京漆器

Kyo-shikki

京漆器 1

京漆器は、平安京の宮廷文化とともに育まれてきた京都の漆工芸で、薄手の木地を幾重にも漆で塗り重ねる「本堅地」という緻密な下地技法と、金銀粉で文様を描く蒑絵の美しさを特徴とします。起源は794年の平安遷都まで遡るとされ、奈良時代に生まれた末金鏤(まっきんる)の技法が平安時代に受け継がれ、研出蒔絵や平蒔絵として完成されていきました。茶道文化の広がりとともに茶道具としての需要も高まり、公家や寺社、茶人の求めに応じて洗練された意匠が磨かれてきました。1976年に国の伝統的工芸品に指定され、他産地の漆器には見られない「わび」「さび」を備えた奥深い趣と優雅さを併せ持つ点が高く評価されています。木地作りから下地、上塗り、加飾まで多くの工程を経て、一つの器が完成します。

発祥

京漆器の起源は古く、794年の平安遷都の頃まで遡るとされます。漆に金粉を蒔いて文様を表す「末金鏤(まっきんる)」の技法は奈良時代に生まれ、都が京都に移った後の平安時代に受け継がれて発展しました。以後、研出蒔絵や平蒔絵といった、金銀粉で意匠を描き出す蒔絵技法が完成されていき、宮廷や寺社の調度品として用いられる漆工芸の礎が築かれました。

歴史

平安時代に基礎が築かれた京漆器は、その後の茶道文化の広がりとともに、茶道具としての需要を高めながら発展しました。木地に麻布を漆と澱粉糊で貼って補強し、地の粉などを漆で練り合わせた下地材を幾重にも塗り重ねる「本堅地」という技法が、京漆器の品質を支える基本工程として確立されていきます。1976年(昭和50年)には通商産業大臣(現・経済産業大臣)により国の伝統的工芸品に指定され、現在に技術が受け継がれています。

特徴

京漆器の特徴は、薄手の木地に麻布を貼って補強したのち、山科地の粉などを漆で練り合わせた下地を何層にも塗り重ねる「本堅地」という、漆工芸において最も基本的で手間のかかる製作工程にあります。黒や赤の漆を塗り重ねた上に、金銀粉で意匠を描く蒔絵が施されることも多く、他産地の漆器には見られない「わび」「さび」を備えた内面的な深い味わいと優雅さを兼ね備えている点が高く評価されています。

技法

本堅地(ほんかたじ)

薄手の木地に漆と澱粉糊で麻布を貼って補強し、地の粉を漆で練った下地材を何層にも塗り重ねる技法。京漆器の品質を支える最も基本的な工程とされる。

蒔絵(まきえ)

漆で文様を描き、乾かないうちに金粉・銀粉を蒔いて定着させる加飾技法。研出蒔絵や平蒔絵など、平安時代から発展した技法が受け継がれている。

使用される素材

漆地の粉(珪藻土)木地(トチなど)金粉・銀粉

制作工程

  1. 1

    木地作り

    トチなどの木材を器の形に木取り、仕立てる。

  2. 2

    下地(くくり錆付け)

    麻布を貼って補強し、地の粉と漆を練った錆で角を整える。

  3. 3

    中塗り・上塗り

    漆を均一に塗り重ねて研ぎ、最終層を艶やかに仕上げる。

  4. 4

    加飾

    蒔絵や沈金など、金銀粉や絵筆を用いて意匠を加える。

主な産地
  • 京都市内(中京区・上京区など)

職人・工房

京漆匠 象彦

1661年(寛文元年)創業と伝わる京都の老舗漆器店。19世紀初め、三代西村彦兵衛が朝廷より「蒔絵司」の称号を受けたことが屋号の由来とされる。

公式サイト →

購入方法

象彦 京都寺町本店
蒔絵を施した逸品から日常づかいの器、ギフト向けの小物まで幅広く取り扱う直営店。購入先を見る →PR

体験施設

京漆器蒔絵体験工房 蒔絵平野

京都市上京区寺之内通千本東入ル新猪熊町415

要予約、伝統工芸士の指導で丸盆に金粉を蒔く蒔絵体験ができる(作品は当日持ち帰り可)

#漆器#蒔絵#本堅地