房州うちわ

Boshu Uchiwa

房州うちわ 1

画像: Wikimedia Commons

房州うちわは千葉県館山市・南房総市(房州地方)で作られる伝統的なうちわで、京都の京うちわ、香川の丸亀うちわと並び「日本三大うちわ」の一つに数えられます。平成15年(2003年)には千葉県で初めて国の伝統的工芸品に指定されました。房州の温暖な気候で育つ女竹(めだけ)は、節と節の間が広く軽くしなやかで、うちわの骨に最適な材料とされています。竹の丸みをそのまま柄として活かす「丸柄(まるえ)」が最大の特徴で、他産地のうちわには見られない持ちやすさとしなやかな風を生み出します。1本の竹を40〜64等分に細かく割いて糸で編み上げ、扇形の「窓」を作る工程をはじめ、全21工程がすべて職人の手作業によって行われています。大正末期から昭和初期には年間700〜800万本もの房州うちわが作られる一大産地となりましたが、生活様式の変化とともに生産量は減少し、現在は数少ない職人が伝統を守り続けています。

発祥

房州でのうちわ作りは、明治23年(1890年)頃、那古(現・館山市)に住んでいた忍足信太郎が、割いた竹を内職として加工したことに始まるとされています。当初は骨材料としての竹加工が中心でしたが、大正10年(1921年)頃からは、骨作りから貼り・仕上げまでを房州で一貫して行う「房州うちわ」として生産されるようになりました。温暖な気候で育つ良質な女竹が豊富に採れたことが、房州がうちわの一大産地に発展した背景にあります。

歴史

大正末期から昭和初期にかけて房州うちわの生産は最盛期を迎え、年間700〜800万本が作られる一大産業となりました。戦後も日用品として親しまれましたが、プラスチック製うちわや扇風機・エアコンの普及により需要は徐々に減少していきました。平成15年(2003年)、京うちわ・丸亀うちわに続き、房州うちわが千葉県で初めて国の伝統的工芸品に指定され、地域を挙げた継承の取り組みが本格化しました。現在はうやま工房やうちわ工房よこなど、数少ない職人・工房が製法を受け継いでいます。

特徴

房州うちわ最大の特徴は、女竹の丸みをそのまま柄として使う「丸柄(まるえ)」にあります。他産地の平柄うちわにはない握りやすさと、しなるような柔らかい風を生み出します。1本の竹を40〜64等分に細く割いて骨とし、糸で編んで扇形の「窓」に仕上げる工程をはじめ、竹選びから貼り、仕上げまでの全21工程をすべて手作業で行う点も特筆されます。骨に和紙や布を貼り、縁を彩る色和紙で仕上げる工程は、房州うちわ独特の意匠を生み出しています。

使用される素材

女竹(めだけ)和紙糸

制作工程

  1. 1

    割竹

    良質な女竹を太さ1.5センチ前後のまま、40〜64等分に細く均等に割いていく。

  2. 2

    編み(窓作り)

    割いた竹ひごを糸で編み上げ、扇形に整えて「窓」と呼ばれるうちわの骨格を作る。

  3. 3

    貼り・断裁

    骨組みに和紙や布を貼り付けたのち、うちわの形に沿って余分な部分を断裁する。

  4. 4

    縁取り

    縁に色和紙を回し貼りして仕上げ、房州うちわ特有の意匠を完成させる。

主な産地
  • 千葉県館山市
  • 千葉県南房総市

職人・工房

うやま工房

南房総市で活動していた房州うちわの工房。創業者・宇山正男は60歳で工房を興し、2017年に亡くなるまでの27年間、生涯現役でうちわ作りに向き合った。現在はその技術を娘のまゆみが受け継いでいる。

公式サイト →

うちわ工房よこ

南房総市千倉町を拠点に房州うちわの製作・販売を行う工房。地域の伝統工芸を伝えるため、体験教室の開催や学校・企業向けの出張体験にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト →

購入方法

房州堂
房州うちわ振興協議会の賛助会員として房州うちわを製作・販売する。実店舗は持たず、公式オンラインショップでの通信販売と、南房総市・館山市の提携店舗での取り扱いにより商品を届けている。購入先を見る →PR

体験施設

うちわ工房よこ

千葉県南房総市千倉町

南房総市千倉町周辺で体験教室を開催(要予約、電話090-4715-6060)。学校や企業向けの出張体験にも対応しており、房州うちわの歴史や製法を学びながら制作を体験できる。

詳細を見る →

うやま工房

千葉県南房総市

電話予約制で1名から体験可能(電話0470-36-2130)。房州うちわ全21工程のうち、竹骨に和紙や布を貼り仕上げる16〜18番目の工程を体験できる。

詳細を見る →
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