酒盗(しゅとう)は、カツオの内臓を塩漬けにして発酵・熟成させた高知県の珍味です。主に胃や腸などを使い、よく洗ってから塩に漬け、半年から1年以上かけて熟成させます。強い塩気と、発酵による濃いうまみが特徴です。名前は「酒を盗んででも飲みたくなるほどうまい」ことに由来するとされ、土佐藩12代藩主の山内豊資(やまうちとよすけ)が名付けたという話が伝わります。カツオ節の製法が改良された延宝年間(1673〜1681年)ごろに作られ始めたと推定され、少なくとも300年以上の歴史があるとされます。酒のつまみやご飯のお供として親しまれてきたほか、クリームチーズと合わせたり、パスタや炒め物の隠し味にしたりと、使い道が広がっています。近年は、酒やみりんなどで塩気をやわらげた「甘口」の商品も作られています。
発祥
酒盗の始まりは、カツオ節づくりと深く関わっています。農林水産省の資料によると、カツオ節の製法が改良された延宝年間(1673〜1681年)ごろに作られ始めたと推定され、少なくとも300年以上食べられてきたとされます。カツオを加工する際に取り除かれる内臓を、塩漬けにして無駄なく食べる工夫から生まれた保存食です。
歴史
名前の由来として、江戸時代後期の土佐藩12代藩主・山内豊資の話が知られています。豊資が土佐清水の宿で酒盗を肴に飲んだところ酒が進み、「酒を盗みたくなるほどうまい」とたたえて名付けたというものです。一方、1712年(正徳2年)の『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』にはすでに「酒盗」の名が見え、阿波産のものが名高いと記されています。豊資の命名は伝承として受け止めるのがよさそうです。
特徴
一般的な塩辛が10〜20日ほどで仕上がるのに対し、酒盗は10〜13か月ほどかけて熟成させるとされます。塩分が高く保存性に優れ、未開封なら製造日から1年間保存できる商品もあります。伝統的にはカツオを使いますが、マグロやマダイなど他の魚で作るメーカーもあります。カツオの産地である静岡県や鹿児島県でも作られています。
主な食材
食文化
高知にはカツオを余すことなく食べる文化があり、身はたたきや刺身に、ハラミは塩焼きに、心臓はいりつけや塩焼きに、腸は酒盗にします。酒盗は酒の肴として親しまれ、料理店でも一品料理として出されます。農林水産省は、クリームチーズとの組み合わせが特に合うと紹介しています。
有名店
| 福辰の酒盗 | 高知の酒盗の銘柄で、昔ながらの製法で味付けを抑えた辛口と、地酒やみりん、はちみつを合わせた甘口があります。甘口は塩分を控え、約10か月かけて熟成させると紹介されています。高知の酒販店の通販では、甘口120gが990円、70g入りの3点詰め合わせが2,420円です。価格は変わることがあります。購入先を見る →PR |
|---|---|
| 土佐まなべ商店のハランボ酒盗 | 高知市の土佐まなべ商店は、カツオ1本から1枚しか取れない生の腹身(ハランボ)を加え、塩糀・純米酒・酒粕で味付けした酒盗を作っています。酒盗を調味料に仕立てた「鰹旨味発酵塩」もあり、高知市のふるさと納税の返礼品として扱われています。購入先を見る →PR |
よくある質問
Q. 「酒盗」という名前は、誰が付けたのですか?
A. 土佐藩12代藩主の山内豊資が、土佐清水で酒盗を肴に酒を飲み、「酒を盗んででも飲みたくなる」と名付けたという話が広く伝わっています。ただし、豊資の時代より前の1712年の『和漢三才図会』に、すでに「酒盗」の名が記されています。命名者ははっきりしていません。
Q. 酒盗と一般的な塩辛は、何が違うのですか?
A. 酒盗はカツオの内臓だけで作る塩辛です。農林水産省の資料では、一般的な塩辛が10〜20日ほどで仕上がるのに対し、酒盗は10〜13か月と長く熟成させる点が違いとされています。長い熟成によって、強い塩気と濃いうまみが生まれます。