山口外郎

Yamaguchi Uiro (Bracken Starch and Sweet Bean Cake)

山口外郎 1

画像: Wikimedia Commons

山口外郎(やまぐちういろう)は、山口市を中心に作られている蒸し菓子です。わらびの根から取ったでんぷん「わらび粉」に、小豆餡や小麦粉、砂糖を練り合わせて蒸し上げます。米粉を使う名古屋などのういろうに比べて、ぷるぷるとした弾力となめらかな口どけがあり、わらびもちに近い食感です。農林水産省の「うちの郷土料理」では、地元で「おっとり」と表現されるなめらかさが紹介されています。起源は室町時代にさかのぼるとされ、大内氏のもとで「西の京」と呼ばれた山口の町に伝わってきました。江戸時代から大内御堀(おおうちみほり)で営まれた外郎屋「福田屋」の味は、御堀堂や豆子郎といった現在の店に受け継がれたとされています。お茶請けのほか、土産物や贈答品、引き出物としても親しまれ、県内の新幹線駅の売店でも買うことができます。

発祥

「外郎」の名は、元(げん)の官職「員外郎」に就いていた陳順祖が来日し、その子孫が陳外郎を名乗ったことに由来するといわれます。外郎家が調合した薬が「外郎」と呼ばれ、のちに菓子の名にもなりました。御堀堂は、大内文化の揺籃期に大内御堀の福田屋で「白外郎」が作られたと伝えています。わらび粉を使う理由には、米が貴重だった時代に良質なわらび粉が多く作られていた山口で代わりに使われたなど、諸説あります。

歴史

確認できる最古の記録は、1654年(承応3年)に萩藩が幕府の国目付をもてなした饗応料理で、「間の御菓子」として外郎が出されました。この記録には食材として「わらびのせん(でんぷん)」も見えます。江戸時代の外郎は大内御堀の福田屋で作られ、萩藩で重用されました。昭和初期にも「山口の外郎」といえば福田屋のものでしたが、のちに廃業し、その製法は1927年(昭和2年)創業の御堀堂などに受け継がれたとされます。

特徴

わらび粉に小豆餡や小麦粉、砂糖などを練り合わせ、型に流してせいろで蒸し上げます。生地はつややかで透明感があり、ぷるぷるとした弾力と、とろりとした口どけが特徴です。冷蔵庫で急に冷やすと硬くなるため、常温で冷ますのがよいとされます。蒸したてを紙で包んだだけの「生外郎」は日持ちが2〜3日と短く、通信販売をしない店もあるため、山口で味わいたい品とされています。

主な食材

わらび粉小豆餡(こしあん)小麦粉砂糖抹茶・黒糖・栗など(店や商品による)

食文化

普段のお茶請けとして食べられるほか、土産物や贈り物、結婚式の引き出物にも使われてきました。山口出身の詩人・中原中也は、帰郷のたびに外郎を東京への土産にしたと伝えられます。郷土の味として学校給食に出されることもあり、春は桜、秋は栗など、季節限定の外郎を出す店もあります。

有名店

御堀堂 本店

山口県山口市駅通り1-5-10

1927年(昭和2年)創業の外郎店で、福田屋の製法を受け継ぐ老舗とされます。わらび粉と自家製の餡で作る白外郎・黒外郎・抹茶外郎の3種類があり、蒸したてをトラ紙に包んだ生外郎も扱います。公式通販では小形5個入が750円(税込)程度からです。

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豆子郎 総本店 茶藏唵(さくらあん)

山口県山口市大内御堀一丁目1番3号

豆子郎(とうしろう)は、戦後に田原美介が山口外郎をもとに考案した菓子です。菓子職人ではない「しろうと」が作ったことと、外郎から生まれた「子」であることが名の由来とされます。本店には日本庭園「大内四季庭」を眺める茶房があり、蒸したての生絹(すずし)豆子郎は店頭での受け渡しのみです。

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本多屋 本店「懐古庵」

山口県山口市駅通り1丁目4番5号

1917年(大正6年)に山口駅前の食料品・雑貨店として始まり、のちに外郎の製造販売を手がけた店です。通年品は豆外郎・こしあん・抹茶の3種類で、春の桜や秋の栗などの季節限定品もあります。ういろう作り体験(3名から、要予約)は1人1,500円程度からです。

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御堀堂の外郎(真空パック)御堀堂の外郎を、日持ちするよう真空パックにした商品である。白・黒・抹茶の3種類があり、公式通販では小形5個入が750円(税込)程度、棒状の3本入が890円程度で案内されている。賞味期限は約1週間で、新山口駅や山口宇部空港の直営店でも買える。購入先を見る →PR
簾子豆子郎(れんじとうしろう)豆を散らして蒸し上げた豆子郎を、創業者が考案した加熱殺菌できる密封包装で日持ちさせた商品である。小豆と抹茶の2種類があり、電子レンジや湯煎で温めると蒸したてに近い食感になるとされる。公式オンラインショップでは8袋16本入が3,320円(税込)程度である。購入先を見る →PR

よくある質問

Q. 名古屋のういろうとの違いは何ですか?

A. 名古屋のういろうは米粉に砂糖などを加えて蒸すのに対し、山口外郎はわらび粉を主な原料とし、小豆餡を練り込みます。そのため名古屋のものはもっちりと重めの食感、山口のものはぷるぷるとした弾力となめらかな口どけになります。名前はどちらも外郎家に由来するといわれます。

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