
宍道湖のしじみは、島根県の松江市と出雲市にまたがる宍道湖でとれるヤマトシジミです。宍道湖は塩分が海水の10分の1ほどの汽水湖で、周りの川から栄養が流れ込み、えさとなる植物プランクトンが豊富に育ちます。ここでとれるしじみは粒が大きく肉厚で、しじみ汁やすまし汁に欠かせない食材です。家庭の食卓から学校給食、飲食店の定番まで、島根の日常の食を支えてきました。宍道湖でとれる魚介の9割以上をシジミが占め、湖を代表する「宍道湖七珍」の一つにも数えられます。昭和56年(1981年)には漁獲量が日本一となりました。その後は資源の減少に見舞われながらも、漁協による漁獲制限などの資源管理が続けられています。2025年11月には「宍道湖産ヤマトシジミ」「宍道湖しじみ」として、国の地理的表示(GI)に登録されました。
発祥
宍道湖のまわりでは、はるか昔からシジミが食べられてきました。松江市の資料によると、約7000年前の佐太講武(さだこうぶ)貝塚からは、大量のシジミの殻が見つかっています。その後も弥生時代や中世の遺跡、松江の城下町の跡から多くのシジミが出土しています。江戸時代には松江藩の「御用しじみ」とされ、庶民の味としても親しまれてきました。
歴史
宍道湖のシジミ漁獲量は、昭和40年代後半から60年代にかけて年1万トンを超えていました。しかし平成18年(2006年)の豪雨による大量死の後に資源が落ち込みます。平成23年(2011年)には2,200トンとなって日本一の座を失い、翌年には過去最低の1,700トンまで減りました。島根県は専門家の協議会を設けて資源の回復に取り組み、令和元年度の県の資料では、宍道湖のシジミは再び全国1位の漁獲量とされています。
特徴
ヤマトシジミは、川の河口や宍道湖のような塩分の薄い水域にすむシジミです。宍道湖のものは粒が大きく肉厚で、ミネラルやアミノ酸を豊富に含むとされます。漁は毎朝、船の上から「じょれん」という道具で湖底をすくって行います。シジミが暮らせる浅い場所は、湖全体の3分の1ほどしかありません。しじみ汁のほか、すまし汁や佃煮、しじみを炊き込んだご飯などで食べられています。
主な食材
食文化
松江市は、1世帯当たりのしじみ購入量が令和6年時点で14年連続全国1位とされます。宍道湖を代表する魚介7種は「宍道湖七珍」と呼ばれ、江戸時代から親しまれてきました。スズキ、モロゲエビ(ヨシエビ)、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、コイ、シジミの頭文字をとり、「すもうあしこし」と覚えられています。
家庭料理との違い
家庭では、しじみ汁にして日々の食卓に並べるのが定番です。土産向けの佃煮は、大粒のしじみの殻を一つずつ手でむき、醤油やしょうが、砂糖、水あめで煮詰めて作ります。生や冷凍のしじみは持ち運びや保存が難しいため、佃煮を買い求める観光客も多いとされます。
有名店
川京(かわきょう)
島根県松江市末次本町65
宍道湖七珍を使った郷土料理と地酒の店で、カウンター席だけの小さな店です。すずきの奉書焼やうなぎのたたきのほか、しじみ汁も味わえます。観光情報サイトでは宍道湖七珍のコースが5,000円程度〜と紹介され、予約が勧められています。
松江の台所 こ根っこや
島根県松江市千鳥町36 宍道湖しじみ館2F
一畑電車の松江しんじ湖温泉駅から歩いて3分ほど、宍道湖しじみ館の2階にある食事処です。グルメサイトでは、定食につくしじみの味噌汁や、しじみの酒蒸しが紹介されています。昼と夜に営業しています。
| 宍道湖漁業協同組合の宍道湖しじみ | GIに登録された宍道湖しじみの登録生産者団体である宍道湖漁協が販売するヤマトシジミです。漁師が手選別した肉厚のしじみを、家庭用や贈答用としてオンラインストアなどで扱い、冷凍しじみの発送も案内しています。購入先を見る →PR |
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よくある質問
Q. 滋賀県の「しじみ汁」に使うシジミとは違うのですか?
A. 種類が違います。滋賀のしじみ汁には、琵琶湖水系だけにすむ固有種のセタシジミが使われます。宍道湖のしじみは、川の河口や汽水域にすむヤマトシジミです。国産として流通するシジミの大半は、このヤマトシジミです。
Q. とりすぎを防ぐために、どんな工夫をしていますか?
A. 宍道湖漁業協同組合は、休漁日を設けたり、漁業者1人1日当たりの漁獲量の上限を決めたりしています。禁漁区の設定や違反者への罰則もあります。島根県の報告によると、2024年8月からは、じょれんの網目を11mmから12mmに広げ、小さな貝をとらないようにしています。