
鴨川萬祝染は、房総半島の漁村で生まれた大漁祝いの晴れ着「萬祝(まいわい)」を染め上げる伝統的な染色技法です。江戸時代後期、大漁を得た網元が乗子や関係者に晴れ着を配る風習が房総の漁村で生まれ、鶴・亀・松竹梅・宝船・鯛などの縁起の良い図柄を、藍地に白く染め抜いたり多彩な色彩で大胆に描いたりする独特の意匠が発展しました。歌川貞秀の浮世絵にも萬祝姿の漁師が描かれており、江戸後期には特別な晴れ着として定着していたと考えられています。この染色文化は太平洋沿岸を北は青森から南は静岡まで広く伝わりましたが、戦後は漁業の変化や後継者不足により多くの産地で途絶えました。現在、鴨川市では「鈴染」が伝統の型染め技法を今に伝える数少ない継承者として、萬祝染の着物や小物づくりを続けています。1997年(平成9年)には千葉県の伝統的工芸品に指定されました。
発祥
萬祝は、房総半島の漁村で大漁を祝う際に振る舞われた晴れ着で、江戸時代後期に始まったとされています。大漁を得た網元が、乗子(漁師)や関係者に晴れ着を仕立てて配る風習が起源で、正確な開始時期は不明ですが、幕末の浮世絵師・歌川貞秀の作品に萬祝姿の漁師が描かれていることから、江戸後期には特別な晴れ着として定着していたと考えられています。
歴史
萬祝染は房総の漁村文化とともに太平洋沿岸各地に広まり、青森から静岡にかけての漁村でも大漁祝いの晴れ着として親しまれました。しかし戦後、漁業形態の変化や生活様式の変化により、多くの産地で染めの技術が途絶えていきました。そうした中、鴨川市では「鈴染」が江戸時代から続く型染めの技法を今に伝えており、1997年(平成9年)に千葉県の伝統的工芸品に指定されています。
特徴
鶴・亀・松竹梅・宝船・鯛など縁起の良い図柄を、藍地に白く染め抜いた渋い意匠から、多彩な顔料で鮮やかに彩色した華やかな意匠まで、大胆な構図で表現するのが萬祝染の特徴です。木綿生地に糊で下絵を置いて防染し、色さしを施したのち糊を洗い落として仕上げる型染め技法が用いられます。晴れ着だけでなく、現在は暖簾や半纏、巾着などの小物にも意匠が応用されています。
使用される素材
制作工程
- 1
型置き・糊置き
生地に図柄の輪郭を写し、糊を置いて防染することで、色をにじませずに文様の形を保つ下地をつくる。
- 2
色差し
顔料を筆にとり、鶴や亀、宝船などの図柄の上に一色ずつ配色を考えながらのせていく、萬祝染ならではの手作業の工程。
- 3
乾燥
色を差し終えた生地を風通しの良い場所でよく乾かし、顔料をしっかりと繊維に定着させてから次の工程に移る。
- 4
水洗い・仕上げ
乾燥後に糊を洗い落とし、余分な顔料を落として、鮮やかな図柄を生地の上に浮かび上がらせて仕上げる。
職人・工房
購入方法
- 鴨川市ふるさと納税返礼品
- 千葉県指定伝統的工芸品「萬祝染」の藍染巾着など、鈴染が手がける小物がふるさと納税の返礼品として提供されている。購入先を見る →PR
体験施設
鴨川萬祝染 鈴染
千葉県鴨川市前原211
要予約。鶴・亀・しめ縄の図柄から1つを選んで色差しを体験でき、料金は1,980円・3,850円・4,950円の3コース(2025年9月改定、税込)。
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