
小豆島醤油(しょうどしましょうゆ)は、香川県の小豆島で造られている醤油です。小豆島は古くから良い塩の産地で、安土桃山時代の文禄年間(1592〜1596年)に、紀州の湯浅(現在の和歌山県湯浅町)から醤油の造り方が伝わったとされます。明治時代の最盛期には、島に約400軒の醤油蔵があったと言われます。今も20軒ほどの蔵が醤油造りを続けています。ほとんどの醤油がステンレスなどのタンクで造られる今も、大きな杉の木桶(きおけ)でもろみをじっくり熟成させる昔ながらの方法を守る蔵が多く残るのが特徴です。島の東部、小豆島町の馬木(うまき)から苗羽(のうま)にかけては醤油蔵や佃煮工場が集まり、「醤の郷(ひしおのさと)」と呼ばれています。醤油の香りがただよう町並みには、国の登録有形文化財に登録された建物も多く残ります。
発祥
小豆島は、昔から良質な塩がとれる島でした。マルキン醤油記念館の解説などでは、文禄年間に紀州の湯浅から醤油の製法が伝わり、その後、醤油造りが盛んになったとされます。豊臣秀吉に献上された醤油も造られていたと言われます。江戸時代には塩が全国的に余るようになり、島の産業が製塩から醤油造りへ移っていったとも説明されています。ただし、伝来の時期を示す確かな記録は確認されておらず、言い伝えとして語られています。
歴史
醤油造りは江戸時代から明治時代にかけて大きく発展し、最盛期には約400軒の蔵があったとされます。1890年(明治23年)の第3回内国勧業博覧会には、島の醤油と素麺の製造者が出品の広告を出しました。1907年(明治40年)には複数の醸造所が集まってマルキン醤油が創業しています。第二次世界大戦後の食料不足の時期には、醤油を使った佃煮(つくだに)造りが始まり、島のもう一つの名産になりました。
特徴
小豆島の特徴は、木桶仕込みの醤油が今も造られていることです。高さ・直径とも約2mの杉の木桶で、もろみを1〜2年かけて熟成させます。桶の板の小さな穴には、蔵ごとの酵母や乳酸菌がすみつくとされます。国内に残る木桶4,500〜4,700本のうち、約1,100本が小豆島にあると紹介されています。できた醤油にもう一度原料を加えて仕込む「再仕込み醤油」を造る蔵もあります。
主な食材
食文化
醤の郷では、醤油蔵の間を歩くと、もろみの香りがただよっています。醤油と一緒に佃煮造りも盛んで、島の名産として親しまれています。醤の郷には国の登録有形文化財が約90件あるとされ、蔵の見学や、醤油を使ったソフトクリームやプリンを楽しめる店もあります。
有名店
マルキン醤油記念館
香川県小豆郡小豆島町苗羽甲1850
大正初期に建てられた醤油工場を改装し、1987年に開館した記念館です。建物は国の登録有形文化財です。醤油造りの道具や歴史を展示し、隣の蔵では木桶仕込みの様子を窓越しに見られます。入館料は大人500円程度と紹介されています。
ヤマロク醤油
香川県小豆郡小豆島町安田甲1607
創業から約150年の醤油蔵で、明治初期に建てられたもろみ蔵は国の登録有形文化財です。予約なしで無料でもろみ蔵を見学できると紹介されています。醤油菌は納豆菌に弱いため、見学の日の朝は納豆を食べないよう案内されています。
| 鶴醤(つるびしお・ヤマロク醤油) | ヤマロク醤油の看板商品で、国産の丸大豆と小麦を使い、木桶で仕込んだ醤油です。一度熟成させた醤油に再び大豆と小麦を加えて仕込む「再仕込み」で、4年ほどかけて造られます。観光ガイドでは、145mlで810円程度と紹介されています。 |
|---|---|
| 桶仕込濃口 純(正金醤油) | 醤の郷の馬木地区にある正金醤油(しょうきんしょうゆ)の、木桶で仕込んだ濃口醤油です。360ml入りで販売されています。同社の諸味蔵(もろみぐら)は近代化産業遺産に認定され、国の登録有形文化財にもなっています。 |
よくある質問
Q. 木桶で造る醤油は、ふつうの醤油とどう違うのですか?
A. 今の醤油の約99%は、ステンレスやFRP(強化プラスチック)、コンクリートなどのタンクで造られています。木桶は板の小さな穴に酵母や乳酸菌がすみつき、蔵ごとに違う風味を生むとされます。木桶を作れる職人が減ったため、ヤマロク醤油の呼びかけで、2012年から新しい桶を作る取り組みが続けられています。
Q. 「醤の郷」はどこにありますか?
A. 小豆島の東部、小豆島町の馬木(うまき)から苗羽(のうま)にかけての地域を指す呼び名です。醤油蔵や佃煮工場が並ぶ「醤油蔵通り」があり、散策路も整えられています。路線バスの「馬木」や「丸金前」の停留所が近くにあります。