松阪木綿

Matsusaka Momen (Matsusaka Cotton)

松阪木綿 1

画像: Wikimedia Commons

松阪木綿(まつさかもめん)は、三重県松阪市と明和町で作られている綿織物です。天然の藍で先に染めた糸を使い、細い縞模様に織り上げるのが特徴です。この縞は「松阪縞」とも呼ばれます。松阪周辺は古くから紡織が盛んな土地で、15世紀ごろ綿が伝わると、その技術が木綿織りに受け継がれました。江戸時代には農家の副業として盛んに織られ、三井家・長谷川家・小津家などの松阪商人が江戸で売り広めます。遠目には無地に見え、近づくと縞が分かる柄が、倹約令の時代に「粋」と好まれました。多い時には年に50万〜60万反が江戸で売られたといわれます。現在は御絲織物が機械織りで生産を続け、手織りの技は松阪もめん手織り伝承グループゆうづる会などが伝えています。三重県指定伝統工芸品です。

発祥

松阪地方には5世紀ごろ、大陸から機織りの技術を持つ「漢織(あやはとり)」「呉織(くれはとり)」が渡来したと伝わります。櫛田川下流の御糸(みいと)地区周辺は、古くから絹や麻を織ってきた土地です。15世紀ごろ綿が伝わると、伊勢湾岸でも綿の栽培が広がりました。古代からの紡織技術と木綿が結びつき、松阪木綿が生まれたとされます。縞柄の源流は、安南国(現在のベトナム)の「柳条布(りゅうじょうふ)」といわれます。

歴史

1588年(天正16年)、蒲生氏郷が松阪に城下町を開き、商人の町の基盤ができました。江戸時代の松阪には40軒以上の藍染屋があったとされ、「松坂嶋(まつさかじま)」と呼ばれる縞柄が生まれます。松阪生まれの三井高利は、1673年に江戸で越後屋呉服店を開きました。三井家や長谷川家、小津家に代表される松阪商人が、この木綿を「松阪木綿」と名付けて売り出します。享保の改革のころには、安くて丈夫で縞柄が粋だと江戸で一世を風靡しました。

特徴

松阪木綿は、天然藍で染めた糸を使う先染めの綿織物です。糸を染めてから織るため、藍の色を生かしたさまざまな縞を表せます。代表的な柄には、細い筋を密に並べた「千筋(せんすじ)」「万筋(まんすじ)」などがあります。遠目には無地に見え、近寄ると縞が見える控えめな柄が、華美な着物が制限された江戸で「粋」とされました。農家の副業として織られてきたため、柄の設計は比較的簡単とされます。安くて丈夫なことも、庶民に広まった理由です。

使用される素材

綿糸天然藍(先染め)
主な産地
  • 松阪市
  • 多気郡明和町(御糸地区)

職人・工房

御絲織物株式会社

明和町の下御糸地区周辺で江戸時代から織られてきた「御糸織」を受け継ぐ織元。植物の藍で糸を染め、機械で反物を織るまでを一貫して行う。「みいと織」として商標登録している。工場見学は電話での予約制である。

松阪もめん手織り伝承グループゆうづる会

松阪木綿の手織りの技を伝える団体。2019年(令和元年)10月に、松阪木綿の県指定団体へ御絲織物に続いて追加された。会に所属する森谷尚子さんは、2026年に三重県伝統工芸士に認定されている。

購入方法

松阪もめん手織りセンター
松阪市本町の産業振興センター1階にある施設で、手織りのバッグや小銭入れ、ストールなどを販売している。手織り品は一点ものである。松阪もめんの洋服や着物、小物もそろう。営業は9時〜17時で、火曜日が定休日。購入先を見る →PR
明和町のふるさと納税
機械織りの松阪もめんを生産する御絲織物の製品は、明和町のふるさと納税の返礼品として扱われている。購入を兼ねて工場見学をしたい場合は、平日に電話で予約する。

体験施設

松阪もめん手織りセンター

三重県松阪市本町2176 松阪市産業振興センター1階

昔ながらの機織り機で手織りを体験できる。約1時間で小物敷きを織る「プチ織姫体験」は1,500円、4〜5時間で約1mの反物を織る「一日織姫体験」は5,000円。予約は3日前までで、受付は9時〜15時。身長145cm以上などの条件がある。

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よくある質問

Q. 松阪木綿は国の伝統的工芸品ですか?

A. 国(経済産業大臣)の伝統的工芸品には指定されていません。三重県が独自に指定する「三重県指定伝統工芸品」です。指定団体は御絲織物と、2019年に加わった松阪もめん手織り伝承グループゆうづる会の2事業者です。

Q. 松阪木綿の歴史に触れられる場所はありますか?

A. 松阪市魚町の旧長谷川治郎兵衛家は、江戸で木綿問屋を営んだ豪商の屋敷で、国の重要文化財です。江戸時代中期に建てられ、昭和初期まで増改築が重ねられました。開館は9時〜17時で、水曜日が休館日です。敷地では綿も育てられています。

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