鳴子漆器は宮城県大崎市の鳴子温泉郷で作られる漆器で、江戸時代初期の寛永年間(1624~1644年)頃に創始されたと伝わります。岩出山領主・伊達敏親が塗師や蒔絵師を京都へ派遣して技術を学ばせたことが基盤となり、湯治客の土産物として発展しました。1982年12月1日に宮城県知事指定、1991年5月20日には経済産業大臣指定の伝統的工芸品となっています。最大の特徴は木地の美しい木目を透明感のある琥珀色の漆で活かす「木地呂塗」と、墨流し技法による幻想的な模様が浮かぶ「竜文塗」の2つの塗り技法です。欅(けやき)や栃(とち)などの木地をろくろで挽き、下地から上塗りまで手間をかけて仕上げるため、使い込むほどに木目や色合いに深みが増していきます。汁椀や重箱、盆など日常づかいの器が多く、鳴子こけしの里としても知られる温泉地の暮らしに根づいた実用の漆器です。
発祥
鳴子漆器は江戸時代初期の寛永年間(1624~1644年)頃、鳴子温泉郷で創始されたと伝わります。当時の岩出山領主・伊達敏親が塗師や蒔絵師を京都へ派遣して技術を学ばせたことが技術的な基盤となり、湯治客への土産物として発展しました。もともと豊富な森林資源を背景に木地挽きの技術が根づいていた土地柄が、漆器づくりを後押ししたといわれています。
歴史
江戸期から明治・大正にかけて温泉地の土産物として発展した鳴子漆器は、1982年12月1日に宮城県知事指定の伝統的工芸品となり、1991年5月20日には経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。現在は鳴子漆器協同組合を中心に、後藤漆工房をはじめとする職人たちが木地挽きから塗りまで一貫した手仕事で伝統を受け継いでいます。
特徴
最大の特徴は木地の木目をそのまま活かす塗り技法にあります。透明感のある琥珀色の漆を用いる「木地呂塗」は、使い込むほどに木目の美しさが際立ちます。墨流しの技法で幻想的な模様を生む「竜文塗」は1951年に考案された鳴子漆器独自の技法です。欅や栃など地元産の良材をろくろで挽いた木地に、堅牢な下地と丁寧な上塗りを重ねることで、実用性と美しさを兼ね備えた器に仕上がります。
技法
木地呂塗
透明感のある琥珀色の漆を欅や栃の木地に塗り重ねる技法。下地の木目を隠さず活かすため、使い込むほどに木目が浮き立ち、色合いにも深みが増していく鳴子漆器を代表する塗り技法。
竜文塗
1951年に考案された鳴子漆器独自の技法。墨流しの要領で漆の表面に龍が舞うような幻想的な文様を生み出す。一つとして同じ模様にならない、偶然性を活かした装飾技法として知られる。
使用される素材
制作工程
- 1
木地挽き
欅や栃の原木をろくろで挽き、椀や盆などの器の形を削り出す。
- 2
木固め
生漆を木地にすり込んで乾燥させ、狂いや割れを防ぎ強度を高める。
- 3
下地塗り
漆と地の粉などを用いて下地を塗り重ね、堅牢な素地をつくる。
- 4
中塗り・上塗り
漆を塗っては研ぐ工程を繰り返し、木地呂塗や竜文塗などの仕上げを施す。
- 5
磨き
炭やコンパウンドで表面を磨き上げ、艶と透明感を引き出して完成させる。
| 主な産地 |
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職人・工房
後藤漆工房
鳴子温泉郷の中心部にある工房。鳴子漆器職人の2代目・後藤常夫氏が20歳で独立して以来47年にわたり技を磨き、鳴子漆器協同組合の理事長も務めた代表的な塗師の一人。
購入方法
- 鳴子漆器協同組合
- 鳴子温泉字南原にある組合。会員工房の鳴子漆器を取りまとめ、毎年9月には鳴子漆器展を開催している。問い合わせはTEL0229-87-2361。
- 島貫漆器店オンラインショップ
- 鳴子漆器を含む東北の漆器を扱う通販サイト。汁椀などが5,500円程度〜で購入できる。購入先を見る →PR
よくある質問
Q. 鳴子漆器はいつ国の伝統的工芸品に指定されましたか?
A. 1982年12月1日に宮城県知事指定を受けた後、1991年5月20日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。
Q. 木地呂塗とはどのような技法ですか?
A. 透明感のある琥珀色の漆を木地に塗り重ね、木目をそのまま活かす鳴子漆器の代表的な塗り技法です。使うほどに木目の美しさが際立ちます。