但馬の松葉ガニ

Tajima Matsuba Gani (Snow Crab of Tajima)

但馬の松葉ガニ 1

画像: Wikimedia Commons

松葉ガニ(まつばがに)は、山陰地方でズワイガニの雄を呼ぶ名前です。兵庫県北部の但馬(たじま)地域では、新温泉町、香美町(かみちょう)、豊岡市の漁港で水揚げされ、冬を代表する味覚になっています。県の北西端にある浜坂漁港をはじめ5つの漁港に揚がり、全国有数の水揚げ量を誇ります。漁港ごとにブランドがあり、「津居山かに」「柴山がに」「香住港まつばがに」「浜坂産松葉がに」として脚にタグを付けて出荷されます。漁は毎年11月6日に解禁され、雄の松葉ガニは翌年3月20日まで、雌のセコガニは資源を守るため12月末までしかとれません。塩ゆでにして二杯酢で食べるほか、炊き込みご飯や雑炊、味噌汁などにも使われます。なお、香住漁港は紅ズワイガニ(ベニズワイガニ)の県内唯一の水揚げ地でもあり、こちらは「香住ガニ」と呼ばれ、松葉ガニとは別のカニです。

発祥

農林水産省によると、ズワイガニは山陰で「松葉ガニ」、北陸で「越前ガニ」と呼ばれます。「松葉ガニ」の名の由来には2つの説があります。ゆでるときに燃料として松の葉を使ったからという説と、身を水に浸すと松葉のように広がるからという説です。但馬では、新温泉町、香美町、豊岡市の沿岸が主な産地です。漁港の沖合には好漁場があり、豊岡市の津居山港からは漁船で2時間半ほどで漁場に着きます。

歴史

但馬の松葉ガニの漁獲量は、昭和40年(1965年)ごろが最盛期でした。その後、漁船の大型化や漁法の発達でとりすぎが進み、昭和40年代後半から激減しました。現在は漁期を限るなど資源を守りながら漁が続けられています。漁港ごとにブランドを育てる一方、20団体でつくる「但馬産松葉ガニ普及推進協議会」が、統一ロゴマークを作って神戸や大阪で宣伝しています。

特徴

ブランドの証しとして、脚に漁港ごとのタグが付けられます。津居山かにには青色のタグ、柴山がにはピンク色のタグが使われます。香美町の柴山港では、カニを100以上のランクに細かく選別しています。最上級の「柴山ゴールド」や、浜坂の「光輝」のような特別なブランドもあります。2022年の初競りでは、柴山ゴールド1匹が過去最高の315万8千円で落札されました。

主な食材

松葉ガニ(ズワイガニの雄)セコガニ(ズワイガニの雌)塩二杯酢(酢・醤油)

食文化

松葉ガニ漁の解禁中は、関西方面などからカニ料理付きのツアー列車が走り、但馬の温泉地や漁港の宿がカニを目当ての客でにぎわいます。豊岡市の津居山港では、漁期中の11月に「とよおか津居山港かにまつり」が開かれています。

有名店

おけしょう鮮魚の海中苑

兵庫県豊岡市城崎町湯島132

津居山港の仲買人が営む直営店です。1階ではカニや鮮魚を売り、2階の食事処では手軽なカニ料理からカニのフルコースまで味わえます。カニのフルコースは1人13,500円程度からで、注文は2人前からです。城崎温泉の温泉街にあります。

遊魚館

兵庫県美方郡香美町香住区若松748

香住漁港に隣接する、但馬漁協直営の海鮮市場です。香住ガニなどの鮮魚や加工品が並びます。香住ガニを使った魚醤入りのソフトクリームや、カニのジェラートといった珍しい甘味もあります。JR香住駅から歩いて15分ほどです。

旅館 割烹 荒岩

兵庫県美方郡新温泉町浜坂263

JR山陰本線の浜坂駅から歩いて5分ほどの割烹旅館です。浜坂港に揚がるタグ付きの松葉ガニを名物とし、冬はカニ料理を目当ての客が訪れます。浜坂は全国屈指の松葉ガニの水揚げ量を誇る港町です。

よくある質問

Q. 松葉ガニと越前がには、違うカニですか?

A. どちらもズワイガニの雄で、呼び名が地域によって違います。山陰地方では松葉ガニ、北陸の福井県では越前がにと呼びます。さらに、水揚げされた漁港ごとにタグを付け、津居山かにや柴山がになどの名前でブランド化しています。

Q. 香住ガニと松葉ガニの違いは何ですか?

A. 香住ガニは、香住漁港に揚がる紅ズワイガニのブランド名で、ズワイガニの松葉ガニとは別の種類です。水深800〜1,500mほどの深海でかご漁でとられ、甘くみずみずしい身が特徴です。漁期は9月から翌年5月ごろまでで、松葉ガニより長く味わえます。

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