
箱根寄木細工は、天然木が持つ色合いや木目の違いをそのまま生かして幾何学模様を組み上げる神奈川県箱根町の伝統的木工技術です。江戸時代後期、箱根の山中でとれる多彩な樹種に着目した畑宿の石川仁兵衛が、色や木目の異なる木片を寄せ合わせて盆や箱を作ったのが始まりとされます。明治時代には静岡方面の寄木技法が加わり、より精緻な幾何学文様が生み出されるようになりました。からくり仕掛けを施した「秘密箱」は、東海道を旅する人々や温泉客の土産物として人気を集め、現在も箱根土産の代表格です。1984年には国の伝統的工芸品に指定され、発祥の地である畑宿を中心に工房や資料館が今も軒を連ねています。
発祥
箱根寄木細工は江戸時代後期、弘化年間(1845〜48年)頃に畑宿の石川仁兵衛が木の種類が豊富な箱根の山の特性に着目し、色や木目の異なる木材を組み合わせて盆や箱を作ったことに始まるとされます。すでに文政3年(1820年)には寄木細工の存在が記録に残っており、安政6年(1859年)の横浜開港を機に販路が広がって産地として発展していきました。
歴史
明治時代には静岡方面から伝わった寄木の技法が加わり、単純な乱寄木や単位文様が主流だった箱根寄木細工に、より複雑で精緻な幾何学模様が生まれました。この頃からくり仕掛けの「秘密箱」も考案され、江戸時代の船箪笥・車箪笥のからくりを応用した仕掛けが、東海道を行き来する旅行客や温泉客の土産物として人気を博しました。1984年には国の伝統的工芸品の指定を受けています。
特徴
多種多様な色の天然木をそのまま生かし、染色を行わずに幾何学模様を組み上げる点が最大の特徴です。薄く削った文様を貼る「ヅク貼り」と、種寄木そのものを削り出す「無垢作り」の2つの技法があり、白色系のアオハダ・ミズキ、黄色系のウルシ・ハゼ、茶色系のエンジュ・サクラなど木材本来の色味を組み合わせ、盆・箱物から秘密箱まで幅広い製品が作られています。
技法
ヅク貼り
色の異なる木片を組み合わせて作った種板を、0.15〜0.25mm程度の薄さにかんなで削り出してシート状にし、箱などの木製品の表面に化粧材として貼り付ける古くからの伝統的な技法。
無垢作り
種寄木そのものをろくろやくり抜きで加工し、模様を保ったまま立体的な形に仕上げる、金指勝悦氏が考案したとされる技法。箱根駅伝の優勝トロフィーなど大胆な立体作品にも用いられる。
使用される素材
制作工程
- 1
種板づくり
伐採後に数年間自然乾燥させた木材を、色や木目の違いで選別しながら組み合わせて接着し、模様のもとになる「種板」を作る。
- 2
種板の加工
ヅク貼りは種板をかんなで薄く削ってシート状にし、無垢作りは種板そのものをろくろやくり抜きで立体に加工する。
- 3
貼り合わせ・成形
削り出したヅクを箱や盆の表面に貼り付ける、または無垢の種寄木を成形して製品の形に仕上げる。
- 4
仕上げ
表面を研磨し、拭き漆などで仕上げて木肌本来の色合いと幾何学模様の美しさを際立たせる。
| 主な産地 |
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職人・工房
本間木工所・本間寄木美術館
美術館に隣接する工房で、伝統工芸士の本間昇氏をはじめ寄木一筋の職人が製作を行う。工房はガラス越しに見学でき、江戸時代から続く箱根寄木細工の技術を今に伝えている。
公式サイト →購入方法
- 本間木工所 寄木オンラインショップ
- 本間木工所・本間寄木美術館の直営店が運営するオンラインショップ。定番の寄木製品からオリジナル・限定商品、寄木・木象嵌の作品まで幅広く扱う。購入先を見る →PR
- 畑宿寄木会館
- 寄木細工発祥の地・畑宿にある展示販売施設。職人による製作実演の見学ができるほか、秘密箱などの土産物を購入できる。購入先を見る →PR