とうじそば

Toji Soba

とうじそば 1

とうじそばは、長野県松本市奈川(旧奈川村)に伝わるそばの郷土料理で、「投汁そば」とも書きます。鍋で煮立てたつゆに、竹で編んだ小さな「とうじかご」に入れた一口分のそばをくぐらせ、温めて食べます。つゆには旬の野菜や山菜、きのこ、鶏肉などを入れ、そばと一緒にお椀に取り分けます。奈川は、松本から飛騨へ向かう野麦街道沿いの、標高約1,200mの山あいの地域です。昼夜の寒暖差が大きくそばの栽培に向いており、昔は米よりもそばが主食だったと伝わります。囲炉裏に吊るした鉄鍋を家族で囲んで食べた料理で、冠婚葬祭などハレの日のもてなしにも欠かせませんでした。奈川を中心に、木曽地方の一部でも食べられています。

発祥

とうじそばは、奈川を中心とする野麦街道沿いの山間地で生まれた料理です。温かいつゆにそばをひたして食べる、寒い地域ならではの食べ方とされます。名前の由来には、そばをつゆに浸ける「湯じ」から来たという説と、つゆに「投じる」ことから来たという説があります。「投汁」の字は、後者の説に通じる表記です。

歴史

奈川は松本市の西部、乗鞍高原の北側にある標高の高い地域で、古くからそばが主要な作物でした。収穫したそばを石臼で挽き、打ちたてを食べる暮らしが続いてきました。かつては囲炉裏に吊るした鉄鍋につゆを張り、家族で囲んでそばをくぐらせて食べました。冠婚葬祭など、人が集まる席でも振る舞われたと伝わります。奈川村は2005年(平成17年)に松本市へ編入され、地区の名物として今も受け継がれています。

特徴

鉄鍋に入れたつゆに、山菜やきのこ、季節の青菜、鴨肉や鶏肉などを加えて煮立てます。そばは小分けに盛り、竹製の「とうじかご」に一人分ずつ取ってつゆにくぐらせます。軽くほぐしたら、つゆや具と一緒にお椀に移して食べます。つゆは甘めのしょうゆ仕立てが多く、食べ終えた後のつゆでおじやを作るのも楽しみの一つです。

主な食材

そば(奈川産のそば粉など)しょうゆ仕立てのつゆ山菜・きのこ・季節の青菜鶏肉または鴨肉薬味(ねぎなど)

食文化

とうじかごでそばを温めるひと手間が、食卓に楽しさを添える料理です。鍋を囲んで同じつゆを分け合う食べ方は、家族や客人とのだんらんの場を生みました。10月2日は「とう(10)じ(2)」の語呂合わせと新そばの時期にちなみ、「奈川・投汁そばの日」とされています。

家庭料理との違い

家庭では囲炉裏や鍋を囲んで大勢で食べるのが一般的でした。奈川の店では、地元産のそば粉で打った手打ちそばと、一人ずつのとうじかごを用意しています。1人前から注文できる店や、2人前からの店があり、締めのおじやを勧める店もあります。

有名店

手打ちそば 福伝

長野県松本市奈川古宿4233

長野県産のそば粉を使い、粉挽きからゆで方までこだわる奈川の手打ちそば店です。県の「信州そば切りの店」の第1号認定店とされます。とうじそばは1人前1,400円程度〜で、締めのおじやもおすすめしています。

そばの里 奈川

長野県松本市奈川1173-14

奈川で採れたそば粉のみを使う手打ちそば店で、とうじそばを一年を通して味わえます。山菜などを使った天ぷらや小鉢も出しています。とうじそばは2人前から注文でき、2,500円程度〜です。

よくある質問

Q. 「とうじそば」と「投汁そば」は同じ料理ですか?

A. 同じ料理です。「とうじ」の語源には、そばをつゆに浸ける「湯じ」とする説と、つゆに「投じる」とする説があります。奈川では「投汁そば」の表記も使われ、ひらがなで「とうじそば」と書くことも多くあります。

Q. とうじそばはどのように食べればよいですか?

A. 小分けにしたそばを一口分ずつとうじかごに入れ、煮立ったつゆに数秒くぐらせます。温まったらかごからお椀に移し、つゆや具と一緒に食べます。くぐらせる時間はお好みで調整できます。

Q. 奈川以外でもとうじそばは食べられますか?

A. とうじそばは奈川を中心に、木曽地方の一部でも食べられています。木曽町の開田高原にある「そば処 信州霧しな」では、冬の時期に郷土料理としてとうじそばを出しています。訪れる前に提供時期を確認すると安心です。

#長野グルメ#そば#鍋料理#松本市奈川#野麦街道