
花塗
塗立(ぬりたて)とも呼ばれ、研ぎや磨きの工程を行わず、上塗りの漆を塗ったまま仕上げる技法。主に植物性の油を混ぜた朱合漆を使い、ふっくらとした仕上がりになる。
使用される素材
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職人・工房
うるし工芸 井村
新潟市東区下山の工房兼店舗。1974年(昭和49年)に先代が井村漆器製作所として設立し、2000年に現在の名称となった。座卓や盆、汁椀、ぐい呑み、箸など新潟漆器全般を手がける。
公式サイト →購入方法
- うるし工芸 井村
- 工房で作る新潟漆器を扱い、箸は1膳2,970円程度から、ぐい呑みは11,000円程度からの品がある。問い合わせは電話やメールで受け付けている。購入先を見る →PR
- 新潟漆器製造株式会社
- 2025年に古町から西蒲区岩室温泉へ工房を移した新潟漆器のメーカー。新潟市漆器同業組合の事務所も同じ所在地にある。公式サイトに商品紹介とオンラインショップ、注文方法の案内がある。購入先を見る →PR
体験施設
新潟漆器(新潟漆器製造株式会社)の箸づくり体験
新潟県新潟市西蒲区岩室温泉879-9
錦塗の箸の研ぎ出しと磨きを職人に教わる体験で5,000円程度。完成した箸は当日持ち帰れる。3日前までにメールで要予約、2〜10名。
詳細を見る →よくある質問
Q. 新潟漆器が「変わり塗の宝庫」と呼ばれるのはなぜですか?
A. 新潟は北前船の寄港地で、物資や文化の集散地として栄えました。そのため各地の漆塗りの技が伝わり、竹塗や錦塗、磯草塗など多彩な塗りが取り入れられてきたことから、こう呼ばれています。
Q. 新潟漆器にはどんな製品がありますか?
A. 箸や盆、椀、名刺入れなど日常使いの品が中心です。新潟県の紹介では、竹塗の箸(箱入)が3,000円程度、青銅竹塗の8寸盆が10,000円程度、名刺入れが13,000円程度からとされています。