吉野本葛は、奈良県南部の吉野地方で作られる、くず粉の中でも特に高級とされる伝統食材です。マメ科のつる植物クズの根からでんぷんを取り出し、寒い時期に冷たい井戸水で何度もさらして精製する「吉野晒し」と呼ばれる製法で仕上げられます。原料となる葛根は山に分け入って掘り出す重労働から得られる貴重なものであり、精製から乾燥までに数か月をかける手間のかかる製法が、他の産地の葛粉にはない純白さとなめらかな口どけを生み出しています。吉野本葛はくず湯やくず餅、くずきりといった和菓子だけでなく、料理のとろみ付けなど幅広い用途に使われ、江戸時代から続く老舗の製造元によって今も伝統の技法が守られています。奈良県宇陀市に本店を構える黒川本家はその代表的な存在で、元和元年(1615年)の創業以来、400年以上にわたり同じ製法を守り続け、宮内庁への納入実績も持つ老舗として知られています。
発祥
吉野本葛は、奈良県南部の吉野地方一帯で作られてきたくず粉の総称です。マメ科のつる植物クズの根に含まれるでんぷんを取り出して精製したもので、吉野地方の冷涼な気候と豊富できれいな水が、良質な葛粉づくりに適していたことから、この地の特産品として発展しました。
歴史
山に分け入って葛根を掘り出す「山方」と呼ばれる採取者の手により原料が集められ、江戸時代から続く製法が今日まで受け継がれています。奈良県宇陀市の黒川本家は元和元年(1615年)の創業と伝わり、明治期以降は宮内庁への納入も担うなど、吉野本葛の伝統を代表する老舗として知られています。
特徴
冬の寒い時期に冷たい井戸水で葛のでんぷんを繰り返しさらす「吉野晒し」という製法により、不純物を取り除いた純白の葛粉に仕上げます。精製から自然乾燥までに数か月を要する手間のかかる工程が、なめらかな口どけと澄んだ透明感を生み出し、くず湯やくず餅、くずきりなど和菓子の材料として重宝されています。
有名店
よくある質問
Q. 吉野本葛と一般的な「くず粉」は違うものですか?
A. 市販の「くず粉」の多くは、コストの安いさつまいもなどのでんぷんを混ぜた製品です。吉野本葛は葛根のでんぷんのみを原料とし、吉野晒しの製法で精製した純度の高いものを指し、伝統的な製法を守る産地限定の高級品として区別されています。