一国斎高盛絵(いっこくさいたかもりえ)は、広島市中区江波(えば)の金城一国斎(きんじょういっこくさい)家に伝わる漆芸です。漆と砥の粉(とのこ)を練り合わせたもので文様を高く盛り上げ、色漆で彩って仕上げます。草花や昆虫を浮き彫りのように立体的に描き出すのが特徴で、日本の漆工芸の中でも類例の少ない技法とされます。絵画のやわらかさと彫刻の重厚さを同時に表現できる点が魅力です。技は一子相伝で受け継がれ、180年以上の歴史を持ちます。主な製品は硯箱や飾り盆、茶道具などです。1991年(平成3年)に広島県の伝統的工芸品に、2011年(平成23年)には県の無形文化財に指定されました。現在は七代金城一国斎がその技を受け継いでいます。
発祥
一国斎の祖は、尾張藩士の中村市郎右衛門(市郎左衛門とも)と伝えられます。別の資料では、大坂で漆芸を修業した初代が、尾張徳川家の小納戸御用塗師となって「金城一国斎」を名乗ったとされ、初代の名は資料によって異なります。二代は初代の次男で、諸国を巡って彫漆(ちょうしつ)の技術を学ぶ中で高盛絵を考案し、大坂で開業したといわれます。
歴史
天保14年(1843年)、二代一国斎は眼病の治療のために広島を訪れ、江波焼の陶工の長男だった木下兼太郎に漆芸を伝えました。兼太郎は三代一国斎を襲名し、二代とともに研究を重ねて高盛絵を完成させました。以後、技法は広島で代々受け継がれます。五代は金蒔絵を学び、高盛絵に金を加えて表現の幅を広げたとされます。2023年のG7広島サミットでは、七代金城一国斎の蒔絵グラスが首脳への贈呈品に選ばれました。
特徴
題材の中心は、牡丹や百合、紅葉などの草花や昆虫です。草花にアシナガバチを配するのが一国斎の作品の特色とされます。文様は器の面から立体的に盛り上がり、色漆の塗り分けによって動植物が写実的に表されます。三代の食籠(じきろう)には、本物の菊の花を貼り付けたような迫真の表現と評される作品もあります。七代は、高盛絵に加えて彫漆や切金(きりかね)、彫蒔絵などの技法を取り入れた作品も制作しています。
技法
高盛絵
砥の粉と漆液を混ぜた「錆(さび)」を、漆を塗った面や木・竹の素地に盛り上げてレリーフ状にする。固まった後に彫刻刀で形を整え、色漆を塗って仕上げる。彫って形を作る彫漆と違い、盛って形を作るため、柔らかく自在な造形と鮮やかな彩色が可能になる。
使用される素材
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職人・工房
七代 金城一国斎
1965年(昭和40年)生まれ、広島県出身の漆芸家で、本名は池田昭人。2011年に一国斎高盛絵の保持者として県の無形文化財に認定された。歴代の作風を受け継ぎながら四季の花鳥風月を表現している。工房は広島市中区江波東にある。
購入方法
- 福屋八丁堀本店 美術画廊
- 広島市のひろしまブランド紹介で、一国斎高盛絵の主な取扱店として挙げられている百貨店の画廊である。所在地は広島市中区胡町6-26。作品は一点ごとに価格が異なるため、取り扱いの有無は事前に問い合わせるとよい。購入先を見る →PR
よくある質問
Q. 歴代の高盛絵はどこで見られますか?
A. 広島県立美術館(広島市中区)が、三代金城一国斎の香合や菓子器、盆などを多数所蔵しています。文化庁の「文化遺産オンライン」でも作品の画像と解説を見ることができます。美術館での展示は時期によって異なります。