伊賀くみひも

Iga Kumihimo (Iga Braided Cords)

伊賀くみひも 1

伊賀くみひも(いがくみひも)は、三重県伊賀市を中心に作られている組紐です。組紐は、何本もの糸を斜めに交差させて組み上げた紐で、織物に比べて伸縮性があるのが特徴です。絹糸を主に、金糸・銀糸なども使い、丸台・角台・綾竹台・高台(たかだい)などの組台で組み上げます。伊賀の組紐の起源は奈良時代以前にさかのぼるともいわれ、古くは仏具や武具の紐として作られました。地域の産業として大きく発展したのは、明治35年(1902年)に廣澤徳三郎が江戸組紐の技術を持ち帰ってからです。以来、帯締めや羽織紐の一大産地となり、手組みの組紐では全国生産の大半を占めます。1976年(昭和51年)に国の伝統的工芸品に指定されました。現在は製紐機による生産も進み、キーホルダーやアクセサリーなど和装以外の製品も作られています。

発祥

伊賀の組紐の起源ははっきりしませんが、奈良時代以前にさかのぼるといわれます。経巻や華籠(けこ:法要で散らす花びらを盛る仏具)などの仏具・神具、甲冑や刀の紐として作られてきました。三重県組紐協同組合によると、伊賀の久米山古墳群の発掘調査では、4〜5世紀のものとみられる鏡のつまみに通された紐が見つかっています。江戸時代には藤堂藩の城下町で武具の需要が生まれ、鎧師らによって甲冑用の組紐も作られました。

歴史

明治9年(1876年)の廃刀令で武具の需要が失われ、伊賀の組紐づくりは衰えます。転機は明治35年(1902年)、廣澤徳三郎が東京で組紐の技術を学び、故郷の上野市上林(現在の伊賀市)に糸組工場を開いたことでした。組紐は帯締めや羽織紐に生かされ、伊賀は高級手組紐の最大産地へと育ちます。養蚕が盛んで、和装の本場・京都に近いことも発展を支えたとされます。1976年に伝統的工芸品に指定され、現在は製紐機による生産や新商品の開発も進んでいます。

特徴

伊賀くみひもの持ち味は、美しく染めた絹糸が一筋ずつ交わって生まれる独特の風合いです。糸は丸染め・絞り染め・ぼかし染めで染め分け、金糸・銀糸や箔も用います。組み目がアルファベットのXのように斜めに交わるため、縦糸と横糸で作る織物より伸縮性があります。主な製品は帯締めと羽織紐で、全国に出回る多くがこの地で作られています。手組紐の全国生産に占める割合は、約9割とする資料もあります。

技法

高台(たかだい)による手組み

高台は、高級な手組紐に用いられる組台。伊賀は高台による手組紐の全国生産の大半を占めるとされ、帯締めなどの精緻な組紐がこの組台から生み出されている。

丸台(まるだい)

糸を巻いた玉を台の周囲に垂らして組んでいく組台で、組み上がった紐は中央の穴から下へ伸びていく。単純な組み方から複雑な組み方まで対応でき、組匠の里の体験でも使われている。

角台・綾竹台と打ち込み

伝統的な組台には、角台、綾竹台、内記台などもあり、組み方によって使い分ける。角台では丸い紐も平たい紐も組める。組み目を締める「打ち込み」には箆(へら)を用いる。

使用される素材

生糸・絹糸金糸・銀糸金箔・銀箔

制作工程

  1. 1

    糸割り

    必要な量の絹糸を秤で量り分け、作る紐の本数に合わせて準備する。

  2. 2

    染色

    割り分けた糸を指定どおりの色にむらなく染める。デザインに応じて濃淡やぼかしも表現する。

  3. 3

    糸繰り・経尺

    染めたかせ糸を糸繰り機で小枠に巻き取る。さらに経尺枠に巻いて、帯締め1本分に必要な長さと本数をそろえる。

  4. 4

    撚りかけ

    そろえた糸に、「八丁」と呼ばれる撚りかけ車で撚り(ねじれ)をかける。

  5. 5

    組み上げ

    丸台・角台・高台などの組台や機械を使い、文様に合わせて紐を組み上げる。

  6. 6

    仕上げ

    組み上がった紐に房を付け、糸をほぐして整える。蒸気を当てる湯のしで形を整えて完成させる。

主な産地
  • 伊賀市(旧上野市を中心とする伊賀地域)

職人・工房

組紐工房 廣澤徳三郎

明治35年に江戸の組紐技術を習得して伊賀で開業し、伊賀組紐発展のきっかけを作った初代廣澤徳三郎に始まる工房。伊賀市上野西大手町で「元祖伊賀組紐 廣澤德三郎の店」を営み、予約制でくみひも体験も受け付けている。

公式サイト →

松島組紐店

1932年(昭和7年)創業の伊賀市の組紐店で、伊賀街道沿いに店を構える。伊賀くみひもの製造・卸を手がけ、帯締めなどに使う絹糸は常時100色ほどそろえているという。

購入方法

伊賀くみひも 組匠の里
三重県組紐協同組合の施設「伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里」。1階に体験コーナーと展示即売所、2階に資料室がある。入場無料で、月曜(祝日を除く)と年末年始は休館。伊賀鉄道上野市駅から徒歩約6分。購入先を見る →PR
くみひも平井(おかげ横丁)
伊勢市のおかげ横丁にある伊賀組紐の専門店。帯締めのほか、根付やストラップ、キーホルダー、ピアスなど普段使いの小物もそろえる。店内では組紐の実演も行っている。購入先を見る →PR

体験施設

伊賀くみひも 組匠の里 くみひも体験

三重県伊賀市上野丸之内116-2

丸台を使い、絹100%の糸と金糸でキーホルダーやブレスレットを作る。公式サイトでは料金2,000円、所要40分程度。7名までの個人は1階で随時受け付け、団体(46名まで)は事前予約が必要となる。

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組紐工房 廣澤徳三郎

三重県伊賀市上野西大手町3635-1

くみひも体験は要予約。営業は10時から17時までで、休業日は不定休のため、訪問前に電話で確認しておきたい。

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よくある質問

Q. 組紐と織物はどう違うのですか?

A. 織物は縦糸と横糸を直角に交差させて作りますが、組紐は何本もの糸を斜めに交差させて組み上げます。そのため組み目がアルファベットのXのように交わり、織物に比べて伸縮性があるのが特徴です。

Q. 伊賀くみひもは主に何に使われていますか?

A. 主な製品は着物の帯締めと羽織紐です。かつては甲冑や刀の紐が中心でしたが、廃刀令で武具の需要がなくなった後、和装小物へと用途を変えて発展しました。現在はキーホルダーやブレスレット、ストラップなど普段使いの小物も作られています。

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