1 / 2鯛めし(たいめし)は、愛媛県を代表する郷土料理で、大きく分けて2つのタイプがあります。一つは、鯛を丸ごと米と一緒に炊き込み、炊き上がってから身をほぐしてご飯に混ぜる炊き込み式です。松山市北条(ほうじょう)地区や今治市など、中予・東予で親しまれてきました。もう一つは、生の鯛の刺身を、醤油やみりん、生卵、ごま、だし汁を合わせたたれと混ぜ、たれごと熱いご飯にかける南予の食べ方です。前者は「北条鯛めし」、後者は「宇和島鯛めし」と呼ばれ、2021年度(令和3年度)にはどちらも文化庁の「100年フード」に認定されました。愛媛県はマダイ養殖が盛んで、県の水産統計では養殖生産量が30年以上続けて全国1位とされています。鯛は縁起のよい魚として祝いの席にも並び、現在は県内の多くの店で両方の鯛めしを味わえます。
発祥
北条鯛めしには、神功皇后(じんぐうこうごう)が北条沖の鹿島(かしま)に船を寄せた際の言い伝えがあります。風早(かざはや)浦の漁師が鯛を献上し、鯛をのせて炊いた飯を差し上げたというものです。宇和島鯛めしは、日振島(ひぶりじま)を拠点とした伊予水軍の船上の食事が始まりとされます。刺身と茶碗酒の酒盛りをした後、残った酒の茶碗にご飯をよそい、醤油を含ませた刺身をのせて食べたといわれます。
歴史
農林水産省の資料では、南予の漁師が九州の日向灘(ひゅうがなだ)まで漁に出た際、火を使えない船の上でも作れる料理として食べたのが宇和島鯛めしの始まりともいわれます。当時はよくとれるアジを使うことが多く、華やかな鯛を使ったものを特に「鯛めし」と呼ぶようになったとされます。中予では長く炊き込み式が主流でしたが、現在は両方の鯛めしを出す店があり、家庭でも両方が楽しまれています。
特徴
炊き込み式は、うろこと内臓を除いた鯛を昆布とともに米にのせ、薄口醤油や酒、塩で味をつけて炊きます。北条鯛めしは、ごぼうや人参、油揚げなどを入れず、鯛とだし昆布だけで作るのが特徴とされます。宇和島鯛めしは、薄くそぎ切りにした真鯛の身をたれと混ぜ、刺身ごと熱いご飯にかけて食べます。生の鯛を使う鯛めしは、全国でも宇和島ならではの食べ方と紹介されています。
主な食材
食文化
鯛は縁起のよい魚とされ、愛媛では鯛めしが一年を通して食べられるほか、祝いの席でもよく出されます。農林水産省の資料では、混ぜご飯なので魚が苦手な子どもにも食べやすいと紹介されています。駅弁や「鯛めしの素」などの加工品も販売されています。
有名店
かどや 本店
愛媛県宇和島市鶴島町1-23
1955年(昭和30年)5月に宇和島駅前の小さな食堂として開業した「かどや」の本店で、2024年8月に移転オープンしました。宇和島鯛めしやじゃこ天など、宇和島の郷土料理を出しています。JR宇和島駅から歩いて3分ほどで、松山市や東京都内にも店舗があります。
詳細を見る →郷土料理 大衆割烹 ほづみ亭
愛媛県宇和島市新町2-3-8
JR宇和島駅から歩いて5分ほどの郷土料理店です。宇和島鯛めしは、鯛の刺身が甘めのたれに浸った状態で出てくると紹介されています。旅行ガイドでは宇和島鯛めしが1,600円とされていますが、価格は変わることがあります。焼いた鯛と麦みそで作る「さつま」も味わえます。
郷土料理 五志喜 本店
愛媛県松山市三番町3-5-4
1635年(寛永12年)の創業と伝わる松山市の郷土料理店です。鯛を炊き込んだ松山(北条)鯛めしと、刺身をのせる宇和島鯛めしの両方を用意しており、食べ比べができると紹介されています。五色そうめんを使った鯛そうめんも名物です。
太田屋 北条店
愛媛県松山市北条774
中予の鯛めしの元祖として知られる、江戸時代から続く老舗旅館とされます。鯛めし定食は1,890円、鯛を丸ごと炊く「姿炊き」は4人前6,000円前後からで予約制と紹介されています。北条港から船で渡る鹿島には、季節営業の鹿島店もあります。
よくある質問
Q. 「北条鯛めし」と「宇和島鯛めし」は、どう違うのですか?
A. 北条鯛めしは、鯛を丸ごと米と一緒に炊き込み、身をほぐしてご飯に混ぜる炊き込みご飯です。宇和島鯛めしは、生の鯛の刺身を卵入りのたれと混ぜ、たれごと熱いご飯にかけて食べます。鯛に火を通すか、生のまま食べるかが大きな違いです。
Q. 宇和島鯛めしに似た料理はありますか?
A. 宇和島市津島町には、明治時代から食べられている「六宝(ろっぽう)」があります。旬の魚を酒、醤油、みりん、砂糖、ごま、生卵の6種のたれに漬け、ご飯にかけて食べる料理で、「宇和島鯛めしの元祖」ともいわれます。2021年度に文化庁の100年フードに認定されました。