すんき漬け

Sunki-zuke (Salt-Free Fermented Turnip Greens)

すんき漬け 1

すんき漬けは、長野県の木曽地域に伝わる、赤かぶの茎や葉を塩を一切使わずに乳酸発酵させた漬物です。地元では単に「すんき」とも呼ばれます。発祥は御嶽山のふもとの王滝村や木曽町開田高原とされ、少なくとも300年以上前から作られてきました。海から遠い山あいで塩が貴重だったため、発酵で生まれる酸の力で冬の野菜を保存する知恵として育まれたと考えられています。前年のすんきを「種」にして漬けるのが特徴で、複数の植物性乳酸菌が働きます。仕上がりはべっこう色で、さわやかな酸味があります。無塩の乳酸発酵食品は国内外でも珍しく、2017年(平成29年)には国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。温かいそばにのせる「すんきそば」は、冬の木曽の味として親しまれています。

発祥

すんきの発祥は、御嶽山のふもとの標高が高い王滝村や木曽町開田高原とされます。寒さが厳しい土地は、原料の赤かぶの栽培に向いていました。一方で、海から遠い山間部では塩がとても貴重でした。そこで冬の野菜を塩漬けにせず、乳酸発酵で生まれる酸を利用して保存性を高める製法が発達したと考えられています。原料の王滝かぶや開田かぶにも、300年ほど前の記録が残るとされます。

歴史

江戸時代の元禄年間に詠まれた芭蕉一門の連句にすんきが登場し、少なくとも300年以上前には存在したとされます。1972年(昭和47年)には地元の農業協同組合が販売を始めました。1983年(昭和58年)には「スンキ漬け」として長野県選択無形民俗文化財に選ばれています。2017年(平成29年)5月には「すんき」として国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。

特徴

赤かぶの茎や葉をさっと湯通しし、前年のすんきを干して保存した「すんき干し」などを種として漬け込みます。塩を加えず、植物性乳酸菌の働きだけで発酵させるのが最大の特徴です。仕上がりはべっこう色で、乳酸由来のさわやかな酸味があります。収穫前に2、3回霜に当たった赤かぶは甘みが増すといわれ、すんき作りは初冬に行われます。

主な食材

赤かぶの茎と葉(開田かぶ・王滝かぶなど木曽の在来品種)すんき種(前年のすんきを干した「すんき干し」など)湯

食文化

すんきは削り節としょうゆをかけてそのまま食べるほか、味噌汁に入れた「すんき汁」、温かいそばにのせた「すんきそば」などにして味わいます。最近ではサラダやパスタなど洋風の料理にも使われています。木曽町ではすんきのコンクールが開かれ、冬にはすんきを出す店を巡るフェアも行われています。

家庭料理との違い

家庭では各家の種を受け継ぎ、冬の保存食として漬けてきました。木曽地域のそば店では、冬季限定ですんきそばを出す店が多くあります。店ごとに使うかぶの産地や酸味の加減が異なるため、食べ比べると違いがわかります。開田高原には、すんきととうじそばを組み合わせた料理を出す店もあります。

有名店

くるまや本店

長野県木曽郡木曽町福島5367-2

JR木曽福島駅から歩いて7分ほどの手打ちそば店です。自家製粉のそば粉を使ったそばで知られます。冬季限定のすんきそばは990円程度〜で、品切れ次第閉店となります。

そば處 中西屋

長野県木曽郡木曽町開田高原西野1-39

すんきの発祥地とされる開田高原のそば店です。長野県木曽地域振興局の紹介では、冬季のみのすんきそばを1,200円程度で提供しています。御嶽山を望む高原のドライブの途中に立ち寄れます。

木曽馬の里 おみやげお食事センター 一本木亭

長野県木曽郡木曽町開田高原末川5552-8

在来馬の木曽馬に会える「木曽馬の里」にある食事処です。長野県木曽地域振興局の紹介では、すんき蕎麦を1,390円程度で提供しています。開田高原の観光とあわせて立ち寄りやすい店です。

道の駅 木曽福島木曽町福島4061-1、国道19号沿いの道の駅です。御嶽山を望める場所として知られます。冬の時期には、木曽の特産品として塩を使わないすんきを販売しています。すんきの製造は冬季に限られるため、店頭に並ぶ時期も冬が中心です。

よくある質問

Q. すんきは本当に塩を使わないのですか?

A. はい。すんきは塩を一切使わず、赤かぶの茎や葉を乳酸発酵させて作ります。塩が貴重だった木曽の山間部で、発酵で生まれる酸を使って野菜を保存する知恵として発達しました。無塩の乳酸発酵食品は国内外でも珍しいとされます。

Q. 京都の「すぐき漬け」とは同じものですか?

A. 名前は似ていますが、別の漬物です。すんきは木曽地域の在来の赤かぶを使い、塩を使わずに漬けます。前年のすんきを種にして乳酸菌を受け継ぐ点も特徴で、木曽の気候と結びついた独自の製法とされています。

Q. すんきの「種」とは何ですか?

A. 発酵のきっかけになる乳酸菌の元のことです。前年に漬けたすんきを干して保存した「すんき干し」を水で戻して使うのが代表的です。すんきの漬け汁や、ズミ(バラ科の木)やヤマブドウの実を種にする方法も伝わっています。

Q. すんきはいつ食べられますか?

A. すんきは主に冬に作られるため、出回るのも冬が中心です。木曽地域のそば店では、冬季限定ですんきそばを出す店が多くあります。冬に木曽を訪れたら、ぜひ味わってみてください。

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