1 / 2波佐見焼(はさみやき)は、長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)波佐見町で作られている磁器です。1598年(慶長3年)、大村藩主の大村喜前(おおむらよしあき)が朝鮮の陶工を連れ帰り、翌年に登り窯を築いたのが始まりとされます。はじめは陶器を焼いていましたが、磁器の原料が見つかると、白磁に藍色の染付や青磁を中心とする磁器づくりに移りました。江戸時代には庶民向けの「くらわんか碗」や、輸出用の「コンプラ瓶」を大量に作りました。江戸後期には染付磁器の生産量が日本一になったと紹介されています。長く有田焼の名で流通していましたが、2000年代に産地表示が厳しくなったことを機に、波佐見焼として独自のブランドづくりを進めました。現在は普段使いの器や生活雑貨として人気があります。1978年に国の伝統的工芸品に指定されました。
発祥
1598年、豊臣秀吉の朝鮮出兵に加わった大村藩主・大村喜前が、李祐慶(りゆうけい)兄弟ら朝鮮の陶工を連れ帰りました。翌1599年、畑ノ原(はたのはら)・古皿屋・山似田の3か所に登り窯を築き、焼き物づくりが始まったとされます。畑ノ原窯跡には、朝鮮式の連房式登り窯の遺構が今も残っています。
歴史
初めは釉薬をかけた陶器が中心でしたが、町の東南部の三股(みつのまた)で陶石が見つかり、染付と青磁の磁器へ移りました。1690年ごろからは、くらわんか碗など庶民向けの器を大量に作るようになります。幕末ごろには金富良(こんぷら)商社がコンプラ瓶に酒やしょうゆを詰め、出島から海外へ送り出したとされます。1987年には割れにくい給食用の「ワレニッカ食器」も開発されました。
特徴
白く滑らかな磁肌に、呉須(ごす)と呼ばれる顔料で藍色の模様を描く染付が基本です。江戸時代から、手ごろな値段で毎日使える器を作り続けてきたことが持ち味とされます。成形や絵付け、焼成などを専門の職人や会社が分担する分業制が、量産を支えてきました。現在は北欧風やモダンなデザインの器も多く、雑貨店などでも広く扱われています。
技法
くらわんか碗
江戸時代、大坂の淀川で舟から飲食物を売った「くらわんか舟」で使われた器とされます。厚手で高台(器の底の台)がしっかりしており、揺れる船の上でも使いやすい形です。波佐見で作られたものが多かったと紹介されています。
コンプラ瓶
酒やしょうゆを詰めて海外へ輸出された白磁の瓶です。表面には呉須で「JAPANSCH ZOYA(日本のしょうゆ)」「JAPANSCH ZAKY(日本の酒)」とオランダ語で書かれています。名前は仲買人を意味する「コンプラドール」に由来するとされます。
巨大な登り窯
波佐見には、斜面に焼成室を連ねた巨大な登り窯がありました。大新登窯(おおしんのぼりがま)跡は全長約170mで39室を持ち、世界最大級とされます。1640年築造の中尾上登窯跡(約160m・33室)は、約300年使われたと紹介されています。
使用される素材
制作工程
- 1
坏土づくり
天草陶石を砕き、水に溶かして細かい粒子だけを取り出す水簸(すいひ)を行います。これをよく練って、坏土(はいど)と呼ばれる磁器の土を作ります。
- 2
成形
機械ろくろや手ろくろ、ローラーマシン、石膏型に泥を流し込む鋳込み(いこみ)などで形を作ります。型を使うことが多いのが特徴です。
- 3
素焼き・下絵付け
800〜950度で素焼きした後、呉須で模様を描きます。筆で描くほか、印刷による絵付けも行われています。
- 4
施釉・本焼成
釉薬をかけ、約1,300度の高温で本焼きします。これで白く硬い磁器に焼き上がります。
- 5
上絵付け・検品
色絵を加える場合は、本焼きの後に上絵具で描き、750〜850度で焼き付けます。最後に検品をして仕上げます。
| 主な産地 |
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|---|
職人・工房
西海陶器
1946年に児玉薫さんがリヤカー1台で陶磁器の行商を始めたのが起こりで、11年後に焼き物の総合商社を設立したと紹介されています。2005年には旧製陶所の跡地を取得し、店やカフェが集まる「西の原」として再生させました。
公式サイト →マルヒロ
1957年に露天商として波佐見焼の販売を始めた産地問屋です。「HASAMI」「BARBAR」「ものはら」などのブランドを展開しています。ものはらには「くらわんかコレクション」という器のシリーズもあります。本社は波佐見町湯無田郷にあります。
公式サイト →白山陶器
安永8年(1779年)創業とされる窯元です。デザイナーの森正洋が手がけた「G型しょうゆさし」は、1960年にグッドデザイン賞を受けた代表作として知られます。波佐見町湯無田郷に本社ショールームがあります。
公式サイト →購入方法
- 西の原
- 旧福幸製陶所の約1,500坪の敷地を生かしたエリアです。カフェやギャラリーのほか、複数の波佐見焼ブランドを扱う「南創庫」などが並び、器選びと散策を一緒に楽しめると紹介されています。購入先を見る →PR
- 陶郷 中尾山
- 山あいに窯元が集まる集落で、16の窯元があると紹介されています。中尾山交流館では、中尾山の資料や各窯元のオリジナル作品を展示しています。窯元を巡りながら器を探せます。購入先を見る →PR
体験施設
波佐見町陶芸の館(観光交流センター)・くらわん館
長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2255-2
1階のくらわん館で町内の窯元や商社の器を販売し、2階は波佐見焼の歴史を伝える資料館です。絵付けは湯呑1,100円から、ろくろは4,400円、タタラ型打ちは3,300円と紹介されています(税込、1週間前までに要予約)。料金は変わることがあります。
詳細を見る →中尾山伝習館
長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷
波佐見陶磁器工業協同組合の案内では、土から作るお茶碗やお皿の手びねりが5,000円(送料別・要予約)、転写や和紙染めの絵付けが2,000円からと紹介されています。火曜休みです。料金は変わることがあります。
詳細を見る →よくある質問
Q. 波佐見焼と有田焼はどう違うのですか?
A. 隣り合う産地で、ともに肥前の磁器です。波佐見焼は長く有田焼の名で流通していましたが、産地表示が厳しくなった2000年代以降、波佐見焼として独自のブランドを築いてきたとされます。日用の器を手ごろな価格で作り続けてきた点が特徴です。