しょうゆの実

Shoyu no Mi

しょうゆの実 1

しょうゆの実は、大豆と麦麹を発酵させてつくる山梨県の伝統的な保存食です。かつて山梨の家庭では大豆から醤油を手づくりしており、その際に残った大豆を発酵させたものを「しょうゆの実」と呼んだと伝わります。古くは甲府盆地の峡中(きょうちゅう)地域の伝統食でしたが、現在は南アルプス市の芦安(あしやす)地域でのみ受け継がれています。芦安は南アルプスのふもとにある、傾斜地の多い高冷地です。野菜や米づくりに向かない土地で、寒さに強い大豆が多く栽培されてきました。煮た大豆に麦麹を混ぜて木箱でカビを付け、乾燥させたものを水と酒で戻し、塩で味を調えて仕上げます。ねぎやしらす干しを加え、麦ごはんにのせて食べるのが昔ながらの味わい方です。貴重なたんぱく源として、山あいの冬の食卓を支えてきました。

発祥

しょうゆの実は、家庭で醤油を手づくりしていた時代に生まれた食べ物です。山梨県の紹介によれば、水でふやかした大豆で醤油をつくり、残った大豆を発酵させたものを「しょうゆの実」と呼んでいました。主な伝承地域の芦安は傾斜地が多い高冷地で、野菜や稲作には不向きでした。そのため寒さに強い大豆が多く育てられ、醤油づくりの過程で残った豆も余さず活用して、貴重なたんぱく源としてきました。

歴史

しょうゆの実は、古くは峡中地域の伝統食として作られていました。冬の保存食として重宝され、大豆の収穫が始まる10月ごろから仕込みが始まります。現在、伝承が続いているのは南アルプス市の芦安地域のみです。芦安では今も各家庭で毎年作られているほか、地元の旅館で郷土料理として出されることもあります。地元のテレビなどでも取り上げられ、地域の食文化として紹介されています。

特徴

大豆を一晩水に浸し、納豆ほどの軟らかさになるまで4時間ほど煮ます。熱をとりながら1時間ほど乾かし、細かくした麦麹を混ぜて、ワラを敷いた木箱に詰めます。箱の中を20℃くらいに保つと白いカビが生え、混ぜてはまた保温します。カビが白から黒へと変わり、全体に黒いカビがついたら乾燥させて保存します。食べるときは水と少量の酒で戻して塩で味を調え、1週間ほどで食べごろになります。

主な食材

大豆麦麹酒(戻すときに少量)塩ねぎ・しらす干し(好みで)

食文化

かつては麦ごはんにのせて食べるのが一般的で、山あいの暮らしを支える大切なおかずでした。作り方は家庭ごとに異なり、麹の発酵具合や作り手のさじ加減で、味や香りが微妙に変わります。同じ地域でも家ごとの味があるのが、しょうゆの実の奥深さです。

よくある質問

Q. ほかの地域の「しょうゆの実」と同じものですか?

A. 「しょうゆの実」と呼ばれる発酵食品は山形県などにもあり、醤油の製造工程でできる大豆と小麦に麹を加えて発酵させたものが知られています。芦安のしょうゆの実は、煮た大豆に麦麹を混ぜてカビを付け、一度乾燥させてから戻して食べる点に特徴があります。

Q. どこで食べられますか?

A. しょうゆの実は、主に芦安地域の各家庭で作られている保存食です。地元の旅館で郷土料理として出されることもあるため、芦安温泉などを訪れた際に宿へ尋ねてみるとよいでしょう。仕込みは10月ごろから始まり、冬に食べられてきました。

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