宮島焼

Miyajima-yaki (Miyajima Sacred Sand Pottery)

宮島焼 1

宮島焼(みやじまやき)は、宮島の対岸にある廿日市市宮島口で焼かれている陶器です。厳島神社の御本殿の下の砂を粘土に混ぜて焼くことから、「お砂焼」「御砂焼(おすなやき)」とも呼ばれます。旅の無事を願い、神社の砂をお守りとして持ち歩いた江戸時代の風習が起こりとされます。派手さはありませんが、素朴で温かみのある清楚な風合いが持ち味です。砂を混ぜた土は窯の中で窯変(ようへん)が起こりやすく、一つとして同じもののない模様が生まれます。意匠には宮島を象徴する紅葉が多く、花器や茶器、日常使いの食器、箸置きなどが作られています。宮島を訪れた人の土産としても親しまれてきました。1991年(平成3年)に広島県の伝統的工芸品に指定され、現在は宮島口の窯元が伝統を受け継いでいます。

発祥

安芸の国の旅人は、厳島神社の御本殿下の砂を「お砂守」として受け、旅の安全を願って持ち歩きました。無事に帰ると、旅先の砂を加えて倍にして返す「お砂返し」という風習があったと伝わります。帰郷後にその砂で土器を作り、神前に供えたともいわれます。やがて砂を混ぜた土で神社の祭礼に使う祭器が作られ、神聖な砂を使うことから「御砂焼」「神砂焼」と呼ばれるようになりました。焼き始めた時期は、天明・寛政の頃とする説や文政年間とする説があります。

歴史

江戸時代には広島藩が奨励して全国に知られましたが、藩の力が弱まると長くは続かなかったといわれます。明治時代中頃に再興され、現在の基礎が固まりました。明治時代末には川原家が宮島口で窯を開き、大正元年(1912年)には山根対厳堂が創業しました。初代山根興哉(こうさい)は京焼や萩焼の手法を取り入れ、厳島神社の祭祀の品も手がけたとされます。1991年に川原厳栄堂と山根対厳堂が、2013年には圭斎窯が県の伝統的工芸品の製造者に指定されています。

特徴

粘土に混ぜる砂はごく微量で、見た目では判別できないといわれます。砂を混ぜることで窯変が起こりやすくなり、釉薬の色や模様に自然な変化が生まれます。窯元によっては、本物のもみじの葉を器に押し当てて葉脈を写し取る「もみじ紋」など、宮島らしい意匠を工夫しています。日用の器のほか、宮島の大聖院に伝わる「消えずの火」の灰を釉薬に使った器など、宮島の信仰や祈りにちなむ作品も生まれています。

技法

お砂の練り込み

厳島神社の御本殿下の砂を粘土に練り込み、器を形づくる。山根対厳堂では、本殿下の砂を神社で祈祷してもらってから粘土に混ぜている。砂の量はごく少ないが、焼成の際に窯変を起こしやすくする。

もみじ紋

宮島を象徴する紅葉の意匠を、本物のもみじの葉を使って器に写す技法である。一枚ずつ生の葉を押し当てて、葉脈まで写し取る。山根対厳堂の代表的なシリーズとして知られる。

使用される素材

陶土厳島神社御本殿下の砂(お砂)釉薬
主な産地
  • 廿日市市宮島口

職人・工房

山根対厳堂

1912年(大正元年)創業の厳島神社の御用窯で、三代山根興哉が率いる。もみじ紋のほか、消えずの火の灰を釉薬にした器などを作る。キャンドルホルダーは2015年にひろしまグッドデザイン賞を受賞した。絵付け体験は2026年10月時点で新規予約を一時休止している。

公式サイト →

川原厳栄堂

1909年(明治42年)創業と紹介される窯元で、JR宮島口駅のすぐ近くにある。お砂焼の伝統を受け継ぎ、皿や鉢、飯碗、湯呑、酒器など日常使いの器を中心に扱う。観光ガイドでは、宮島焼の箸置きが1個330円からと紹介されている。

宮島御砂焼 圭斎窯

2013年(平成25年)に宮島焼の製造者として広島県の指定を受けた窯元である。県の伝統的工芸品の紹介ページで、川原厳栄堂・山根対厳堂と並んで掲載されている。所在地は廿日市市宮島口一丁目。

購入方法

山根対厳堂の店舗・公式サイト
宮島口の店舗のほか、公式サイトでも商品を紹介している。公式サイトではもみじ紋を5,000円から、消えずの火の灰の釉を使った器を4,200〜8,000円と案内している。2026年9月に価格改定のお知らせが出ているため、最新の価格は確認するとよい。購入先を見る →PR
広島市内・宮島の取扱店
広島市のひろしまブランド紹介によると、山根対厳堂の宮島御砂焼は、そごう広島店、おりづるタワー、平和公園レストハウス、厳島神社、大聖院などで扱われている。東京・銀座のひろしまブランドショップTAUでも取り扱いがある。購入先を見る →PR

体験施設

川原厳栄堂 工房見学

広島県廿日市市宮島口1丁目5-15

観光ガイドでは、店に併設された工房を見学できると紹介されています。営業時間は9時〜18時(日・月曜は10時から)ですが、工房は日・月曜が休みです。訪問前に営業状況を確認すると安心です。

よくある質問

Q. 「宮島焼」と「お砂焼」は違うものですか?

A. 同じ焼き物を指す呼び名です。厳島神社の砂を使うことから「お砂焼」「御砂焼」とも呼ばれ、窯元によっては「宮島御砂焼」の名で販売しています。広島県の伝統的工芸品としての名称は「宮島焼」です。

Q. 宮島細工とはどう違いますか?

A. 宮島細工は杓子(しゃもじ)やお盆などの木工品で、国の伝統的工芸品に指定されています。宮島焼は陶器で、広島県の伝統的工芸品です。どちらも宮島の参拝客の土産として発展しました。

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