
桑名鋳物(くわないもの)は、三重県桑名市で作られている鋳物です。1601年(慶長6年)、本多忠勝が桑名藩の初代藩主となり、鋳物師を招いたのが始まりとされます。藩の奨励のもとで鉄砲の製造などが行われ、鋳物産業が根づきました。江戸時代には灯籠や梵鐘、鍋などが作られ、桑名宗社(春日神社)の青銅鳥居が名高い作例です。明治時代には製麺機や水道器具などの機械鋳物が始まり、「東の川口、西の桑名」と並び称される産地に育ちました。東海道の宿場町として栄えた桑名は、今も「鋳物の街」として知られます。現在はマンホールの蓋や機械部品などの工業用鋳物が中心ですが、鉄瓶や鍋などの日用品も作られています。2026年(令和8年)には、ケトルベルと鉄鍋を対象に三重県指定伝統工芸品となりました。
発祥
桑名鋳物の起源は、1601年(慶長6年)にさかのぼるとされます。徳川四天王の一人・本多忠勝が桑名藩の初代藩主となった際、鋳物師の広瀬氏を招いて屋敷を与えました。藩の奨励のもとで鉄砲の製造などが始まり、本格的な鋳物生産が興ったといわれます。その後、松平定綱も鋳物師の辻内氏を招いて屋敷を与えました。江戸時代の桑名には3軒の「御鋳物師」があったと伝えられ、これが現在の桑名鋳物のルーツとされます。
歴史
1667年(寛文7年)、桑名藩主・松平定重の命で、桑名宗社に青銅の大鳥居が建てられました。手がけたのは辻内家の初代・善右衛門(藤原種次)とされ、「勢州桑名に過ぎたるものは、銅の鳥居に二朱女郎」と謳われました。辻内家は寺院の梵鐘や喚鐘、擬宝珠なども数多く手がけています。1903年(明治36年)には製麺機や水道器具などの機械鋳物の製造が始まりました。明治・大正期には、埼玉県の川口と並ぶ日本の二大鋳物産地となります。
特徴
桑名の鋳物は、日用品から神社仏閣の鳥居や梵鐘、機械部品まで幅広い製品を生んできました。職人は鋳肌の美しさや寸法の正確さが求められる薄物鋳造を得意とし、3〜4mmの薄さに仕上げる技術を持つとされます。県指定の対象となったケトルベルと鉄鍋は、鉄の重さや蓄熱性を生かした製品です。伊藤鉉鋳工所は、創業時とほぼ変わらない職人の手込め造型(手作業で砂型を作ること)を続けています。城田鋳工のすき焼き鍋は、塗装をしない鉄だけで作られています。
使用される素材
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職人・工房
有限会社伊藤鉉鋳工所
1950年(昭和25年)創業で、3代にわたり桑名で鋳物を作ってきた。職人による手込め造型で、小ロット・短納期の注文に応える。トレーニング器具のケトルベルを製造販売し、重さの品ぞろえを広げてきた。桑名鋳物の県指定団体の一つである。
公式サイト →城田鋳工株式会社
1947年(昭和22年)創業の鋳物メーカーで、桑名市芳ヶ崎に工場を置く。創業当初は家庭向けのすき焼き鍋などを作り、現在は産業用モーターなどの鋳物も手がける。2025年には鉄製の「寿喜鍋」を発表した。桑名鋳物の県指定団体の一つ。
公式サイト →桑原鋳工株式会社
桑名でマンホールの蓋などを製造する鋳物メーカー。フライパンや鍋、鉄瓶、マンホールを模したコースターなど、日用品の自社ブランド製品も手がける。2016年ごろから鉄瓶などの海外販売にも取り組んでいる。
辻内鋳物鉄工株式会社
江戸時代の御鋳物師・辻内家の流れをくむ会社。初代善右衛門は桑名宗社の青銅鳥居を造り、一族は梵鐘や喚鐘、擬宝珠なども数多く手がけた。戦時中の金属類回収で多くの作品が失われたが、会社は営業を続けている。
公式サイト →購入方法
- 城田鋳工「寿喜鍋」
- 直径約21cm、重さ約1.7kgの鉄製すき焼き鍋で、コーティングを施していない。2025年のクラウドファンディングでは、一般販売の予定価格を9,900円(税込)としていた。最新の販売方法は同社のウェブサイトで確かめたい。購入先を見る →PR
- 伊藤鉉鋳工所のケトルベル
- 自社製の「ハードスタイルケトルベル」を通販サイトなどで販売している。重さは4kgから48kgまでそろう。通販サイトでの価格は、4kgで4,400円程度、12kgで9,240円程度である。購入先を見る →PR
体験施設
CASTER HOME(キャスターホーム)
三重県桑名市安永1811
鋳物メーカーの大洋産業が2023年6月に開いた鋳造体験工房。溶かした錫を型に流し込み、箸置きやコースター、小皿などを作る。料金は箸置き2つで3,000円、コースターは4,000円、おちょこは5,000円など。所要時間は約2時間で、完全予約制。
詳細を見る →よくある質問
Q. なぜケトルベルが伝統工芸品に指定されたのですか?
A. 三重県の指定では、桑名鋳物の対象品目をケトルベルと鉄鍋としています。指定の要件は、主に日常生活で使われ、製造の主要部分が手工業的で、伝統的な技術と原材料で作られることです。職人が手で砂型を作り鉄を流し込むケトルベルは、桑名の鋳物技術を今の暮らしに生かした道具といえます。